面(おもて)

あるときテレビを見ていて急に気がついた。
とある女優さんの顔が、以前とはかなり違う印象の顔になっているではないか?!

私はこの女優さんの以前の顔が好きだった。
海外の映画にも登場するくらい意思のはっきりした顔つきだったのに、
美容整形にありがちな(あまり個性の感じられない)
ただのキレイな女の子の顔になってしまったようで残念に思ったのだけれど、
すでに十分顔が知られた女優としては、
きっとそれはそれでとても勇気の要る大きな賭けだったろうと想像する。

・・・そうか、これが、このかわいらしい雰囲気をもった顔が
彼女の心が求めていた顔なのか。

あの面の下にそんな思いが隠れていたなんて思いもしないことだったけれど、
では、私が自分勝手にこの女優さんの以前の顔に感じていた
「はっきりとした意思のありそうな」とは何だったのだろう?

このごろはバラエティやカルチャーものにもよく登場するようになり、
仕事の幅が広がったようで何よりのこととは思うものの
はたして女優としてはどうなのだろうか?
ひょっとして、以前のような個性的な役はもう来ないのではないだろうか?
・・・などと、余計なお世話である。



面(おもて)_f0229926_22514635.jpg



昨日の朝、妙な夢を見た。
むかしむかし中世日本のどこか、鄙びたお寺の学び所のような場所で
まだ子供の私は千切り紙で張り子の女面をこしらえ、
そこへ下手なりに眉をひき、瞳を入れ、朱墨で紅を差した。

なぜか仕上がりを見ないまま、夕方、学びを終えて
能をなさる老師のもとへと行き、
この張り子の面でひとさし舞ってくれとお願いするのである。

老師は快く受けてくださり、
さあ、自分のこさえた張り子の面がいよいよ舞うところを見られるゾ!
・・・とワクワクしているところで、
突然夢はシュ〜・・・っとしぼんで目が覚めてしまった!ああ〜・・・!

いったい夢の中で自分がこさえた女の面は
どんな顔をしていたのだろう?・・・ちょっぴり残念である。


*イラストレーションの無断使用及び複製・転載をかたく禁じます
Commented by fuko346 at 2014-07-24 12:40
↑ の 面は きりっとしたお顔ですね。 
この頃 お能で 面が 気になって仕方ありません。面を選ぶことは その能をどうとらえて舞うか、ということですから。
選ぶおシテの内面があらわになってしまう 怖いことだなあ、とか思うのでした。

風雅な夢をご覧になるのですね。どんな舞いだったのでしょう、、
夢って面白いですね。
Commented by team-osubachi2 at 2014-07-24 14:23
fukoさん
面って不思議なものですよね。
人の顔も面白いですが、人形だったり面だったり、形は動かないはずのものに人以上の表情が見えてしまったりするのは何故でしょうか?そこに、面をつけた人の心の深淵までも覗き見できてしまう怖さ。。。描けるものではないですねえ。
今朝は何を思ったか、舞台から飛び降りて伊兵衛織りをオーダーしてしまう夢を見ました。醒めて心底ホッとしました。小心者です。笑
Commented by 朋百香 at 2014-07-24 16:27 x
tomokoさま
フランスの女優さんがアメリカに比べて整形率が低い
様に感じるのは私だけでしょうか?
フランスの女優さんの皺が素敵に見えるのは私だけで
しょうか?
女の皺も生きてきた歴史ですよねぇ。
そう言いながらも、毎晩皺取りクリームを塗ってしまう
女心(笑)
Commented by team-osubachi2 at 2014-07-24 23:22
朋百香さん
そう言われてみれば、そうかもしれませんね、フランスの女優さん方。
『ラマン』でナレーションをして『デュラス 愛の最終章』で最晩年のデュラスを演じたジャンヌ・モローがめっちゃ素敵でしたね!!カトリーヌ・ドヌーブにも惹かれるものがあります。米国女優ではメリル・ストリープに好感を持ってますが、決して粗雑に扱ってはいないシワと年輪とを比例させていける人っていいなあって思います。杉村春子さんこそはいっさいの整形をなさらなかったと劇団関係の方から聞いたことがあります。そこも尊敬してしまう点かもです。
Commented by 香子 at 2014-07-25 10:27 x
幻想的な夢でしたねえ。
能の面はほんの少し角度を変えただけで表情が変わるんですよね。
こちらの心の有り様も関係してるとは思いますが。。。
そして、面と言えばこれから「修禅寺物語」を観て来ま〜す (^-^)/
Commented by team-osubachi2 at 2014-07-25 15:14
香子さん
見た夢は、どちらかといえば佐渡島の風景にありそうな田舎の景色のように感じるのでした。
舞を見られなかったのを残念に思いつつ、老師にお願いにあがったときの夕方の長閑さ、余韻がまだあります。
「修善寺物語」いいですね!愉しんでいらしてください〜。
by team-osubachi2 | 2014-07-24 09:46 | 人を描く | Comments(6)

イラストレーター岡田知子の、暮らしと、着物と、お絵描きの日々


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