丘の上から通信

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2012年 05月 09日

入谷界わいを歩く

今年も某会報誌のマップ仕事をいただいた。
というワケで、また下町方面へロケ歩きに行った昨日は
おだやかな晴天に恵まれた一日だった。

今回まわったのは、御徒町を出て入谷から下谷、
さらには根岸に行って、鶯谷から上野に戻るコース。

入谷方面は、若かりしころ、朝顔市のときに
鬼子母神様のあたりを1〜2度歩いただけで、
下谷から根岸にかけてはほとんど馴染みがなかった土地だけに
今回のロケ取材も(仕事だけど)とっても楽しい下町散歩になった。

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入谷はなんといっても鬼子母神さまが有名である。
・・・とくれば、この界わいは夏の朝顔市が目玉なのだが、
季節的にはそれはまだちょっと先のお話。

入谷はこの他に、尾形乾山が享保年間に齢69にして
ここへ移り住んだそうで、無知な私は今回はじめてそのことを知り、
なんだか「へええ〜!」だった。
乾山の焼き物を見るのが大好きだけれど、今度見る機会があったら
どれが入谷時代のものか注意して見てみようかな〜。

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入谷から合羽橋商店街の外れまで歩いて、いったん
『池波正太郎記念文庫』へはじめて足を踏み入れ、
大好きだった池波文学の世界に触れたあと、
住宅街の小路をうろつきながら
下谷方面の戦災で焼け残った古い住居などを見て歩き、
根岸のあたりへ出た。

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“根岸の里” 界わいの面白さは、落語や映画、
たとえば成瀬巳喜男の『晩菊』なんかに出てきそうな町の雰囲気が
今も見てとれることだろうか・・・。
その昔、大店のご隠居が住んでいたような瀟酒な家の門構えや
お妾さんが住んでいそうな路地や連込み宿の跡、
現代のプチ・ラブホと「しもた屋」とが隣り合わせにごちゃごちゃとある。

そんな町の一画にある洋食屋『ビクトリヤ』での昼食をはさんで、
路地裏から大通りをまたいで歩いて、
同行のデザイナーさんにナビされるままについていったら、
正岡子規の居住地だったという『子規庵』の入り口にでた。

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子規が亡くなった明治35年当時のこの界わいは
どんな風だったのだろう・・・?
建物は太平洋戦争時の空襲で焼けてしまい
現在の子規庵は戦後に立てられたものだそうだけれど、
ここもいつかまた機会があるときに覗いてみようかな。

昨日の日中は夏日で、路地を歩いていると
ときどき暑さがムワ〜ッときて、
ああ、もう初夏なんだなあ〜と思った。

ひと通り取材を終え、最後に上野公園を貸し自転車でまわり
広小路の『みはし』でお茶をした。
私はみつ豆を頼んだが、同行の3人で宇治金時氷をひとついただいた。
この夏初めて食べた氷は、初夏の日差しに火照り、
歩き回って疲れたカラダにはことに沁みた美味しさだった。

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帰宅して、写真の整理をしながら
子規の句を探してみたらば、こんなのがあった。

上野から 見下ろす町の あつさ哉
                  子規

うう〜ん、まさに。
上野の山から見下ろす入谷だの下谷だの根岸だの・・・。
明治から現代へ時代は変わっても、
なぜか変わらずに流れ続ける町の空気や様子、
場の雰囲気ってあるんだなあ〜。
でも、だから町歩きは面白いのであ〜る。
うん、今回も楽しいロケだった〜!

by team-osubachi2 | 2012-05-09 00:12 | 出かける・見る | Comments(2)
Commented by りら at 2012-05-09 05:03 x
良いですねぇ・・・・
お仕事のロケハンで物見遊山ではないのでしょうが、楽しんでらっしゃることが伝わってきます。
一枚目の画像、こんな風情がまだ残っているというのが、嬉しいですねぇ。
気軽な着物でカラコロ下駄を鳴らしていく、そんな姿が見えるようです。

「ビクトリア」の店名と「世茂利奈」の佇まいに感激!
行ってみたい~!!
Commented by team-osubachi2 at 2012-05-09 12:48
りらさん
田舎から東京に出てきたてのころは、たとえば浅草がビルばっかりの住まいが多くて、勝手に抱いていた下町のイメージとのギャップにちょっとガッカリしたこともありましたが、何度も通ううちに、佇まいは変わってしまっても(それだけの戦禍があったワケですしねえ)、それとなくアンテナを張れば、そこにはちゃんと地域ならではの雰囲気が残っていることを学びました。もちろん、時代とともに失われていくものがあるんだというコトも学びつつ。

あ!お店の名前、ちょっと間違えてましたね。「ビクトリア」ではなく正しくは「ビクトリヤ」でした。久しぶりに日本ならではの洋食を味わいました〜。それから「世茂利奈」も見たカンジよさげでしたよ。スパゲッティってところがまたなんとも(笑)、喫茶店のナポリタン、思い出すとたま〜に食べたくなっちゃいます。


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