ひとつの終わりと始まり

数年前、昆虫好きの相方が持っていたBBC制作のDVD
『LIFE IN THE UNDERGROWTH』をはじめて見た。

D・アッテンボロー氏が案内する驚異の昆虫世界は、
宇宙や深海の世界を知るのと同じくらいビックリ仰天するような映像の連続で、
そこから見えてくる自然界の姿は、
私たち人間なんかには想像もつかないくらい
ゆたかで、多様で、大きな包容力と優しさがあると同時に
峻烈なほどに厳しい生命世界だということだった。

ひとつの終わりと始まり_f0229926_1534871.jpg

先日、ご近所からもらってきたラベンダーの枝に
テントウムシの蛹をふたつ見つけたので
枝を水に差して観察していたら、日曜の朝たっぷりと寝坊したその隙に
一匹はすでに羽化して、蛹の殻を残してどこかへ飛び去ってしまっていた。
うわ〜残念!でも、もう一匹残ってるし〜♬

そのもう一匹の羽化を楽しみにしていたところ、
翌日、なにやら様子がおかしい。
「・・・?」と、ルーペを持ち出してきて見てみたところ、
なんとその蛹のまわりに体長2ミリにも満たない
黒くて微小なハチが何匹もたかっているではないか!?
うわっ、なにこれ〜っ?!
よ〜く観察してみたらば、それはなんと
蛹の中に寄生していたハチたちの羽化したばかりの姿だった!
ガビ〜〜ン!!

この地上には寄生するハチやハエの仲間はとても多いらしい。
(でも、人間と違って、彼らは共存している宿り主を
決して根絶やしにしたりはしない)
テントウムシを糧に羽化したハチたちの動きは、
いたっての〜んびりとしたもので、その亡骸をあとに、
ゆっくりゆっくりと飛び去っていった・・・。

ひとつの生命が消えると同時に、
そこからいくつもの生命が生まれ、巣立っていく。
知識として頭でわかってはいても、
実際この目ではじめて見るその有り様には少なからずショックを受けた。
テントウムシの羽化を楽しみにしていただけに、
この、思いもしなかった結果には
正直いって自分でも意外なほど胸がザワついた。

胸のザワつきは結局一日中続いたけれど、
夜になってようやく「でも・・・」と思った。
私が見たのは、大きなおおきな自然界の
ほんのピンの先ほどのちいさな一部分にすぎない。
でも、そうだ。これもまた “あるがままの自然” の姿なんだ。
この胸のザワつきは、自分が初めて接した事実に
心が動いた・・・「感動」した証しだと思った。

知識と体験が一人の人間の中で結びつき、ひとつの経験となるには、
こういう出来事は不可欠なのだろう。
いい勉強をさせてもらったと思っている。
by team-osubachi2 | 2012-06-13 12:21 | 生きものの世界 | Comments(0)

イラストレーター岡田知子の、暮らしと、着物と、お絵描きの日々


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