丘の上から通信

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2018年 10月 15日

映画『日日是好日』

いつもは相方と車でレイトショーに訪れる映画館。
電車でなら10分ほどのところへ初めて一人で行く。
今日はみんなにお得な観覧曜日。なので、朝のうちにサクッと一本映画を観に行ってきた。

今日のお題は『日日是好日』。
圧倒的にお婆さんお爺さんが多い中、最後尾の席に座ると、お隣は大学生と思しき若い男子二人。
ふと、良い席につけたかな、なんて思ったりして。w

お話がはじまって、主人公の典子と美智子が初めて武田先生のお宅に伺い、
お稽古場で最初の一服を先生が点ててくださるというところ・・・
武田先生こと樹木希林さんの手はカメラにぐっと寄って撮られていても、手指は全く震えていない。
大ベテランの女優さんなのだから、そんなことは当たり前な話なのだけど。
でも、お茶に入りたての若い二人に袱紗さばきを教えるときも、点前の手順を一手一手教えているときも、
茶会で茶碗を拝見するときも、樹木希林さんの中にはもう茶の湯が何十年分も入っていて、
身についたものを自在に出し入れできるお師匠さんという感じだ。

観ているうちに、かつて自分にも茶道を手ほどきしてくださった
(流派も年齢も大きく違う)二人の先生の佇まいも自然と思い出されて、
お稽古場に入った時の炭火の匂いや、灯りの陰ったほの暗い水屋や、
居ずまいを直す時や茶道具がかすかにたてる音が鮮やかに蘇ってきた。

そういえば、お茶を習っていた当時は、自分がお茶会に出かけるということがなかった。
どちらの先生も、他の先生とのおつきあいは個々にあったのだろうけれど、
弟子の私たちには強要なさらず、むしろ様々な点前の勉強やお茶事の勉強の方に熱心でいらした。
私がお茶会へ出かけるようになったのは、だから、茶道から遠ざかってからのことだ。
この原作や映画にも出てくる三渓園での茶会へ行ったこともあったっけ。
茶人といってもいろいろな人がいるから、場合によっては嬉しくないささやき声も聞こえてきたりして
あんまり規模の大きな茶会は行かなくてもいいなあ〜なんて思うようになったり。


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映画の中のお話が進むにつれ、典子も美智子もそれぞれの人生を歩んでゆく。
はて、武田先生はどんな人生を送ってこられたのだろう?
・・・ああ、そうだ。思い出した。
大正はじめの生まれでいらした老先生の人生もすごく波乱に富んでいたし、
私より若かった若先生の人生もすでに大きく悩み、揺れ動いていたんだっけ。
姉弟子さんらも実に様々なことが起きていたけれど、私自身もお茶を習っていた頃は
ジェットコースターに乗っかっているような出来事が色々あったり・・・。
でも、お稽古場ではみんな頭を空っぽにして、静かに目の前のお点前に集中してたんだった。
当時、茶道を習う弟子の一人として皆さんのお点前を見ていたころよりも、
今の方がひしひしと皆さんの人生の来し方というものを感じる。

本当に、世の中には、すぐわかるものと、すぐにはわからないものがあるね。
いつの日か、茶道を通して、それをまた体感する日がくるのかも。
焦ることはないんだな。お茶だけでなく、自分の仕事もあれこれも・・・。


映画『日日是好日』公式ホームページ





by team-osubachi2 | 2018-10-15 15:05 | 出かける・見る | Comments(2)
Commented by セージグリーン at 2018-10-16 16:46 x
来週、夕食を作らなくてよい日があるので、
その日に観にいくつもりです。もう一年、中お安い枠なので。
確かに、お稽古をしている頃には、
お客様としてお席に並ぶことは、ほとんどありませんでした。
長い時間をかけて「そういうことだったのか!」と腑に落ちることって、このスピードや効率が優先される現代では、
とても贅沢なことですよね。
楽しみに観たいと思います。
Commented by team-osubachi2 at 2018-10-16 18:25
セージグリーンさん
原作、文章で読む世界も良いですが、
映画は文章から受ける刺激とはまた違って、五感の記憶に響くように思いました。
楽しんできてください。


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