三岸節子の世界

5月に入ってようやくキモチのいいお天気が続いている。
大型連休中は、特にどこかへ旅に出ることもなく、
いまだ転居後の片付けや掃除などをのんびりとする合間に
ちょこっと出かけるくらいで、そうこうするうちに連休も残すところ
あと二日になってしまった。

先月のこと、新聞に出ていた紹介記事を見て、
すぐにキモチが動いた展覧会がある。
日本橋タカシマヤで開催中の三岸節子展。
これまで名前や作風を少し知っているだけで、
実はいままで本物を見たことがなかった三岸節子の油彩画。

三岸節子の世界_f0229926_14203998.jpg

20年ほど前だったか、愛読していた池波正太郎のエッセイの中に、
夜中にウィスキーを飲りながら三岸節子の画集をひろげて見ると
いつもその圧倒的な色彩と、年齢を越えた力強いタッチに刺激され
「とてもいい」と評されていたところがあったのだけれど、
当時の私は、展覧会を見に行く気が起こらなかったどころか
まったく興味の外だった。
それが今回はナゼ行く気になったのかは、自分でもよくわからない。

会場は連休に入る直前だったせいか、案外見物客は多くはなく
おかげでゆっくりと作品を鑑賞できたのだが、
のほほ〜んと入った私はすぐに圧倒されてしまった。
それは、ただ「素敵」なんて言葉で片づけられるような絵ではなく、
女性が描いたとも思えないようなパワーがドシ〜ンドシ〜ンと
こちらに押し寄せてくるような作品だった。
(額装がまた素晴らしく、絵に華やかさと重さがいっそう加わっていたけど)

見てゆくほどにカ〜ッと強烈に惹かれるものがありつつ、
正直にいえば、自分の人生経験では
まだまだ受けとめきれないものもたくさんあって、
結局、三岸節子のチカラに押されまくって会場をでたように思う。

ことばでは上手く言えないのだけれど、
それは私にはよっぽど強い刺激だったのだろう。
今も、キモチの中に余韻が残ったままだ。
わからないものはわからないままでもいいから、
40代の今の自分が、何をどう感じて受けとめているか、
これからも胸にしっかりと刻んでおこうと思う。

同じ絵画でも、小説でも、芝居でも、
ありがたいことに、受け手であるこちら側は刻々と変化する。
10年後20年後には、また違う受けとめ方ができるようになるだろう。
キットマタ見ニイクゾ〜!三岸節子ォ!
と、リベンジ(?)を誓った。

日本橋タカシマヤ/三岸節子展(10日まで)
http://www.takashimaya.co.jp/tokyo/event2/index.html
by team-osubachi2 | 2010-05-04 15:01 | 出かける・見る | Comments(0)

イラストレーター岡田知子の、暮らしと、着物と、お絵描きの日々


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