沖潤子作品集『PUNK』

知る人はすでに知っている茅場町の古書店・森岡商店さんが
銀座の古い雑居ビルに惚れ込み、
新しく「一冊の本を売る店」をオープンさせるらしいと聞いていた。

めでたくその開店第一弾の企画として、
刺繍アーティストの沖潤子さんの作品展と
新刊の作品集『PUNK』(文藝春秋社刊)を店頭販売するとのことで、
昨夜はその沖潤子さんと『PUNK』担当編集の児玉藍さんの
トークイベントに行ってお話を聞いてきた。

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沖さんのことを知ったのは、今年のはじめに
茅場町の森岡書店さんで作品集『PUNK』を見たのがキッカケだった。
(残念ながら、これまでの展示はだから拝見できていないけど)

写真で見るだけでも、布の色とテクスチャーと、そして
ひたすらチクチクチクチクおびただしく糸を刺してある刺繍が
グワーーッ!っとこちらの脳ミソに迫ってくる。

なんだ?なんだ?・・・なんだかすごいパワーだゾ、これは?!

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ちいさなちいさなこの森岡書店さんの銀座店の壁はギャラリーになっていて
沖さんの作品が展示されていた。

脳に迫るパワーがあふれる布は、でも、
自分の印象とは反対にほどよい大きさ(小ささ)で、
刺繍は実際には想像以上にすごく細かい。いやあ〜、でもすごいのよ。
なんだってこんなにパワーがあるんだろう?この布たちは・・・?!


沖潤子作品集『PUNK』_f0229926_1040243.jpg


トークで沖さんがどんな風に制作されているか、とか
担当の児玉さんがどうして作品集にしたいと思ったか、とか
作品を見た人たちの感想など面白い話がいろいろ聞けてよかった。

ひとつ合点がいったのは、チカラがこもっている作品って
見る人の、おそらく本人ですら気付いていない部分、
「真っ正直な自分」とか「素の自分」だとかに対峙させるくらい
大きくおおきく作用する「何か」があるんだってこと。

タイトルの『PUNK』、以前、DEE'S HALLでの展示のときだかに、
平松洋子さんが作品を見て「パンクねえ・・・!」と何度も口にされ、
沖さんの目を見てまた「あなた、パンクねえ!」とおっしゃったそうだ。

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この作品集も、いまの時代この値段で出すのは担当さんにとって
そうとう社内でのご苦労も多かったろうと思われる一冊になっている。
紙質の選び方から背表紙の造りまで凝っていて、沖さんの作品と同じように
読者に「ボロボロになるまで使い込んでOKよ!」って言ってるみたいな・・・?

で、お小遣いオーバーは覚悟の上で買ってきちゃった。w
来週のためにとっておいた文楽のチケット代が飛んでっちゃったけど
まいっか、これも私にとっては
頭の中をチクチクと刺激してくれる大事な資料だもんネ♪

沖さんの作品を上手に一つの空間にまとめる額も
すこぶる存在感があって素敵だった。

今回の企画展示は明日17日の日曜日まで(月曜休)。
http://www.fashionsnap.com/news/2015-05-07/moriokashoten-ginza/

沖潤子『PUNK』/文藝春秋BOOKS
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163901824


Commented by naomu-cyo at 2015-05-16 19:11
 うわわ、森岡書店銀座オープンしてたのですねー!気付けば遅し、明日まわれるか!?
Commented by team-osubachi2 at 2015-05-16 20:06
ムーチョさん
そうなんですのよ!
間に合うようならぜひぜひ〜!♪( ´θ`)ノ
Commented by sogno-3080 at 2015-05-17 05:36
チクチクのパワーがPCの画面からこちらに
ドドドッと流れ込んできます。
無秩序の秩序?
刺繍にも人にも興味あります。
Commented by team-osubachi2 at 2015-05-17 14:26
sognoさん
はい、なんでしょね?
本当にチクチクと刺激を受けます、沖さんの作品。
きっとこれからますます注目のアーティストさんと思います。
Commented by くうきい at 2022-07-21 18:59 x
7年も前のブログに書き込みするのも変なのですが・・・(笑)
わたし、この本のケースを作った者ですw
製本はもちろんすごいのですが・・・。
実は、このケース、ものすごく作るの大変で、弊社は90年以上本函専業の業者なんですが、私の函屋人生で、5本の指に入るほどの難しさw
箔押しがきれいに仕上がらなきゃいけないし、この、ハコの用紙のNTラシャ紺藍は、非常に傷がつきやすく、芯のボールは硬くて割れやすく、割れると地が白いのが見えて1発アウト・・・。
普通のケースの10倍以上の時間と手間をかけ作りました。
しかし、文春の担当者さんに、沖さんが気に入ってくれた・・・というお話をきけたので、ほっとしたのを思い出しました。

で、今回5回目の重版・・・。
現在は、自社工場を閉鎖したのですが、このケースを作ったメンバーは健在なので、クオリティーを守りつつ、頑張ります。
Commented by team-osubachi2 at 2022-07-22 11:46
くうきいさん
はじめまして。なんとも興味あるコメントをありがとうございます♪
ご本の函も、とても興味深く感じるせかいでしたから、コメントで、その業界ならではの、といいますか
「この本の函」ならではの、ご苦労の一端を聞かせて下さってありがとうございます。
で、これが五刷りの重版とは、なんとも珍しくめでたいことと思います。
会社はなくなってしまわれて残念至極ですが、これ、実にいい函です!これからも大事にいたします!
増刷分や函もの、これからも頑張ってお造りください。他所ながらに応援しています。
by team-osubachi2 | 2015-05-16 11:35 | 買う | Comments(6)

イラストレーター岡田知子の、暮らしと、着物と、お絵描きの日々


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