イエメンの石鍋

アラビア半島の西南端に、イエメンという共和国がある。
私がイエメンを旅したのは6年ほど前のことになるが、
「アラブの最貧国」という不名誉な格付け(?)にもかかわらず、
今も大好きな旅先のひとつだ。

イエメンを訪れたその年に知り合って、
以来仲良くしている在日イエメン人の若い夫婦がいるのだが、
イエメンに残る古き良きアラブのホスピタリティを
この若い夫婦もしっかり受け継いでいる。

私よりうんと若い20代の妻のラニャは、
知り合ったばかりの頃は、まだ初々しい新妻だったのが
今では二児の母となり、オラオラな新米兼業主婦の私なんかよりも
はるかに心頼もしい専業主婦なんである。

その彼女が作るイエメンのしみじみご飯がとてもおいしくて、
口が恋しくなると、ついついこの夫婦のもとへ行って食べさせてもらう。
若いイエメン人夫婦に甘える私はただの「いやしんぼ」だ。

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そんなイエメンご飯の調理道具のひとつに石鍋があるのだが、
出会ってほどなく、この若い夫婦から
ちいさな石鍋をひとつ分けてもらい愛用している。

教えたもらったイエメン料理のひとつ。
油をひいて熱したこの石鍋に、
みじん切りにしたタマネギとニンニクを入れて炒め、
さらに粗みじんに切ったトマト、塩、スパイスやハーブを入れて炒め、
最後に溶き卵を流し入れて、くしゅくしゅとかき混ぜただけのものだが、
石鍋のまま熱々の出来たてを食卓に出すので、
時間がたってもあったか〜くておいしい。

他にも教えてもらった料理は、作ることなく忘れてしまった。
いま弟の結婚式に参列するため、
子供と一緒に帰国しているラニャが、秋になって東京に戻ったら、
またイエメンのしみじみご飯を食べさせてもらいに行こう。
・・・ホントに、私はただの「いやしんぼ」なんである。
# by team-osubachi2 | 2010-08-18 08:39 | しみじみご飯 | Comments(0)

言葉をひろう

あいかわらず溶けそうな暑さの中、
前進しているのか後退しているのかわからないままに
個展にむけて絵を描いていたある日、
ふと、ラジオからこんな言葉が聞こえてきた。

「失敗を怖れてはいけない。
 それよりも、怖がって自分の力を出せないことを怖れなさい」

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話の前後はほとんど聞いていなかったので
よくはわからないけれど、ある先生が弟子に言った言葉だと
ラジオのパーソナリティは話していたっけ。

聞いた瞬間、今の自分に必要なのは、それかもしれないなあと思った。
耳がひろった言葉に感謝して、また少し前進する。
# by team-osubachi2 | 2010-08-17 08:49 | 日々いろいろ | Comments(2)

元気なカブトムシ

先日、相方の友人Yさん宅を訪問したさい、
こちらも相方の友人で無農薬の畑をやっているDさんが、
ご自分の畑で獲ってきたカブトムシ7匹を、
虫ケースにおがくずやら餌やらをセットして、
Yさん宅の子供たちにプレゼントしていた。

私は子供のころ、クワガタムシなどは獲った経験はあったけれど
残念ながらカブトムシは獲ったことがなかった。
よそのお宅のカブトムシだけど
いっぱい見せてもらい、触らせてもらった。

オスは、大体はそれぞれのんびりしているのだが、
突然ケースの中でガタガタと一斉に動き出したりもする。
ずっとおがくずの中にいたメスは、時間を計ったかのように、
宵の口にモソモソと出てきて活動をはじめた。
へえ〜、へえ〜、面白いなあ〜!

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オスの角を指先で刺激すると、グイッと押し返してくる。
手のひらに乗せると、指の間にグッと頭を押しつけてくる。
肌で感じる生きものの感触に、すっかり忘れてしまっていた子供心が
ゾクゾクと呼び覚まされるカンジがした。

何十年ぶりに接したせいか、見ていてあきなかった。
けれども、飼いたいかと問われれば、答えは No である。
自然に育まれた虫は、やっぱり自然のまんま、
野にあるまんまが一番いい。
# by team-osubachi2 | 2010-08-16 00:56 | 生きものの世界 | Comments(0)

黄色いスイカ

相方の実家から夏野菜が入った箱が送られてきた。
その中にひとつ、黄色い小玉スイカが入っていた。
電話でお礼を伝えたさい、姑どのから聞いたところによれば、
黄色いスイカは、相方が子供のころに食べたいとよく言っていた
憧れの果物だったらしい。

相方だけではない。
黄色いスイカは私にとっても憧れだった。

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包丁を入れると、プ〜ンといい香りが部屋中に漂った。
彩度の高いカラーインクを溶いたような鮮やかな黄色だ。
味もよかった。甘くてみずみずしい。

お盆のころ、いつもとは違う果物を食べられるというのが
子供時代の私には、ちょっと贅沢なコトだったのだが、
黄色いスイカを食べると、そんな特別感が
鮮やかな色と同じくらいイキイキとよみがえってくるのだった。
# by team-osubachi2 | 2010-08-15 00:09 | 食べる | Comments(0)

下平清人さんの型絵染め

季節感というのは不思議なもので、ことさら意識しなくても、
人間の五感はその微妙な変化をごく自然に感じとるようだ。
同じような暑さでも、立秋をすぎると、まず日差しが目立って違ってくる。
すると、もう白々したような色の着物よりも
どこかに少し秋の色が欲しくなるんである。

もう十数年前の夏のこと、某デパートの呉服売り場で、
赤札で出ていた小千谷縮の反物に目がいった。
かな文字や野菜といったモチーフが、
シンプルで素朴な型絵で染められている。
カワイイ!好き!お値段も?え?マジ?カワイイ〜!買うっ!
布端には下平清人さんという人の名前の紙が貼られていた。

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一昨年だったか、とある落語会にこれを着て出かけたときのこと。
休憩時間に浜美枝さんをお見かけした。
その浜さんが、ふと気づいて、ちょっとの間この着物をジッと見ていらした。
着ると、だいぶヨレヨレするようになった着物なのだが、
きっと下平さんの型絵にはまだまだチカラがあるんだろうな、と
工芸品や民芸品が好きで知られる人の視線に
そんなことを思ったりした。

毎年、袖を通しては自分で水洗いをするせいだろう、
ましてや麻に後染めしたものだ、袖口や折り山がすっかり色褪せてしまった。
そろそろ着るのは難しいかな?と思いつつも
秋に向かう暑さの中、つい袖を通してしまう着物である。
# by team-osubachi2 | 2010-08-13 00:15 | 着物のこと | Comments(0)