ブラッシュアップってこういうこと?!

六月から始まった挿画塾(2018年度・第3期)が昨日修了した。
三十代以上の少人数制で、今期は三名のみで受講。
講師の先生は「フムフムおじさん」の愛称を持つ装丁家の坂川栄治さん。
もとより業界内では有名な方で、これまで手がけられた冊数や、
世に送り出したベストセラーの数は半端ないデザイナーさんでいらっしゃる。

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純芸術であれ、私のような職能的分野の創作であれ、
一人でものを生み出す作業をしていると、知らず知らずのうちに
いろんな思い込みや描き癖のようなものが垢のように溜まってか、
本当に描きたいものがなんであるか迷ったり、見失ってしまったり、
前に見えていたはずの目標がボヤケてしまうこともあるワケで・・・。

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「いいですね」「素敵ですね」というありがたい言葉は諸刃の剣で、
あいまいな褒め言葉を真に受けてばかりいると、創作はそこ止まりに終わってしまう。
(もちろん中にはひとつの褒め言葉が飛躍のきっかけになることもあるのだけど)

結局、せっかく成長できる部分や前に進める修正点があっても、
人々の反応がだんだんに薄れてゆく中、自力でのびしろを見つけるというのは非常に困難で、
たとえ褒められても納得出来ないままの自分がいることに気がつくようになるのだ。
そして、もがく羽目になる。

もう何年も前からこの予兆はあって、自分の中に抱えている課題と
とうとうがっぷり四つに組むしかない状況になったころに出会ったのが坂川さんだった。

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その坂川さんが開設している挿画塾へ教えを請いに行くことに決めたのが春三月。
以来事前準備で二十点以上描き、さらに六月に入塾してからも
毎回新しいものを描いて持っていき見てもらうという日々。

批評はとても厳しく、絵の描き方や表現に潜む問題点を洗い出して、
なぜ絵に対する反応が薄くなるのかを具体的に紐解いて言ってくださる。
それがまた自分でも腑に落ちるものだったりするものだから、
イタイながらもここは目を背けずに受けとめなくてはいけないのだった。

と同時に、先生は生徒それぞれの持ち味をも見つけ出し、
きちんと評価し、どこをどう修正すればいいのか
まるで夜道の脇でライトを反射して光って見える道標のように
ゆく道を指し示してくれているみたいで
生徒の側から見ていても先生のその視点と指導は本当に素晴らしく、
受講中、私がまだ若かったころに聞いたある人の言葉を思い出した。

「見てただ批評するだけなら誰でも出来る。
人のものを評価するときは、(作者が抱えている課題の)
その先まで見越して言うのでなければ安易に批評してはいけない」

それって簡単なようで、実は誰にでも出来ることではないのかもと思った。

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さて、この塾の総仕上げは、生徒それぞれに与えられた
課題図書(単行本)の挿画を描くことである。
坂川さんがどんな本であれば生徒の絵と合うかカップリングを思案なさって、
過去に手がけてきた仕事の中から一冊を課題として選び私たちに与える。
そして仕事の手順と同様、坂川さんがディレクションし、
私たち生徒はデザイナーである坂川さんが目指す仕上がりにむかって
挿画を一点描き上げるのである。

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私に与えられた本は有吉玉青さんの『車掌さんの恋』というものだった。
作品の内容はここでは省くけれど、文章を読んでラフスケッチをいくつか描いて見せ、
修正の有無など先生のチェックを受けてのち原画を描きあげる。
そうして出来上がった原画に文字が配置され最終的なブックカバーが出来上がる。
(*これは挿画塾卒業制作のためのダミー本なので、本の中は白紙です)

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仕事としてこれまで何度も経験してきたことだけれど、
こうしたレッスンを通して出来上がった装丁本。
ダミーであってもなんだか感激してしまった。素直に嬉しい♡と思った。

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過去のどの個展で描いたときよりも、うんと自分の絵に向かった数ヶ月間。
忘れかけていたものを取り戻せたような嬉しさもあったし、
五十をいくつも過ぎて(もしかしたら歴代最年長だったかもしれないけど/笑)
あらためて学ぶことの良さと素晴らしさ、
そして、絵を描く悦びを味わわせていただいたと思う。

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坂川栄治先生、そしてクラスメイトのお二人も、この度はどうもありがとうございました♡
教えていただいたことを糧にして、これからも頑張ります!!

感謝をこめて・・・♪

Commented by 朋百香 at 2018-08-03 16:38 x
tomokoさま
暑い中をお疲れ様でした〜。
なかなか有意義な時間を過ごされたご様子、良かったですね。
歳がいけばいく程、教えを乞うというのは、難しくなりますものね。自分からこういう機会を作ってでもチャレンジなさって正解だったと思います。
これからもtokokoさんの作品、楽しみにしてま〜す。
Commented by セージグリーン at 2018-08-03 19:10 x
あー、なんだかノスタルジックでホッとするような装丁画です。ダミーでも、ヴィジュアルなリアリティーは十分ですね。
今回の研鑽を経て、ますますのご活躍をお祈りします。
実るほどに頭を垂れる稲穂のように、精進されるTomokoさんを応援しています!
Commented by team-osubachi2 at 2018-08-03 21:36
朋百香さん
ありがとうございます。
学業や仕事においても、お稽古事などの趣味においても、人それぞれに学びはずっと必要だと思いますが、
毎回夢中になって先生が他のクラスメイトに指導するのを横で見ながら
若いときとはまた違った理解力で先生のご指摘を受けとめられたのもとても面白かったです。
とにかく、今年は営業活動がんならなくては!です。励みます〜!
Commented by team-osubachi2 at 2018-08-03 21:47
セージグリーンさん
ありがとうございます。
懐かしさ、ノスタルジーさ、郷愁、イケイケな時代には、ともすれば後ろ向きだと烙印を捺されそうなこともあったのですが、
私の持ち味はまずそこだそうですから、むしろ自信を持って進んだ方がいいみたいです。頑張ります。
歌のお稽古も精進の連続ではありませんか。セージグリーンさんも頑張ってください♪
Commented by 香子 at 2018-08-04 07:56 x
受講終了おめでとうございます。
まだまだ通いたかったんではないでしょうか?
いくつになっても教えていただくって嬉しいですよね。
お宝な時でしたねぇ♪
Commented by team-osubachi2 at 2018-08-04 08:21
香子さん
ありがとうございます。
いやあ、クラスメイトの様子も自分の刺激になったりして、本当に毎回面白かったです。
が、先生の経験上八回やるくらいがちょうどいいと判断なさっていらっしゃるように、なるほど、私としても発見と再生と磨きあげの期間としては実に過不足なく十分と思いました。
卒業しても、先生と生徒という師弟関係はずっと続きますし、今後はメールなどでも見ていただきながらまずはポートフォリオを作成します。
それが作れたら何冊も用意してあちこちへ営業かけまする〜!
趣味と違うところは、やはりおまんま食い上げか否かというシビアな現実がかかっているところと思います(^^;; 頑張ります!笑
Commented by fuko346 at 2018-08-06 22:24
卒業制作(?)の作品 この本が書店においてあったら、
知らない作家さんのものでも 手にとってしまうだろうな、
と思いました。
そんなインパクトと魅力があります。

アニメっぽいものが多くて辟易しているので すっと清涼感
を感じましたです。
Commented by team-osubachi2 at 2018-08-06 23:39
fukoさん
わ〜、ありがとうございます。
ブックカバーといえども時代時代で流れがあって、イラストであれ、写真であれ、その流れに多少は翻弄されてしまいますが、
そういう時流に関係のないところで、自分の絵、自分の世界ってちゃんと手にしておきたいと思い、塾の門を叩きました。
行ってよかったです。これからもこつこつと励みまする。
by team-osubachi2 | 2018-08-03 12:49 | 仕事をする | Comments(8)