美しいものを見るのが好きだから

それまでのポカポカ陽気から一転、木枯らしが吹き出した一昨日の午後、
大好きな弁柄色の格子紬に、これも大好きな上原美智子さんの無地帯をあわせて
(色、なかなか出ないねえ〜)サッと出かけてきた。

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向かった先は、冨田潤さんとホリノウチ マキさんの二人展をやっていた
銀座のギャラリー「日々」さんとこと(*会期は終了しています)、
染色家の津田千枝子さんの個展が開かれている「青山 八木」さんとこ・・・。

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「日々」さんでは冨田さんのタブローのようなちいさな作品とクールなタペストリー、
そしてホリノウチさんのうっとり♡する手触りの毛織物のショールやマフラーを
お話をうかがいながらゆっくりと見せていただいた。

素敵だったなあ〜、とくに赤いショール・・・♡
お嫁にいただけたらいいだろうなあ〜。
こんな若い素敵な人をこれからも応援してあげたいなあ〜と思ったりもした。

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「日々」さんを出ると、すぐ斜め向かいに凮月堂さんが見えた。
そうだわ、ひさしぶりでお茶していっちゃおうかな〜♪

カステラと飲み物のセットで、しばし本を読んだり思索したり・・・いい心持ちだ。

ふと、自分はなぜ、人さまの作品展や絵画展を見に
いそいそ出かけてゆくのだろう?と疑問に思った。
いまあれこれ作品を見て、それを買えるわけでもないのに・・・。

「だって、きれいなものや美しいものを見るのが好きなんだもの」

そうよ、美しいものを見るのが大好きなんだもん。
じかに見ることで、作品が持っているパワーをいただいたり、
よい刺激になるとでも言えばいいのかなあ。

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それは次に立ち寄った「青山 八木」さんところで拝見した
津田千枝子さんの作品でもあらためて思ったことだった。(*10日土曜日まで開催中)

初日の夕方だというのに、大半はすでにお嫁入りしてカウンターの上に除けて置かれた帯の山から
「こっちもぜひ見ていって ♪」と津田さん自ら広げて見せてくださる。
布が広がるたびに、優しい、けれどとても力のこもった染めの花模様や
洒脱な幾何学模様がこぼれるように現れる。

はああ〜・・・・♡
ため息をつきながらも、作品の持つ輝きというのか、オーラのようなものに釘付けになる。
浴びると言ってもいいかもしれない。
たとえその物が自分とご縁がなくてもいっこうに構わない。
作品と対面するこの瞬間が大好きだ。

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拝見し終えてそろそろおいとましようかというとき、
津田さんの帯を締めた八木さんのお客さま方がグループでいらっしゃった。

布という平面から帯となって人の体に立体的に添うと、
それまでとは異なる表情になるのが本当に面白い。
たちまち会場は祝祭感でいっぱいになり、にぎにぎしくなったところでお店を後にした。

帰宅してから着ていたものを着物ハンガーにかけ、さぼしながら惚れ惚れと見とれる。
ああ、私は綺麗なものを見るのが本当に好きだ♡
またあちらこちら、時間の都合がつくときには見に出かけよう。
心の中の小引き出しには綺麗なものがすでにいっぱいあるけれど、
まだまだいくらでも余地はあるから ♪

Commented by 朋百香 at 2016-12-08 22:48 x
tomokoさま
津田さんの帯、本当におっしゃる通りですねぇ。優しいんだけどパワーがある。あの独特の色使いが好きです。
私も美しいもの、好きですが特に「布」に惹かれます。美しい布は見ていて飽きませんね。tomokoさんの格子柄のおきもの綺麗。この色にこの色を入れるって、やっぱり織る人の感性かしら?
Commented by 神奈川絵美 at 2016-12-08 22:56 x
こんにちは! 私もきれいなもの観るの大好き~。
お召しのお着物、本当にTomokoさんらしさが引き立つ、というのかな、とてもお似合いの色柄ですよね。
冨田さんの作品も、人様のものやこうして写真で見ることはあるのですが、なかなか展示に足を運べず。秋冬にながめていたい、温かみがありますよね。
Commented by sogno-3080 at 2016-12-09 06:32
良いものを沢山見てこられたのですね。
ホント美しいものは刺激・パワーを与えてくれますね!私も日々もっと×5くらい(笑)
見に行きたいです。ま、それが叶わないとしても、今この季節、空を見上げれば
青空とそして銀杏もその視界に。自然からそれを頂いている状態。
Tomokoさんのブログからも、美しいものを沢山受け取って、はあ~とため息。
お着物の色と模様の美しいこと!何色入っているんだろうと数えたりして・・
パワーを頂いて今日も仕事へ行ってきます♥
Commented by team-osubachi2 at 2016-12-09 09:13
朋百香さん
津田さんの作品、シックな色合いだのに本当にパワーがあって
一点でもピカピカしてるのに、いっせいに並んだところは
ある種パレードみたいにもうキラッキラですね〜!浴びてきました。笑
いそーんな方々のそれぞれ生み出すものは、やっぱりその人それぞれ「そのときの感性」なのでしょうねえ。
朋百香さんの作品もそう感じますですよ〜。
Commented by team-osubachi2 at 2016-12-09 09:19
絵美さん
このあかい紬、三十代の前半だったかなあ、「池田」さんとこで出会ったものです。
どこの産かはわかりませんがまだ新しくて、重子さんが「いいのを見つけましたね」って。
当時はなんと真っ黒の八掛けがついてたんですよ!それも好きで三十代のころよくきましたが、四十代になる前に一回洗い張りして、手持ちの臙脂の八掛けにとりかえました。その方が帯を選ばないので。
綺麗なものを見るのは本当に心躍りますね。冨田さんの色使いもカッコイイ!来年八木さんとこで帯展予定されているそうですよ。
Commented by team-osubachi2 at 2016-12-09 09:32
sognoさん
独身のころは都心ちかくに住んで、時間も自由で何の気なしにいましたが、外へ出かけるって、たとえば美術館へ行くのでも、都心を離れて二人暮らしになってから年々ちょっと特別感があるように感じられるようになりました。
お家ですることがたくさんあると出かけるのってそれだけ大切なひとときになるのですね。
でも、以前にはわからなかっら綺麗なものもじっさい身の周りにはたくさんありますよね〜。買い物に行く足元にも、台所にも、映画館や本屋さんにも、、、美しい装丁の本なんかを見ると、もうそれだけでうっとりしちゃいます。
私は文章はほとんど頭の中で映像化しちゃうんですが、そういえば文学部出身のカメラマン女子は「言葉の美にうっとりします」というのを聞いて、なるほどなあ〜と思ったことありました。
お外に出かけられるとこはそれを思いきり満喫し、普段は身の周りのちいさなちいさな美をいっぱい拾って楽しみませう♪
あ、そんなちいさな綺麗なものも発見したくて、ルーペを持ち歩いてるのかも、私・・・?!笑
Commented by cello87 at 2016-12-09 11:45 x
素敵な紬ですねえ。
昨日着た着物を片付けなくちゃ!とお掃除を後回しにして 箪笥の前にくると あれこれ引っ張りだしては 眺めては 嬉しい気持ちになります。
私も布が好きなんだと思います。
水曜日は沖縄まで 日帰りで行って参りました。
今年3月初めていった沖縄で お邪魔した金城昌太郎さんの工房。何十枚もの型染めの見本を見せていただき 感動して帰宅しました。
78歳にして 3度目の個展、40年前にお弟子さんを独り立ちさせてから 着尺は1枚も染めてらっしゃいません。大事にしまってあった それらの着物に帯。思い切って飛んでいってよかったです。
ピーチ航空がその日だけ 片道4300円だったのも 後押ししてくれました。たった沖縄滞在5時間でも大満足でした。
Commented by team-osubachi2 at 2016-12-09 17:15
cello87さん
沖縄日帰りとはさすがです。そちらから沖縄は近いのでしょうね〜。
そのエアチケット代も、これはもう行って来なさいという証しだったのでしょう。
さっそく検索してみましたが、この事ですかね?
http://okinawa-keizai.com/event_category/%E9%87%91%E5%9F%8E%E6%98%8C%E5%A4%AA%E9%83%8E60%E5%B9%B4%E3%81%AE%E9%9B%86%E5%A4%A7%E6%88%90%EF%BC%81%E3%80%8C%E7%90%89%E7%90%83%E7%B4%85%E5%9E%8B%E5%B1%95%E3%80%8D2016%E5%B9%B412%E6%9C%881%E6%97%A5/
ああああ〜、長いURL(^^;;
このお歳でようやく三度目、でも、きっと濃い個展だったに違いないですね。

Commented by cello87 at 2016-12-09 18:19 x
フェイスブックで金城昌太郎さんが 検索できると思います。
東京だったら 数本出されていた帯も 即完売だったでしょうが 。
Commented by fuko346 at 2016-12-10 09:57
う~ん このおきものは tomokoさんのためにあるような、、、。

美しい布 見てさわっているだけで じわじわとこころに喜びと力が しみ込んでくるのですよね。
できれば自分のものにしたいけど そうもいかず、でも、ほんとにみるだけ さわるだけで 満足できます。
そういうものは 作り手の魂が糸に乗り移っているのだ、と感じるのでありまする。
Commented by team-osubachi2 at 2016-12-10 10:48
fukoさん
はい、この弁柄色の格子はいったん最初の持ち主が手放されたのち、私のところに来てとても喜んでいるように思います。笑
布だけでなく、物も絵も写真も小説も、きっと作り手の魂から生まれたものが人の心に届くのかもしれないですねえ。
このごろは、うっとり見惚れたものでも、自分のものにしたいというキモチは薄れて、どなたかのもとへお嫁にゆくことへの祝福感をその布(や物)に託すようなキモチになることが多くなりました。・・・なんて、実際は袖を振っても何も出ないからそんな境地になるだけなのかもしれませんが。笑
Commented by セージグリーン at 2016-12-10 16:53 x
美しいものに触れる、眺める、愛でる機会が持てることは、
何と幸せなことかと思います。
美に感応する心、見える目、丈夫な脚その他諸々、条件が整ってこそ、ですものね。
私などとっくに物欲は薄れているので、ただもう美しいものを
目にする「その時」だけを楽しもうと思っています。
Tomokoさんのお召し物、よくお似合いになるのが想像できます。ミルキーホワイトのこのおみ帯も、いつもステキだなぁと思います。
Commented by team-osubachi2 at 2016-12-10 21:33
セージグリーンさん
買い物はなんともいえずウキウキと楽しいときもありますが、私も若いときよりはだいぶ物欲は静かになった・・・ような気がしています。錯覚でなければ、ですが。笑

ーーー我れはひとの世に 痛苦と失望とをなぐさめんために生まれ来つる詩の神の子なり おごれるものをおさえ なやめるものをすくうべきは わがつとめなり されば四六時中 いづれのときか打ちやすみつつあらんや 我が血をもりし此ふくろの破れざる限り 我れはこの美を残すべく しかしてこの世ほろびざる限り わが詩は人のいのちとなりぬべきなりーーー
胸が締めつけられるほどの願いを記した樋口一葉さんの日記のこと、先日久しぶりにあらためて感じ入る機会がありまして「おごれるものをおさへ、なやめるものをすくう」という「美」・・・いやあ、こんなこと二十代の女子が書けるものでしょうか。
美しいものを見に出かけるにはセージグリーンさんのおっしゃるように条件が整うことを必要とするかもしれませんが、でも、たとえ整わずとも美を発見をすることはどこででも可能だろうと思うようになりました。たとえ生み出せずとも、見て、感じて、味わえる悦び、大事にしたいですよねえ。
by team-osubachi2 | 2016-12-08 22:14 | 着物のこと | Comments(13)

イラストレーター岡田知子の、暮らしと、着物と、お絵描きの日々


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