丘の上から通信

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2010年 11月 24日

五島美術館の「源氏物語絵巻」展

五島美術館で開催中の「源氏物語絵巻」展を見にいってきた。
私の「源氏物語」体験は20代30代に二度ほど
円地文子版を読んだことがあるだけだ。
絵巻の資料の方はこれまで何度も書物で見てはいたが、
実物を見るのは、これが初めてだった。

入館してから展示会場に入るまで順番を待つこと約一時間。
そうして見た実物の源氏絵巻は本当に素晴らしかった!感激した!
千年の時空を越えてそこに「在る」ということ自体が素晴らしいのだが、
さらに言えば、こういう古典美術のことごとくが
ほんの数十年前まで、ごく限られた一部の人々以外には
見ることも触ることも出来なかった時代が千年近くもあったことを思うと、
今の世の中のありがたさをつくづくと感じる。

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ところで、ずっと以前からこういう古典の展示物の
美しい仮名文字のたとえ一単語、一節だけでもいいから
自分で読めるようになりたくて、去年から
月に一度のゆる〜いペースでだが、仮名文字のお習字に通っている。
そのおかげか、ほとんど読めないにしても、
今回はほんのちょびっと、部分部分で読めてとても嬉しかった。

そして、絵もまた素晴らしかった!
なんといっても人物の描き方の繊細さに驚いた。
本の写真で見たのでは、絵の大きさや細やかさがわからない。
引目かぎ鼻の線の見事さや、表情の微妙さに深く感じ入った。
また女の髪の描き方としては、これ以上のものはないだろう。
本当にきれいなきれいな曲線が描かれていた。

書ではよく「手跡」といわれるけれど、墨の線をたんねんに追ってゆくと、
文章を書いた人物の人柄がそこに現れているように感じられる。
絵でも同じことが言えて、絵の具が剥落した下絵の
墨線もあらわになった部分を見ていると、この絵をどう仕上げていこうかという
描き手の緊張感が伝わってくるように思えるのだ。
そういう「感じ」がダイレクトに伝わってくるというところが
「本物」の本当にスゴイところだと思う。

今回は10年ぶりに全部そろっての展示だという。
前回の展示は見逃したものの、当時の自分に
今回のように感じとれたかどうかはわからない。
この年齢で、この経験値で、今回初めて見られたことがありがたかった。
次は何年後に再会できるかはわからないけれど、
もっともっと自分という器を磨いて、
そしていつの日か、またあらためて観賞したい国宝の数々だった。

五島美術館 国宝 源氏物語絵巻/28日(日)まで
http://www.gotoh-museum.or.jp/

by team-osubachi2 | 2010-11-24 22:43 | 出かける・見る | Comments(4)
Commented by 神奈川絵美 at 2010-11-24 23:58 x
こんにちは! うわあ素晴らしい展示、28日までですか…行けそうにないなあ。たくさんの人出だったのですね。
今年始め、源氏物語絵巻から布の色を忠実に再現した染めのよしおかさんの講演を聴きましたが、ホント絵の世界って深いですよね。

かな文字を習っていらっしゃるとは! 私も字が上手になりたいなあ。
Commented by team-osubachi2 at 2010-11-25 08:39 x
絵美さん
この展示でとても参考になったのが、絵のすべてに平成版の復元模写が添えられていたことです。科学的分析が加えられた模写は(昭和30年代版の模写とは違って)色の表現がすこぶる鮮やかで、生まれたての絵巻がどんなにきらびやかだったかを知る思いがしましたヨ。往時のやんごとなき世界の人々にも、さぞ話題だったろうなあ〜って想像してます。
お揃いでなければ、また徳川美術館で時期ごとに展示があると思いますよ。
お習字、楷書だろうが仮名だろうが、何年やっても普段の字はなかなか・・・(苦笑)。でも、脳みそに平素とは違う刺激があるからか、お稽古中はキモチいいですよ〜。
Commented by すいれん at 2010-11-25 10:12 x
tomokoさま
行ってらしたのですね、五島美術館。素敵そうですね~。でもやっぱり、今月中は行けそうにない。残念です。「生まれたての絵巻が
どんなにきらびやかだったか」 本当にそうですね。想像するだけでも凄そうです。
Commented by team-osubachi2 at 2010-11-25 13:52
すいれんさん
はい、十年前はうっかりしていて見逃してしまいましたから、今回は時間が出来た瞬間にエイヤッ!と行ってきました〜。
その後何度か名古屋へ行ってみようかとも思いましたけど(兄貴一家が市内に住んでますし)、でも、今回行けてよかったデス。
五島美術館はこれで2年ほど改修工事に入るそうですね。根津美術館と同じで、またそのうちやりますよね〜きっと。


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