赤い傘と紫の傘

じきに梅雨入りだ。
昨日の午後、南風が強く吹きはじめてお天気がよくなってきたら
急に思い出して、お気に入りの和傘を陰干しした。

若いころ、着物を着てさす赤い蛇の目傘に憧れて、
ずっと以前、京都へ行ったさいに買って帰った赤い傘。
長く使うことを考えて、羽二重張りの無地にした。

赤い傘と紫の傘_f0229926_7465054.jpg

いつだったか、新宿御苑でのお茶会に行ったときのこと。
もとからお天気が怪しかったところへ、
見事に台風が関東にぶつかってきて、お昼ごろから激しい雨風・・・。
竹と和紙と薄絹で出来た傘でダイジョーブかなあ〜?!

でも、骨の数が多い和傘は嵐の中でも大丈夫だった。
もっとも、すぼめ気味にささなくちゃいけなかったけれど、
骨の数が多いと、傘も風に強いものだということをその時に知った。
雨風の中、お茶会もどうにかこうにか中止にならず
三席まわって帰宅したころには
たっぷりと水を吸った傘はズッシリと重くなっていた・・・。

しかし和傘のいちばん面倒なところは、持ち運びかもしれない。
和傘は柄を下にして持たなくてはならないし、
手荷物が多いときには、とてもじゃないが持ち辛いんである。
そこで、思案して作ってみたのが和傘用の傘袋。
あちこち寸法をはかり、どうすれば自分が持ちやすいかデザインも吟味して
うちにあった鰹縞のかた〜い木綿の反物を切って作ってみた。

結果は上々!! 丈夫な木綿で作ってあるから、
濡れた傘を入れても、水を吸ってしずくがたれてこないし、
差し込み口の結び目で長さを調整できるようにしたので
手首にかけて持ち運びも出来るんであ〜る ♬

赤い傘と紫の傘_f0229926_87335.jpg

『夜目 遠目 傘のうち』という。
暗い雨の日に、雨コートを着て、爪革をつけた利休を履いて
赤い傘をさして歩くのは気分がよかった。
傘内に張られた糸飾りの様子を眺めるのも愉しいが
なんといっても赤い色が顔によく映って元気になるカンジがした。

でも、今ではさすがに地下鉄の階段の上り下りを考えて、
もう利休は履かなくなってしまった。
母親が誂えてくれた赤い雨コートももう着ない。
どうで撥水力は劣化するので、いまの自分の雨コートは、
最初から割り切ってアップルコート(化繊)である。
場合によっては、洋傘で出かけたりもする。
疲れ予防や経済を優先して楽な方に流れると、
風情というのは失われるものなのかもしれない・・・。

ところで、この春、着物の大先輩の方から、
紫の傘(これも羽二重張りの無地)を譲りうけた。
もうしばらくは赤い傘の色を楽しみつつ、
いずれ紫の傘も楽しむようになるのだろう。
和傘、洋傘、それぞれに使い分けながら
長い雨の季節を少しでも楽しく快適に過ごしたいものである。
Commented by 神奈川絵美 at 2012-06-08 11:50 x
こんにちは! えっ、和傘は柄を下にして持ち歩かないといけないのですね。知りませんでした・・・。
水を吸っても大丈夫、というのもすごいですよね。少し大仰ですが、いかにも自然と共存している感じがします。
Commented by team-osubachi2 at 2012-06-08 12:46
絵美さん
あ、和傘はそうなんですよ。ほら、絵画や芝居でもよく見る図ですね、閉じた傘の頭を上にして持ってますよね。でないと傘が開いちゃう構造なのですよ。でもって、水を吸うときっちり傘が閉じないという。f^_^;)
ここ十年ほどで和傘タイプの洋傘も広く浸透して、使い勝手からいえばそちらの方が断然便利だと思うんですが、でもそのちょいと不便なところもまた愛すべき点かもですね~。
Commented by sachiko at 2012-06-09 00:43 x
紫の和傘・・・ おソロですわん
2代目使用中です。。。

傘袋・・・ 良いですね。
そこまで考えが及ばす 最近は洋傘の出番が多いですぅ

久し振りに取り出してみようかしら
明日は・・・ あららもう今日ですね 1日雨の予報
和傘のためにお着物・・・ そんな日もありかしらん(笑)
Commented by team-osubachi2 at 2012-06-09 00:50
sachikoさん
私にはまだちょっとだけ早いかもですが、紫も大人の女性に似合う色だなあ〜と感心しております〜。ほんのりと艶っぽい雰囲気ですねえ。
傘袋はオススメですよ。ミシンでダーーーーッとやればすぐですし。いつかお団子ちゃんのページで紹介するかもで〜す。
せっかくの梅雨シーズン、傘を楽しむためのお着物ってアリです、アリ♬(笑)
Commented by ひろの at 2012-06-10 22:32 x
とても素敵な和傘ですね〜
1本も持っていないので憧れます。
柄を下にするのも知りませんでした・・・
そう言われてみれば、確かにそんな光景を時代劇でみたような…

Commented by team-osubachi2 at 2012-06-10 22:57
ひろのさん
こんにちは。ひろのさんのブログも拝見しましたが、正統で上品な柔らかものが多くていらっしゃるご様子。よろしければこの梅雨にぜひ一本お持ちになりませんか?きっとお似合いになると想像します〜♬
Commented at 2012-06-11 19:14 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by team-osubachi2 at 2012-06-11 20:55
イチゴさん
はじめまして〜。嬉しいコメントをありがとうございました〜!傘袋ですね、では個展が終わりましたら描き起こしてみましょうかね。我ながら便利に出来たなあ〜と悦に入っております(笑)。掲載までちょっと時間かかるかもですが、気長にお待ちくださいませ。

それにしても『きものサロン』さんで見ていてくださったとはありがたいコトです、感激しています!思わず登場した頃の切り抜きを見直しました。98年秋が最初のようです。見ていたら懐かしくなって、せっかくですし、季節ごとにこれら切り抜きも掲載しようかな〜と思いました。

個展も励みます!もちろん、会期が終わりましたら載せてよさそうなものをアップするつもりでおりますので、見ていただけましたら嬉しいです。
どうぞこれからもよろしくお願いいたします〜。
by team-osubachi2 | 2012-06-08 09:00 | これが好き | Comments(8)

イラストレーター岡田知子の、暮らしと、着物と、お絵描きの日々


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