丘の上から通信

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2018年 12月 17日

オオカミ信仰と浅田次郎著『神坐す山の物語』

山歩きの先達に誘われて、四月末はじめて奥多摩の御岳山を歩いた。
(過去ログ:https://okakara.exblog.jp/29758115/

御岳山の名前は知っていても行ったのは全くはじめて。
季節も良かったせいか、すこぶる気持ちの良いところだったし、宿坊がいっぱいあることもはじめて知って
いつか泊まってまた山歩きするのもいいなあ〜なんて思ってみたり。

その日記を見ていただいてか、その後着物友だちから一冊の本が送られてきた。
浅田次郎さんの『神坐す山の物語』。
御岳山(御嶽山)にある武蔵御嶽神社。その神官の家が母方の実家である少年(私)が
宿坊を訪れるたびに見聞きするいくつもの不思議な物語の数々。

ここ何年もの間読書から遠ざかっていたけれど、ようやくローガンてものに慣れてきたこともあるのか
秋になってようやく読書したい気持ちになって、この本を手に取った。
ページを開いて読み始めたら、すぐに物語の中に引き込まれた。
へええ〜、知らなかったなあ、作家の浅田次郎さんがこの武蔵御嶽神社の御師の家のご出身だなんて。

巻末のインタビューで、物語のほとんど全部は本当にあったことで、
浅田少年が叔母の語りで聞いてきたことなんだそうだけど、
摩訶不思議な世界だとはいっても、読んでいてまったく怖い気がしないお話ばかりだった。

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先月のことになるのだけど、浅田さんの本を読み終えて、酉の市が始まり、
ふと、デザイナー時代に事務所との行き来に通っていた宮益坂にも小さな神社があって、
酉の市の日には何度か立ち寄っていたことを思い出したので、
調べて見たら、ここもなんと御嶽神社であるという事をはじめて知った。


そこへ友だちが「オオカミの映画、行けます?」と連絡があり、
川崎市の某所で開かれた『オオカミの護符』というドキュメンタリー映画の上映会があるというので
友だちと一緒に観に行ったのだけど、映画を製作した小倉美恵子さんも会場にいらして、
十年ほど前のこの映画の制作話を聞かせてもらったりした。

小倉美恵子 著『オオカミの護符』新潮社刊https://www.shinchosha.co.jp/book/126291/

「大口真神」として祀られているのはオオカミであることも今回はじめて知った。
でもって、ようやくオオカミ信仰がなぜあるのか、
ことにお百姓さん方の信仰がなぜ厚いのかってコトにようやく気が付いた。
ああ、農作物への猪鹿被害から守ってくれるんだ・・・!

昔は時期になると飼っていた地犬のメスを山の木につないておいて
オオカミと交配させ、生まれた仔犬の中から、人に従順で、
かつ、猪に立ち向かう個体を猟犬として育てていたというお話も聞いた。

ご先祖さまが昔から土地に根ざして生きてきたお百姓さんらと、
分譲地になって新しく住み暮らすようになった現代の移住者らとの
目には見えない隔たりというのか(交わらなさとでも言おうか)のことなども考えさせられて、
なかなか興味深くてとても面白い上映会だった。

まあ、そんなこんなで御岳山に登ったことがキッカケに、ことさら求めた訳でもないのに
にわかにオオカミ信仰に触れて知ることが多い一年だった。







by team-osubachi2 | 2018-12-17 21:17 | 読む | Comments(2)
2018年 11月 24日

田中敦子さんの note から『父の小父さん 作家・尾崎一雄と父のこと』

この間ちいさな内輪の会で、久しぶりにライターの田中敦子さんとゆっくりお会いした。
伝統工芸の世界に精通していらして、もちろん着物好きでもある敦子さん。

この日は、元はお舅さんのであったというお対の久留米絣をお直しした着物に、
田中昭夫御大の藍染の帯という出で立ちでいらした♪
(もちろん、敦子さんはあの「田中ガールズ」のメンバーでいらっしゃる)
小物の色あわせに敦子さんらしい好みと、大人の女性のスマートさが感じられてとても素敵♡

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その敦子さんが、いま「note」上で、お父さまのことを少しずつ綴っていらして、
読んでいると、どことなく戦前の東京の下町の暮らしぶりが伝わってくるようでとても面白い。

そして、それがまたどことなく、下町育ちのうちの舅どのや、
子供時代に東京にいたといううちの親父さんの思い出話とも
どこか共通した匂いがしてくるように思えて、毎回新着のお話だけでなく、
少し戻ったりもしながらゆっくりと読んでいる。

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尾崎一雄さんという作家さんのことは、「とんぼの本」シリーズで
田沼武能さんの『文士の肖像』という写真集で見て、お顔しか知らなかったのだけど、
(尾崎士郎さん同様にどちらも読んだことがないという・・・)
その尾崎一雄さんと、敦子さんのお父さまとの、不思議で、
とても深くて強い繋がりが綴られていて、他所さまのことながら、いつも興味深く読めるのは、
下町育ちの相方の両親や、子供時代を東京で過ごしたうちの親父さんなども含め、
あの戦争をくぐり抜けてきた人それぞれに、いろんな出来事を経験してきているんだな〜
・・・ということにまで想いがいくからかもしれない。

日をおいてちょっとずつ更新されてゆくお話は、いま14回目。
個人的に、人生に「たられば」はないと思ってはいるけれど、
「もしもあのとき、もしもこうでなかったら・・・」
いま自分がこうしてこの世にいたかはわからない。
そういう出会いや出来事って、やっぱりあるよねって思う。

田中敦子『父の小父さん 作家・尾崎一雄と父のこと』/note.mu

お話はこれからも続きます。
ご興味がある方は、ぜひお読みになってみてください。


by team-osubachi2 | 2018-11-24 17:07 | 読む | Comments(3)
2017年 04月 27日

青木奈緒 著『きものめぐり 誰が袖わが袖』

昨日、着付師をしている友だちから一冊の本をもらった。
あ!これ、近いうちに買おうと思ってた本なんだよ。わあ〜、ありがとう!

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淡交社さんの『なごみ』で連載していた青木奈緒さんの紀行エッセイが一冊にまとまったもので、
目次をざっと見ただけでも、藤山千春さん、竺仙さん、冨田潤さん、
小岩井カリナさん、臼井織布さん、大西實さん、西川はるえさん、藤井礼子さん、
野原俊雄さんなどなど、着物好きにはよく知られた方々のお名前が並ぶ。

スタッフの一員として関わった友だちのこぼれ話の中で
ことに興味を持ったのが手織物流通士の山田標件さんのこと。
まずはこの山田さんの章から読んでみようかな ♪

「これから先 きものはどうなるのだろう?」と帯紙にもあるように
青木奈緒さんの視点を通して、自分も着物の今とこれからのことを少し考えてみたいな。
何が出来るというワケでもないけれど・・・。


『誰が袖わが袖』青木奈緒/淡交社


by team-osubachi2 | 2017-04-27 10:20 | 読む | Comments(2)
2017年 01月 05日

『沈黙』という小説と映画

ふとしたキッカケで、ワケもわからずある物事に引き寄せられるということがある。

去年たまたまテレビで見ていた旅ものだったか歴史紀行ものみたいな番組の中で、
ポルトガルの、あれはポルトの街中でのインタビューで、
日本で知ってることは何かありますか?といったような質問をされたのだろうか
ポルトガル人のとあるおじさんが
「遠藤周作の『沈黙』を読んだことがある。とても面白かった」と言っていた。

と、そのひと言で、突然自分の中でちいさな種火が起きたみたいに
「遠藤周作の『沈黙』って何?」ということになったのだった。

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狐狸庵先生・・・遠藤周作。
文学に疎い私はそのご高名は知っていても作品は知らない。
一度だけ『海と毒薬』だけは読んだ筈で、奥田瑛二さん主演の映画も見た筈だのに、
いやもう、まったくと言っていいほど記憶がない。

『沈黙』・・・読んでみようかな?と、古本で一冊手に入れたところで
これまた偶然テレビで『ルーアンの丘から』という
遠藤周作さんが戦後まもなく渡仏留学した青春時代についてのドキュメンタリーを見た。
知らないことばかりだったが、へえ〜なんだか面白いぞ、遠藤周作という人は、と思った。

(余談ながら、子供のころ、ある本で読んだ部分に、狐狸庵先生、
あるときかのD・スカルノ夫人にむかって
「あなたはおならをしますか?」という不躾な質問をぶつけたら、
D夫人は「あら、わたくし、おならいたしますわ」と平然と答えたという
珍妙なエピソードだけ妙に覚えていたりする)

・・・と、そんなことを思ううち、今度はその『沈黙』を
かのマーティン・スコセッシ監督が映画化しているという情報を目にした。

なぜだかわからないけど、これはもう『沈黙』を読めっていうことなのだろうと思い、
映画の公開までに間に合うよう、去年の暮れからちびちびと読み進めている。

去年の暮れに映画予告をFacebookでシェアしたところ、
『沈黙』を若い頃に読んだという人たちから、この作品の内容の重さに
少々トラウマにもなってしまったというコメントをいただいたりして、
うっかり自分の妄想でキリシタンが受けた拷問に読む前からたじろぎそうになった。
けれども、文学者と監督の人間を見る眼差しはもっともっと深そうだ。

そして、たたみかけるようにこの正月2日、
映画公開に先だってのドキュメンタリー番組が放送されたので見てみた。
見終えて、ふと、もしも私が若いときに読んだなら、この作品の奥深い世界へたどり着く前に
残酷な痛みや苦しみにばかり目がいってしまったかもしれない・・・と、そんな気がした。

まだ途中までしか読んでいないのでなんとも言えないが、
小説を読み、映画を見て、遠藤周作先生とマーティン・スコセッシ監督描くところの
“人間像”を見てみたくなったのかもしれない。
今が自分にとってこの作品と出会う「時期」ってことなのかもしれないなあとも思う。
若いときには縁がなくて正解だったということか。
映画の公開は今月21(土)からだそうである。



『沈黙ーサイレンスー』HP

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この週末にドキュメンタリーの再放送があるので、ご興味のある方はご覧ください。
(*ただし内容には「これってネタバレね?」というところもあるのですけど)

BS1スペシャル「巨匠スコセッシ“沈黙”に挑む〜よみがえる遠藤周作の世界〜」/NHK BS1
*1月7日(土)午後7時より再放送(110分)


by team-osubachi2 | 2017-01-05 17:59 | 読む | Comments(8)
2016年 08月 24日

BRUTAUS「こんにちは、星野道夫。」

昨日スーパーの買出しの帰りにコンビニに寄り、
本棚の雑誌をつらつら見ていたら、引き寄せられるようにBRUTUSに目がいった。
棚から取り出してみたら、シロクマの眠る顔があらわれた。

「こんにちは、星野道夫。」

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当時、雑誌などで見てもとくに好きと思ったことはなかったけれど、
訃報のニュースには少なからず衝撃を受けた。

亡くなられた当時よりも、いま見る方がひたひたと心に沁みてくるカンジ。
歳かなあ・・・いい意味でね。w

あれからもう20年ですか・・・。行ってみようかな、写真展へ。

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没後20年特別展「星野道夫の旅」/9月5日(月)まで松屋銀座にて開催中


by team-osubachi2 | 2016-08-24 09:33 | 読む | Comments(2)
2010年 03月 28日

ことば

このごろまた着物がらみの本を読みあさっている。
とあるエッセイで、はじめて森田たまさんのことを知り、
さっそく本を数冊取り寄せてみた。・・・うん、面白い。好きかも!
読んでみると、たまさんの目線はお腹の底につながっていて、
ことばはそのお腹の中から出てきてるような感じがする。
こういうことばって、やっぱり作者が肌で経験したところから
自然と生まれるものなんだろうなあ。

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30代の半ばまで、読むものといえば時代小説ばかり、
それも気に入ったものはとことん繰り返して読んでいたせいで、
すごく限られた古くて狭い世界しか知らなかった。
そのせいか、思いがけない死語がしょっちゅう口をついて出てきて
よくコピーライター友だちから突っ込まれたりしていた。

歳を重ねるにつれ、人と話をしていて、
たとえば、その人が身に沁みて辛かったことなんかを、
人はその人自身のことばでちゃんと話しているんだなあと感じるようになった。
子供のときから想像過多で国語が大の苦手だった私は、
いつのまにかこんな年齢になっちゃってるけど、
ちゃんと自分のことばで話ができているのかな。

経験から生まれることばはつよいし、しっかりしている。
森田たまさんの随筆に、そんなところを気付かせてもらっている。

by team-osubachi2 | 2010-03-28 22:54 | 読む | Comments(0)