丘の上から通信

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カテゴリ:人を描く( 57 )


2019年 06月 15日

瞬間のいろ

もう何年も前に美容院で読んだ雑誌のコラムを
いまでもときどき思い出します。

著者が渋谷で人を待っていたとき、
同じく待ち合わせをしていると思われる白杖を持った青年に気がつきました。
何気に見ていたら、しばらくして渋谷のすごい雑踏の中、白杖を使って歩く女子が現れ、
なんの迷いもなくまっすぐに青年が立っている場所へと歩いてきて、
無事に合流し笑顔で目的地へと向かった・・・というようなお話でした。

著者の方は歌人です。
その鮮やかな出会いの光景を見た彼が綴った文章は、私の中で像を結びました。
目が見えない若い二人の手と手が触れた瞬間、
二人にはどんないろが見えていたのでしょう。

コラムを読んだ私の頭の中に浮かんだ光景。
それがいまだに忘れられずにいて、ときどき思い返しては、
二人が見た瞬間のいろに想像をめぐらせています。


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「瞬間のいろ」(c)Tomoko Okada

*イラストレーションの無断使用及び複製・転載を禁じます


by team-osubachi2 | 2019-06-15 10:05 | 人を描く
2019年 05月 15日

子どもでいられる時間

子どもが子どもでいられる時間って、とっても短いんだということが、
このごろになってわかるようになりました。

でも、その分、子どもの想像の翼は大人のものよりはるかに大きいのでしょう。

だって、彼らは、どこにあるかも知らない野生の王国にだって
いとも簡単に飛んでゆけるのですから。

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『子どもでいられる時間』(c)Tomoko Okada


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by team-osubachi2 | 2019-05-15 20:38 | 人を描く
2019年 03月 19日

新学期

学校はそろそろ春休み。
一年間を学び終えて、春、どんな気持ちだったかなと思い返してみると、
仲良くなった友達と次の学年も一緒のクラスになれるかどうか、
このことがとても気がかりだったように思います。
そして、どんな先生が担任になるんだろう?といったことでしょうか。

思えば、学生だったころの、わずか一時間、たった一日のなんと長かったことでしょう。
週に五日(当時は六日)も学校で半日を過ごすのですから、
好きな友だちがいるかいないか、気のあう仲間がいるかどうか、
相性がいい先生に当たるかどうか、はとても大きなことだったのだなあ〜と
今ごろになって気づくのでした。

そこここで田んぼの土や、土手の早緑と、まだほのかに冷たい風の匂いが
思い出とともに鼻先をくすぐってゆきます。


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「新学期」(c)Tomoko Okada

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by team-osubachi2 | 2019-03-19 15:55 | 人を描く
2019年 03月 13日

卒業

三月になって、どこからともなく漂ってくる沈丁花の香り。
この花の香に鼻をくすぐられると、学年の終わりの頃に抱いていた
言葉には言い表せないような漠然とした不安感や、
じき一学年分だけ先輩になる期待感や、卒業という大きな節目を迎えて、
自分が少しだけ年をとって立派になったシニア感などなど、
(もちろんそんな感触は、四月には一番下っ端になってすぐに掻き消されてしまうのですが)
いろんな感情が入り交じった頃の記憶が鮮やかによみがえってくるのでした。

この春卒業を迎える若い人たち。ご卒業おめでとうございます。
喜びも、不安も、期待も諸々、今しか持ち得ない瑞々しい感性をいっぱいに抱いて、
次のステージへとどうか元気に羽ばたいていってください。


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「卒業」(c)Tomoko Okada

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by team-osubachi2 | 2019-03-13 16:09 | 人を描く
2019年 02月 21日

本番中

おぼろげな記憶ですが、あれは何年生の時でしたか、
おそらく小学校の秋の学芸会ででしょうか、クラスで劇の発表会をしたときに、
講堂のステージに一度だけ立ったことがありました。

脇ながら役をあてがわれて半纏を着るように言われましたから、
日本の民話ものだったかもしれません。
端役も端役、一言だけ台詞もあったのか、なかったのか。
お芝居の中身よりも、また、緊張したであろう出番よりも、
記憶の大半を占めているのはなぜだか薄暗いステージ裏の、
例えばそれは跳び箱やマットといった体育用具の独特な匂いなのでした。

大人になって、お芝居を観ていても、
表舞台以上にバックステージに興味が湧くのは今も変わりありません。


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「本番中」©Tomoko Okada

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by team-osubachi2 | 2019-02-21 16:23 | 人を描く
2019年 02月 13日

そうは思ってない

大人に叱られたとき、たいがいは素直にシュンとなってました。
でも、内心、どこかで「ホントにそうかな?」と思うことも
たくさんあったかもしれません。

叱られて、本当に身に沁みたことって、
たぶん片手で数えられるくらいしかないのかもしれません。

もっとも、こちらは叱られた経験ばかりで、
自分が子供を叱った経験がないので、実のところよくはわかりませんが。


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「そうは思ってない」©Tomoko Okada

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by team-osubachi2 | 2019-02-13 11:58 | 人を描く
2018年 12月 02日

小雪の日

師走に入っても、関東地方はまだ暖かい空気に覆われているようです。
こういう陽気で何が助かっているかというと、野菜のお値段と光熱費でしょうか。
それでも、北国からは雪の便りがちらほらと聞かれるようになりました。

小学生のころ、映画『八甲田山』よろしく集団登下校で
学校まで約3キロほどの道のりを歩いて通ったものでしたが、
そんな日本海側の豪雪地帯から一転、高校卒業後に空っ風の吹く東京にやってきた当初は
真っ青な青空が広がる真冬にかなり面食らった覚えがあります。
それでも、関東に雪が降りそうな日に「雪の匂い」が感じられたときには
やはり懐かしさを覚えたものでした。
さすがに太平洋側での暮らしも長くなり、いまではその感覚も鈍ってきたように思います。

これから本格的な冬を迎えますが、日照りや雨と同じように、
雪もどうか大層に暴れることがありませんようにと祈るばかりです。

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「小雪の日」©Tomoko Okada

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by team-osubachi2 | 2018-12-02 10:28 | 人を描く
2018年 11月 22日

柔らかい時間・2

しばらく暖かい日が続いていましたが、昨日今日は寒気が入り込んで、
この時期には少し早いような寒い朝をむかえました。
(調べてみたら本日「小雪」だそうで、ごく真っ当な寒さでありました)
草むら園(ベランダ)の片付けをしないと、と思いつつ、
外の寒さにやる気が失せてしまいました。

じっとしていると冷えてきます。
ウールの着物を自分で手直ししたうわっぱりを出してきて羽織ると、
ホカホカと温もりが布下で膨らんでくるような感じがします。
そういうところはやっぱり毛織物だなあと感心します。
(そのくせ着物として着ると、サラリとしたウールの単衣はなぜか
そうあったかいとも思えないので、洋服にも羽織れるうわっぱりに直したのですが)

絵は、春に描いた『柔らかい時間』を、あったかバージョンで描き直してみたものです。
どなた様も風邪などお引きになりませんよう、暖かくしてお過ごしください。

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「柔らかい時間・2」©Tomoko Okada

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by team-osubachi2 | 2018-11-22 10:18 | 人を描く
2018年 10月 16日

浜の午後

郷里の家は日本海に面したちいさな漁村にありますが、
私がうんと幼かったころ、村の端に港が造られる以前、
荒波に丸められたゴロゴロの丸石が多くて、ハマヒルガオやハマエンドウが咲く浜辺には
網小屋や船小屋がいくつもあり、野良猫たちの住処にもなっていたのではないかと思います。
滅多には人になつかない野良猫にも例外はいて、猫好きな人から餌をもらううちに
(実際には野良猫たちが家に近づくのを嫌がって、餌をあげない人が大半ですが)
人なつっこくなる猫と仲良くなり、秋寒の午後など膝に抱く温もりも、
家で飼えない子供には嬉しいことでした。

中学生になったある時、野良猫と遊んで、その後突然くしゃみと鼻水を連発するようになりましたが、
猫アレルギーなどというものがあるということを後になって知りました。
大人になってからは、もう子供のころのように一緒に戯れることはなくなりましたが、
それでも稀になつっこい猫がいると嬉しくてそっと撫でてあげたくなります。

まだときおり蒸し暑い日があったりもしますが、それでも季節はもう秋。
日によって朝晩冷え込むこともあります。
うちの近くの公園付近をうろうろしている野良猫たちにも、
どこか暖かい寝床が見つけられるといいなと思います。


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「浜の午後」©Tomoko Okada

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by team-osubachi2 | 2018-10-16 14:07 | 人を描く
2018年 10月 13日

薔薇のシャツ

洋服で好きなアイテムといえばシャツでしょうか。
ブラウスではなくシャツ。

これも万年好きで履くデニムに合わせて着るのはだいたい白いコットンやリネンのシャツ。
もちろん柄もののシャツも好きなのですが、
どういうワケか、可愛かったり面白い柄はなぜかメンズものに多く、
こちらが着たいと思うような綺麗なものや面白い柄ものは
レディースもののシャツにはとても少ないという不思議。
(いろいろな柄ものはシャツではなくブラウスに多いように思います)

そんな中で、かれこれ20年ほども大切に着ているのが
ピンクの薔薇の花模様のコットンシャツです。
さすがに買った当時より色が褪せて着てはいるものの、処分するにはまだ早く、
ゆくゆくはよそゆきでなくても、家着として大切に長く着たいと思います。


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「薔薇のシャツ」(c)Tomoko Okada

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by team-osubachi2 | 2018-10-13 16:51 | 人を描く