ときおり物議を醸すこともある局だけど、
基本的にNHKマニアといっていいくらいにこの局のテレビをよく見る。
正確には、NHK制作のドキュメンタリー番組のファンである。
先日放送の「地球イチバン」
『世界一スカートを愛する島/エストニア・キヒヌ島』はとてもよかったなあ〜。
見ていながら、とても豊かでシアワセな気分になった♡
©NHK 地球イチバン 旅行会社のパンフレットの写真か何かで見たことがある気がする。
老いも若きもはく赤いしましまのスカートは・・・
そうか、「クルト」っていうんだ。
この赤いしましまスカートは島の女たちの手による毛織物。
知らなかったけど、この島は世界文化遺産になっている
エストニア国のバルト海の沖にある周囲15キロほどの小さな島だそうな。
600年ほど前から北海の漁師たちが住みはじめたというキヒヌ島。
男たちは一年の大半を留守にしてたそうだから
女たちが島での暮らしを支えて、自然と女社会が強くなったんだろうね。
ガチョウや羊を飼い、夏草を刈ったり土を耕してジャガイモを育てたり、
寒くて気温がマイナス30度にまで下がる長い冬の間には
家の中で手仕事に勤しんだ女たちの暮らし。
毛綿から糸にして、誰が最初に見つけたのか、
マダラという草の根で毛糸を真っ赤に染めるんだって。
マダラはひょっとしてアカネの仲間かなあ?
とってもキレイな赤に染まるのね〜♡
あるおばあさんは、その人のお祖母さんのだという130年ものの織り機で
手織りを60年やってるって番組の中で言ってらした。
普段着には少し抑え気味の赤だけど
若い人や晴れがましい礼装用には鮮やかな赤い色。
キヒヌの女性たちにとって赤い色というのは美しさと幸福の色なんだとか。
うん、そうだよね。ことさらな説明なんて要らないくらい、
赤はあったかさと元気さ、美しさと目出度さの色だもの。
でも、お弔いのときにはくのは、赤ではなくて青い色のスカート。
亡くなった娘にかわって孫四人を育てあげたという
あるおばあちゃんは93歳だったそうな。
お葬式に訪れた女性たちはみな青いスカートという姿でお別れしていた。
50年連れ添った夫を一年前に亡くされたという奥さんは
まだまだ青いスカート姿で毎週ご主人のお墓へお参りに・・・。
全島民数百名の中に、5年前カナダから移住したという女性がいた。
お祖母さんがこの島の出身だったのだとか。
第二次大戦中にソ連の占領を逃れてカナダへ亡命したお祖母さんも
クルトだけは手放すことはなかったそうで、
スカートは孫へと受け継がれ、お祖母さんの想いと共にキヒヌ島に戻った・・・。
クルトというスカートは、この島の女性たちにとって
たましいともいえるほどの深い意味をもつものなんだなあ〜。
どうしてだろうなあ、環境は厳しいのだろうに、
よそ者には分からない苦しみもあるのだろうに、
この島の暮らしがどこを切り取っても絵本に出てくる絵のような美しさで
女性たちのキモチが豊かそうに見えるのは・・・。
でも、心の豊かさって、きっと哀しみとか優しみとか、
苦しみもぜんぶひっくるめてのことなんだろう。
よく見れば、薄型テレビも無線LANによるネット環境も普通に取り込みつつ
昔ながらの手仕事を活かすキヒヌ島の暮らしの美しさ・・・。
かつて日本にもあっただろうこんな暮らしは
もう自分の国で蘇らないものだろうか。
羨むだけでなく、こういう暮らしをひとりひとりが
そして地域のみんなでやるのは・・・無理なのかなあ?
そんなことを考えさせられた番組だった。
NHK 「地球イチバン/世界一スカートを愛する島 エストニア・キヒヌ島」*再放送のお知らせ
NHK「地球イチバン/世界一スカートを愛する島エストニア、キヒヌ島」
26日(木)真夜中の午前2:15(水曜の夜あけて木曜) より再放送です。
以下のサイトでご確認下さい。
http://www4.nhk.or.jp/ichiban/x/2015-02-25/21/10910/