丘の上から通信

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2011年 05月 30日

大石先生(『二十四の瞳』から)

20年ほど前に、デザイン会社を退社して独立したさい、
四国を2週間ほどぶらぶらと旅して歩いたコトがある。
いまから思えば、お金はなかったけれど
なんて時間に贅沢な旅をしたものだろう!と感心する。

そのおり、高松からフェリーに乗って、
一日小豆島をゆっくり見てまわった。
そこではじめて「岬の分教場」のある
映画『二十四の瞳』のロケ地へも行ってみた。
現在はそこそこの立派な映画村になっているようだが、
自分が訪れたときの記憶では、田舎らしい古い木造校舎がぽつんとあるだけで
平日で人もいない小さな校舎や運動場から
道をへだてて向かいには瀬戸の海があり、浜辺へおりて行くと
たださざ波の音だけが静かに聞こえるのどかな場所だったように思う。


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DVDでも幾度となく見ているが、先日BSで放送された
映画『二十四の瞳』をあらためて見てみた。
大阪へ行っているはずのまっちゃんが、こんぴらさんの参道わきの飯屋にいて
修学旅行で訪れていた大石先生とはからずも再会し、
港の堤防を泣きながら、大石先生や同級生たちを
陰ながらに見送るシーンは何回見ても泣いてしまう。

どこかで読んだ話で、子どもが本当につらいとき、
この大石先生のように一緒に泣いてくれる先生がいてくれたら、
それだけで、その子の後の人生にどれだけ助けになるだろう・・・と。
いまもどこかに大石先生のような先生がいるかしら?
きっとどこかにはいるだろう。いてくれるといいなあ〜と思う。

*イラストレーションの無断使用及び複製・転載を禁じます

by team-osubachi2 | 2011-05-30 17:51 | 人を描く | Comments(2)
2011年 05月 29日

折形の美

今年は例年よりも十数日早く梅雨入りしたというし、
また台風2号(本日温帯低気圧に)も北上するという雨の日曜日。
昨年カメラマン女子を通して知り合ったライターのMちゃんと出かけた。

横浜市のはずれに越してきたおかげで少しは近くなった三渓園へ、
昨年に続き「日本の夏じたく」展を見に行ったのだが、
庭園内では歩いている人はほとんどいなかったものの、
会場である鶴翔閣という立派な建家の中は人で賑わっていた。
案内のDMを見てちょっと楽しみだったのが
辛島綾さんという染織家さんの『折形』だ。
(辛島さんご自身は染織が本業で、今回は洒落た半襟を出品していらした)

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美しく展示された卓の奥にいらした辛島さんから楽しくお話を聞いた。
室町時代の物を包むという行為と包み紙が
「作法」にまで昇華したカタチが折形なのだろうと思ったけれど、
しかしこんなにキレイなカタチが、どうして現代につながらず
忘れ去られてしまったのだろう?

嬉しいことに、お手頃値段で売られていたものがあったので
七夕に使ってみようかな、と五色の短冊の包みをふたついただいてきた。
お習字の先生に教わっている仮名文字で何か書いてみようかな。

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和紙と布にはその扱い方にいくつかの共通項があると思う。
さらりと力まずに扱うところもあれば、
キチンと力を込めるポイントもあり、余計なところでシワを入れてしまうと
後々までシワは残ってしまうんである。

そのあたりを心得ておくと、仕上がりがキレイになるのではないかと
思っているのだけれど、とはいえ、性格はまた別ものだ。
ひとつひとつエッジをたてキチンと折られた紙のカタチや
展示レイアウトを見ると、辛島さんの細やかなセンスあればこそ。
私のようなガサツでワサワサした人間に折形はちょとムズカシイ・・・かな。

by team-osubachi2 | 2011-05-29 23:07 | 出かける・見る | Comments(6)
2011年 05月 29日

映画「浮雲」

去年の暮れ、年の瀬も押し詰まってきたころ、
夕飯の支度をしているときに
テレビのニュースで高峰秀子さんの訃報を知った。
好きな昭和時代の女優さんの一人だった。

何本も好きなデコちゃん出演の映画があるけれど
20代のころには「なんとなく暗そ〜」で見ないまま何年かが過ぎ、
30代に入ってようやく見る気になって見た映画が「浮雲」だった。

先日BSで放送していたのを久しぶりで見てみると
まあ〜しかしホントに、何回見てもこの映画は
な〜んてどよ〜んと澱んでかったる〜い・・・というのか、
閉じこもった世界のオトコとオンナの、
もうどうしようもないぬかるみぶりに
思わずため息が出そうになってしまった。
(森雅之ってホントにこんな役がピッタリ!!)

年齢をとることの良さ(大変さも含め)を年々実感しているけれど、
自分の経験とともに同じ作品の感じ方が変わってくるのを知るのが
面白くてたまらない。
この映画に対しても、まあ、自分のこれまでのバカ丸出しの経験や
数々の痛い思いも、こんな風に感性の肥やしになってくれるとすれば
なにも反省ばかりでなく、逆に
ありがたいものかもしれないなあ〜と思ったりもする。
(もっとも、絵の表現にはなかなか反映されなかったりして
もどかしい部分もあるけれど・・・)


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ま、それはともかく。
スクリーンやエッセイを通して感じた高峰秀子さんという人は、
叩けば必ずはじき返すような強靭さと、
頭の良さやユーモアのセンスだろうか。
着物の、ことに織りの着物の着こなしが
すごく「自分を知っている」というカンジがして
格好イイ女優さんの一人だった・・・と、今も憧れている。

*イラストレーションの無断使用及び複製・転載を禁じます

by team-osubachi2 | 2011-05-29 01:04 | 人を描く | Comments(0)
2011年 05月 27日

美しい日本の言葉

買い物に出た帰り、ふらりと寄ったコンビニで
つい表紙に惹かれて買った雑誌「一個人」。

子供のときから国語が大の苦手で、
高校生までの間、答案用紙にむかって、
自分がそのときどきで感じた答えが「なぜ間違いなの?」か
さっぱりわからなかった。
(今思えば質問の意味すら理解できていなかったのだろうとは思うけれど)
そういうわけで、小さなときからおしゃべりな割に
言葉のコンプレックスが非常に強かった。
方言ではなく、そもそもの言葉の理解度や意味合いにおいて、だ。

が、大人になって独立してからは、国語が下手だの言葉が苦手だの
そんな甘えたコトは言っていられない状況になって
はじめて『言葉』というものを意識しはじめたように思う。

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どうも私は(おそらく私だけではなく)、文章など言葉に触れると、
それらはすべて脳によってイメージ画像だったり、
具体像だったりして映像化されてしまうようだ。
汚くて嫌らしい言葉も、美しくてあたたかい言葉もそのままに・・・。
だから、出来るものなら触れる言葉の大半は、
やっぱり美しいものでありたい、と思うことが多い。

もっとも、普段の暮らしの中では
私自身、やんちゃな言葉使いもいっぱいするけれど・・・ね。

by team-osubachi2 | 2011-05-27 14:35 | 日々いろいろ | Comments(4)
2011年 05月 25日

簡単キレイに!袋帯 (二重太鼓) の結び方

以前、お茶を長くやっている若い女子がこう言っていました。
「名古屋帯は結べるんですけど、袋帯ってなんであんなに長いんでしょう?
長くて結びにくくて、その上キレイに出来ないから、
よほどのお茶席で、どうしても袋帯ってときは
プロに着付けをお願いしてるんですよ〜」

あらあら、着付けが出来るのにそりゃもったいないこと!と
袋帯の結び方の図解のコピーをあげたら、
もともと着付けが出来る人だっただけに、すぐに理屈がのみ込めたようで
「あれ、すっごい簡単にしかもキレイに結べました〜!感動!!
ついでにお茶の先輩にもコピーしてあげたら
先輩もすっごい感動してました〜!」と、結果は上々だったようでした。

袋帯でいちばん大きな悩みの種は、
おたいこ部分の二重に重ねたところが不格好だったり、
不揃いだったりすることでしょうか。
着付けが出来る人でさえ、そんな悩みがあったりします。

かつて私も教えていただいた袋帯の結び方に特に必要な小物は
よくあるAの形をしたフツーの洗濯バサミ2個だけ。
なんとその洗濯バサミ2個を使うだけで
初心者でもとってもキレイに二重太鼓ができるのです!

せっかくの礼装を着るのに、袋帯の二重太鼓のせいで
大汗かきながら苦労して、時間がせまるわ、焦るわで
ワヤになるのは困りますよね。
「ものは試し!」と、洗濯バサミの効用をまだご存知ない方は
ぜひトライしてみてください。

あ、そうそう。
帯枕をしょって、おたいこの位置が決まったら、
くれぐれも洗濯バサミを取り外すことだけはお忘れなきよう。
(ちなみに私は根付けの鈴をつけて、外し忘れのないようにしています)

では、まずは下準備から。
*Aの形をした洗濯バサミを2個ご用意ください。


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*イラスト画面をクリックすると大きく表示されます
*イラストの無断転載を禁じます
*個人使用に限りプリントアウト可

by team-osubachi2 | 2011-05-25 23:53 | 着付けノート | Comments(73)
2011年 05月 24日

喪帯のお直しとバッグのお仕立て

春先のこと、青山ゑり華さんへ出しておいた黒紋付の着物や、
喪の帯の手入れが済んだものを引き取りに行ったさい、
「やっぱり喪の席には袋帯より名古屋帯がよいのでは?」
という話になり、思案の結果、喪の袋帯を京袋(開き名古屋)帯に直してもらい、
ついでながら、切り落とした余り裂で
喪のバッグを仕立ててもらうことにした。

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数日前にそれらが出来上がったと連絡があり、
昨日、受け取りがてら見てみたところ、あがりは上々だった。
紬や小紋といった普段着やお洒落着のお直しを「どうしようかな〜♫」
なんて考えるコトなら、しょっちゅうやっているけれど、
こんな喪帯のお直しとバッグのお仕立てなんて、
お店の側から提案されなければ考えもしなかったコトだ。

当時まだ嫁ぎもしないムスメのために、
早いうちからさっさと喪の一式を誂えた
いかにも富山県人な母親に話をしたら、きっと喜ぶことだろう。
ま、こんな親孝行もあったりする・・・かな?

by team-osubachi2 | 2011-05-24 14:26 | 着物のこと | Comments(2)
2011年 05月 23日

ファイト!ちいさなロボット君

昨年、上海万博の日本産業館内、郵政JPのブースで上映するための
アニメーション仕事をはじめていただいてやったのだが、
その監督を務め、アニメーション作家でもある
野村辰寿さんの個展が過日あったので見に行ってきた。
作品はいずれも「生命を持った小さきもの達」への
優しい視線が感じられて、野村さんらしい世界観が感じられてとても良かった。
そして、そこで見つけたちいさな箱入りロボット君を1点
我が家に迎えることにし、今日ギャラリーへ引き取りに行ってきた。

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監督自ら手作りの4〜5cmの直方体の箱の中に
ガラスを使って3層に描かれた水の中・・・だろうか、
その第2層のガラスに、ボディがわずか1cmほどのロボット君が
とっても丁寧に細密に描かれている。
手前から照明をあてると、奥の壁面にロボット君の影が写るところなんて
さすがはアニメーション作家ならではの見せ方だろうか。

この作品のタイトルは『 Fight! 』。
ロボット君は諸手をあげて頑張っている。
うん!私も負けずに頑張ろ〜〜っと!!

by team-osubachi2 | 2011-05-23 23:16 | これが好き | Comments(0)
2011年 05月 21日

自分の道

昨夜はイラストレーターのお仲間の人が
講談社の挿し絵賞を受賞されたそのお祝いの飲み会に出席。
我が師匠である灘本先生やお歴々、またお友達や若い人もたくさん集まって
とても賑やかで楽しい会だった。

苦労されていた頃も他所ながら漏れうかがっていただけに、
こんな晴れがましい日を迎えられたことを
「なんだか自分のことのように嬉しい!」と
たぶん集まった人みんなが感じた飲み会だったのではないだろうか。
まだ若い私たちは「あやかろう!」と、
その人のオーラをいっぱい浴びて帰ってきた。

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この週末も曜日に関係なく仕事をする。
たいそうな不況の時代ではあるけれど
(バブル時代であっても、その恩恵を
まったく受けるコトがなかったのが、今思えばさいわい、か)
どんな時代であっても、ご縁があっていただいた仕事は
ありがたくいただき、出来る力で誠実に精一杯に仕上げる。

若いときは他の人がまぶしくて仕方がなかった。
でも、経験を積むほどに、他との比較とはまったく関係のないところで、
自分自身の画業をもっと模索し磨いてゆきたい、と思うようになった。
もちろん、しっかりと食べてゆくことも考えながらではあるけれど、
ただただ自分の仕事を続けてゆく。
これから先もずっと変わらずこの道一本で歩いてゆく。
そんなキモチをあらたにしたお祝いの会だった。

by team-osubachi2 | 2011-05-21 10:38 | 日々いろいろ | Comments(4)
2011年 05月 20日

家紋を洒落る

先日、Mちゃんの着付け特訓をしていたとき、
Mちゃんが着ていた無地っぽい織りの着物を見て、
「刺繍で何か紋を入れてもいいかもだね」と話をした。

何年か前に大きなお仕事をいただいたさい、
40歳記念に・・・と、人形町の錦やさんで誂えた灰色無地の結城紬には、
私の実家の家紋を刺繍で入れてもらうことにしたのだが
なにせ岡田の家の家紋は、丸に算木(三ツ木とも?)といって
やたらに硬いデザインの家紋だ。
http://bit.ly/ij1Obt

この硬いデザインがどことなく自分の性分に合っている気がして
私は嫌いではない。・・・嫌いではないのだが
わざわざ刺繍で入れるには硬すぎてつまらない。
お茶人さんがよくなさる点々点と輪郭を縫う陰紋にするのもつまらない。
そこで考えたのが、家紋の丸をとっぱらって
算木の部分を少し大きくし、三色の糸で繍いつぶしてもらうコトだった。

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自分なりに考えた三色は「花、草木、水」の色。
それを絵の具で描いて、おおよその色見本にしてお願いしたところ、
こんな洒落紋に仕上がった。
担当さんは「モダンな加賀紋みたいに見えますよ」と言っていた。
優雅でかわいらしい花模様の加賀紋はどうも私には似合わない。
どうで礼装ではない着物だもの。
こんな家紋の遊び方があってもいいだろう。

by team-osubachi2 | 2011-05-20 08:17 | 着物のこと | Comments(6)
2011年 05月 19日

着付けの特訓

昨日は友だちMちゃんの着付け特訓レッスンの日だった。
もともと自分で着物を着ているMちゃんだけれど、
これまで我流で締めていた名古屋帯の締め方を
一度ちゃんと教わった方がいいかも・・・ということで、
うちで一日限定の特訓レッスンをすることになった。

岡田着付け道場のスパルタ(?)レッスンのその前に、
「軽くお昼を一緒に食べよっか」と事前に話をしていたので、
お昼頃に明るい着物を着てあらわれたMちゃんは、
それはそれは美味し〜い手みやげを持参してくれたのだった。

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Mちゃんの地元で作られているというソーセージやレバーペーストなどに、
こちらはキャベツのポタージュと全粒粉のパンケーキとパン、
そしていろどり野菜を用意しただけだったのだけれど、
おかげでなんだかとってもリッチなランチを美味しくいただいた。
どうもごちそうさまでした〜!!

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さわやかな五月晴れで、そよ風吹いて、お腹もいっぱい、となれば
あ〜あ、お昼寝した〜い!・・・って、いかんいかん!
今回の用件はこのあとなんである。

というワケで、着付けである。
一通りのことは知っているので、さほど難しいことはなかったが
着物をまず着るところからはじめてみた。
要所要所を確認したり修正したりしながら着物だけをくり返し着てもらう。
その次は名古屋帯。これも同様に帯だけくり返し締めてもらう。
で、最後にフルセットで着物と帯を着付けたところでタイムアップ。
昨日教えたところが彼女のものになるかどうかは本人次第。
あとは自主練と実践あるのみだ。

もともと着られる人ではあるから心配は無用だけれど、
着付け方のちょっとしたコツを知り、
指南本にも省略されているようなツボをおさえるだけで、
最初の着姿がアカ抜けた風になっていく・・・。
そんなところも、教える側としてはいつも面白いなあ〜と思う。

数日後には着物を着て飛行機で帰省するというMちゃん。
とにかく着物を着て出歩くという行為が増えてゆくごとに
この人の仕事も変化してゆくかもしれない・・・。
楽しみだなあ〜。息長く見守りたい生徒さんの一人である。

by team-osubachi2 | 2011-05-19 00:23 | 日々いろいろ | Comments(4)