丘の上から通信

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カテゴリ:着物のこと( 514 )


2010年 08月 31日

楽艸さんのこっぽり

この数年、着物や帯を手に入れるだけで精一杯だったせいか
小物の新調にまで手がまわらず、ことに履き物は消耗するばかりだった。
新しい履き物が課題だったにもかかわらず
なかなかゆっくりと買い物へ出かけることもなく、時間ばかりが過ぎていく。

履き物はもっぱら浅草で調達している。
なんといっても京の着倒れ、大阪の食い倒れ、
そして江戸の履き倒れ(神戸も?)である。

今はどうかわからないけれど、むかし私が着物を着始めたころ、
京都の粋筋のおかあさんやお商売のおにいさん(?)方は
スッキリと細みの台は「やっぱり江戸もんにええのがあるなあ」と言っていたっけ。

ことに下駄。桐の柾目はかつて一足だけ経験した。
履くときに意気がったりもした。胸の内でキモチよかった。
が、そこで二本歯の下駄は打ち止めにした。
現代の街を二本歯で歩くのは、やっぱり少々キツいんである。
以来、下駄の類いは、舟形やこっぽりといった
歩きやすいカタチのものばかり履くようになった。

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浅草の「高橋慶造商店」という和装履き物バッグ卸のお店から独立した
「楽艸」さんは、オリジナルの商品を小売りもする。

プロデューサーの由貴子さんとは
たまたま「楽艸」立ち上げ以前からの個人的なつきあいで、
いまや私の人生にも大きくかかわることになったお人だが、
個展のときに履くこっぽりを、はじめて電話で相談してみたところ、
私の好みをすでによく知っていることもあり、
ポンポンとテンポよく決めてすぐに送ってくれた。・・・素早いのう。

台のふちは黒塗り、天だけ深い朱に黒い縞模様が入ったデザインのこっぽりに
生成りのインドシルクの鼻緒がすげてある。う〜ン、好きっ!
赤いツボにするのがいつもは好むところなのだが、
今回あえて生成りの白ツボにしてスッキリさせてある。

な〜んて、個展のときに履く物の準備は出来ても、
肝心の作品の方はまだまだこれからなんである。
あ、汗がドッとでてきた・・・。冷や汗、かも。

楽艸
http://www.rakusou.co.jp/index.html

by team-osubachi2 | 2010-08-31 10:57 | 着物のこと | Comments(0)
2010年 08月 13日

下平清人さんの型絵染め

季節感というのは不思議なもので、ことさら意識しなくても、
人間の五感はその微妙な変化をごく自然に感じとるようだ。
同じような暑さでも、立秋をすぎると、まず日差しが目立って違ってくる。
すると、もう白々したような色の着物よりも
どこかに少し秋の色が欲しくなるんである。

もう十数年前の夏のこと、某デパートの呉服売り場で、
赤札で出ていた小千谷縮の反物に目がいった。
かな文字や野菜といったモチーフが、
シンプルで素朴な型絵で染められている。
カワイイ!好き!お値段も?え?マジ?カワイイ〜!買うっ!
布端には下平清人さんという人の名前の紙が貼られていた。

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一昨年だったか、とある落語会にこれを着て出かけたときのこと。
休憩時間に浜美枝さんをお見かけした。
その浜さんが、ふと気づいて、ちょっとの間この着物をジッと見ていらした。
着ると、だいぶヨレヨレするようになった着物なのだが、
きっと下平さんの型絵にはまだまだチカラがあるんだろうな、と
工芸品や民芸品が好きで知られる人の視線に
そんなことを思ったりした。

毎年、袖を通しては自分で水洗いをするせいだろう、
ましてや麻に後染めしたものだ、袖口や折り山がすっかり色褪せてしまった。
そろそろ着るのは難しいかな?と思いつつも
秋に向かう暑さの中、つい袖を通してしまう着物である。

by team-osubachi2 | 2010-08-13 00:15 | 着物のこと | Comments(0)
2010年 07月 21日

琉球紅型の帯

着物好きにとって、沖縄の染織に憧れる人は多いかもしれない。
染めの着物にはあまり興味のない私でも、琉球の紅型(びんがた)は別だ。
あの日差しが降りそそぐ土地から生まれただけあって、
独特な模様だけでなく、堅牢そのものといった色自体に、
とても強い魅力を感じる。

だけど、紅型の着物や帯なんてあまりに高価で、
プロパーではとても手が出ない。
でも、いつか欲しいなあ〜なんて長いこと思っていたある日、
ネットのリサイクル売り場で、面白いモチーフの帯を見つけた。
知念貞男さんという人の本紅型の夏帯だ。

未使用品なので、地も染めもまだピンしゃんとしている。
ま新しい小千谷の麻地に染められたその絵柄を見ていると、
これを染めた人の手の跡や、心持ちの素朴さなんかが
配色の妙とともに、こちらに伝わってくるようで、
なんとも魅力的なんである。

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・・・が、いまだにこれを締めて出かけられずにいる。
本当なら今日はTBSの落語研究会へ着物で行くつもりだったのに、
まだ個展DM用の絵が決まらず、今も机で格闘中だ。とほほ・・・。

でも、夏はまだまだこれからだ!
なんとか今年の夏の間に、この帯をデビューさせたいぞ〜!

by team-osubachi2 | 2010-07-21 09:38 | 着物のこと | Comments(4)
2010年 07月 15日

海はひろいよ〜

昨日から風が強くて、丘の上から見える青い空には
白い筋になってたなびく雲と、
夏らしいモクモクした雲が幾つもの層になって
海から陸にむかってどんどこ流れていく。
あぁ〜夏だなあ〜!!

夏向きに、帆船の帯留めがずっと欲しかったのだが、
手持ちの着物や帯に合いそうなもの(予算も)がなかなか見つけられずにいた。
昨年青山ゑり華さんで見つけた「電車」の帯留めが気に入ったので
思いつきで、ゑり華さんを通して作者の日野譲さんに
「帆船」をお願いしてみたら、ちっちゃくても立派な帆船が出来上がってきた。
わ〜い!持っていた三分組の紐にもピッタシ合うワ!

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う〜み〜はひろい〜な、おおき〜い〜なあ〜♩♫♪
ここんとこバタバタ続きで、なかなか着物の時間がとれずにいるが
早くこれをつけてお出かけしたいな〜!
梅雨明けはまだか〜?・・・・・・まだ、か。

青山ゑり華&chidori
http://www.erihana.co.jp/
http://chidori.in/

by team-osubachi2 | 2010-07-15 11:37 | 着物のこと | Comments(5)
2010年 06月 24日

雪花絞りの浴衣

先日のこと、思いがけず名古屋に住む義姉から浴衣の反物が届いた。
生まれも育ちもずっと名古屋の義姉は、
近くに住んでいながら、今回はじめて有松鳴海の絞り祭りに行ってきたのだとか。
着付けの先生でもある義姉は、自分のと娘のと、
そして私の分まで浴衣地を買ったそうで、
楽しい買い物をしたと嬉しそうなメールがきた後に
さっそく送ってくれたものだ。

やわらかくて薄手の真っ白いコーマ地に、夏の空色をした模様は
きっぱりとしていて、見ているだけで涼しくなっちゃいそうだ!
イヤ〜、イイネエ〜!コレッ!
柄は、今年中学3年になった姪っ子が私にと選んでくれたそうである。
よく好みがわかったね、サンキュ!

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残念ながら、いますぐ仕立てに出すのはちょと難しいので、
袖を通すのは早くても来年の夏になるだろうが、
もたもたしていると、あっという間にこちらの年齢がいってしまって、
この柄の勢いに負けて似合わなくなるんじゃないかと心配にもなる。

でもこの絞りの柄、古典なのに、かえってモダンな印象もあるから
浴衣以外に、ファブリックとしてもあれこれ使いまわして、
布の寿命を最後までまっとうさせることが出来るんじゃないかな〜
・・・という気もしている。

素晴らしい絞りの技術は数々あるけれど、
今回送ってくれたものは「雪花絞り」という板締めのもので、
ネットで調べてみたら、有松で板締めをなさっているのは
もう鵜飼良彦さんというおじいさんだけらしい。
職人魂、ここにあり!である。

有松・鳴海絞会館/有松絞りまつり(今年は終了)
http://www.shibori-kaikan.com/event.html
張正/鵜飼さんの板締め作業
http://www.youtube.com/watch?v=rKQg2H0qsMc

by team-osubachi2 | 2010-06-24 00:02 | 着物のこと | Comments(0)
2010年 06月 18日

紙布の着物

昨日の梅雨の晴れ間、ひさしぶりに着物で出かけた。
気温も30度を超えた暑い日だったけど、
でもまだ薄物には早いというようなときは、紙布の単衣に袖を通すのがいい。

エ?紙布ゥ?
そう。紙布はタテもヨコも和紙を「こより」にした糸で織られた布だ。
和紙という完成度の高い素材を、さらに手を加えて糸にし、
織りあげ、布にするなどというこの発想!
日本の染織はホント〜にスゴイんである。

サラリと織られた紙布の着物は、適度な張りがあって
風通しもすこぶるいいせいか、見た目より涼しい。
また、想像以上にしなやかで丈夫なうえ、水にも強いそうだし、
汗もよく吸うので、汗っかきの私にはもってこいの単衣着物なんである。
そのくせクーラーの寒さからも身を守ってくれるとは、
う〜む、なんと賢い着物だろうか、と感心する。

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紙布というだけで高そうな代物だが、
元はいったいいくらで売られていたのかまったくわからない。
実はこれ、デパートの骨董売りの催事で
新古品だが、浴衣よりも安く手に入れたものだ。
しがない挿し絵職人には、身の丈にあうだけのお金しかまわせない。
少しでも良いものを手に入れるには、それなりの知恵と工夫、
そしてタイミングが必要だったりする。

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しかしこの着物、梅雨の時期にはまったくもって暑苦しそうな色だ・・・。
そこで、冨山麻由子さんという若い人が染めた麻の半幅帯をあわせてみる。
明るい藍色が涼しげで(写真にはその色がまったく出ていな〜い)、
のびのびと咲いた花の間をみつばちが飛んでいるという
素朴でかわいらしい雰囲気が気に入って愛用している帯だ。

夏の着物はまったくもって暑い!
でも、夏着物には夏でしか味わえない素材の良さや、組み合わせのおもしろさがある。
その魅力を知ってしまった着物好きの人たちは、
だから、ついつい着たくなるのだろう。
暑さは承知の上である。

by team-osubachi2 | 2010-06-18 11:45 | 着物のこと | Comments(0)
2010年 05月 15日

うちくい展

風は乾いてキモチはいいけれど、
寒気が入ってきて少し肌寒かった昨日。
所用で出かけたついでに、新宿の内藤町にある
ラ ミュゼdeケヤキというところで開催中の「うちくい展」へ
はじめて行ってみた。

新宿御苑に面した場所とはいえ、都心のど真ん中に
こんなに緑の豊かな場所があったとは!?である。
門をくぐると、庭には大きなケヤキの大樹が鎮座ましていて、
こちらの名前の由来は人に訊かなくても、このケヤキ自身が教えてくれた。

「ぬぬぬバナバナ」という団体主宰の
沖縄をはじめ、手で布を織る人たちによる布の展覧会。
ぬぬぬパナパナとは、布の端々という意味らしい。
建物の中には、丹精して生み出されたさまざまな布や
着尺や帯が展示されていて、見ていると
ドキドキわくわく、アドレナリンが放出されて
体温があがってくるようだった。

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会場には幾人か作家さんが来ていて、その布の制作話やエピソードなど、
いろんなお話をうかがうと、もちろん見る面白さは増すのだけれど、
ジッと見て感じとろうとすると、布そのものの存在感は、
パッと見ただけではわからない作家さん達ひとりひとりの、
目には見えないハートの部分というか、
なにか人物の奥底にあるものが布には現れているようだった。

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一枚の布が出来上がるまでというのは、
本当に根気のいるしんどい作業の連続なのだろう。
でも、その分だけ、布には美しいとかなんとか言葉で言い表す以上の
強い生命力が宿るのかもしれない。

自分の財布とよぉ〜く相談してから、白井 仁さんという人の
草木の色あいがとってもキレイな格子の風呂敷を一枚いただいてきた。
「うちくい」というのは、沖縄の言葉で「風呂敷」にあたる意味らしい。
大事に物だけを包もうとは思っていない。
旅にアウトドアに、いたるところへ同行させて
いろんな用途でガシガシ使うんだ。
でもって、布の寿命をまっとうさせるまでつきあいたいと思っている。

ぬぬぬパナパナ・うちくい展(17日まで)
http://nunupana.com/uchikui/future/#000223

by team-osubachi2 | 2010-05-15 15:50 | 着物のこと | Comments(0)
2010年 05月 13日

うかたま ('09年夏号より)

朝晩はまだ肌寒いような日もあるものの、
お天気がよければ、いきなり真夏日にもなったりするこのごろ。
呉服屋さんやデパートの店頭では、
浴衣や薄物などの夏ものが並びはじめました。

こちらも去年いただいた「うかたま」さんのお仕事から。

*画面をクリックしていただきますとウィンドウで大きくご覧いただけます。
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農山漁村文化協会「うかたま」
http://ukatama.net/home.html

*すべての画像、イラストレーション、文章の無断使用及び複製・転載を禁じます

by team-osubachi2 | 2010-05-13 09:19 | 着物のこと | Comments(0)
2010年 05月 09日

三年寝太郎

丘をかこむ木々は、とても美味しそうな緑いろになった。
吹く風がちがう。青葉の風もまたすこぶる美味しい。
着物の季節としてはまだ袷なのだが、
個人的には、いま時分に着るなら紺絣、それも木綿・・・かな。

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立派な工芸品の類は、しがない挿し絵職人には分不相応で縁がないけれど、
40代に入ったころ、性根のある紺絣が一枚欲しくなった。
そして見つけたのが、地味ながらしっかりした顔つきの弓浜絣だった。
良心的な値段に悩んだ末に買いに行った後、三年にわたって寝かせておいた。

去年の夏、自分のところで散々に水洗いをしてから仕立てに出し、
秋になって袖を通してみたが、どっこい三年寝太郎は
こんな年月程度ではまだまだ「青い」んである。
袖を通せば藍が香り、着つけた指先はうっすらと染まる。
また、特にどうということもない絣もようは地味で
(でも、これが好みだからしょうがない)
正直いって40代の自分にはまだ早かった・・・。

ま、15年もたてば、もっと似合うようになるだろうから
それまでせいぜい袖を通し、自分で洗いもし、手をかけてあげようと思う。
そうしたら、この紺絣は風合いも色あいも今よりうんと良くなるだろう。
まだまだ先は長いから、時間をかけてじっくりいこう、着物も人も。

by team-osubachi2 | 2010-05-09 12:50 | 着物のこと | Comments(2)
2010年 04月 27日

電車でGo!

去年のこと、仕事などでもお世話になっている青山ゑり華さんで
面白い帯留めをみつけた。
イチイやシタンなどの木をつかって精巧に彫られた電車の帯留めだ。
日野譲さんとおっしゃる方の作品らしい。

私はいわゆる“ 鉄子 ”ではないけれど
でも、小さいときから電車が、いや、田舎風にいえば「汽車」が
線路を行き来するのを見るのが好きで、
今でも品川や日暮里あたりで、何本もの線路上を
たくさんの電車が並走するのを見たりすると、
ワクワクして数時間はその場にいられるような気がする。

まだ郷里の富山にいたころ、
家からすこし離れた場所にある北陸線を
列車や貨物列車の走るガタンゴトンという音が、
ときどき、かすかに風にのって、
あるときは夜中に目をとじたまま、耳だけが起きて聞こえてきたり、
またあるときは、お風呂でしずかに湯船につかっているときや、
あたたかい春の昼間に、開け放した窓から聞こえてきたりすると、
子供心にも、どこか遠くへいきたいような、
小さなケシ粒ほどのボヘミアン魂がゆさぶられるような
そんな心地になったように思う。

当時の客車は、まだまだ木の造りでドッシリしたものが多く、
今思い出してもノスタルジー感たっぷりで、
旅への誘いにはもってこいな乗り物だった。

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日野さんの彫刻はレーザーを使うので、ここまで精巧に出来るんだそうだ。
この帯留めにあわせて、線路に見えるような真田ひもをネットで探した。
これでこの電車もやっと走れることだろう。

青山 ゑり華
http://www.erihana.co.jp/
ゑり華/オンラインショップ・チドリ
http://chidori.in/

by team-osubachi2 | 2010-04-27 10:42 | 着物のこと | Comments(0)