Facebookを流し見していて、とある記事に目がとまった。
オランダのアムステルダム国立博物館で面白い取り組みを始めたらしい。

ーーー「作品は撮影禁止。その代わりに…」
オランダの美術館で斬新な取り組みが始まったーーー
The Huffington Postより Elyse Wanshel 執筆

http://huff.to/1IH8TrI

詳しいことは記事を読んでもらうとして、個人的に印象に残ったくだりがある。
本文をちょっと引用させていただくと・・・

ーーーアムステルダム国立美術館は、メディアが発達したおかげで
美術館に行くのは「表面的な受け身の体験」に成り下がってしまったようだと、
公式サイトに記載している。
「来館者はすぐに気が散ってしまい、本当の意味での美しさ、不思議さ、
驚きを感じられなくなっています。
私たちは、来館者の方に絵を描いてもらうことで
作品の美しさと歴史を発見し、味わっていただきたいと思いましたーーー
(The Huffington Post記事本文より)

・・・とある。
絵を描くのがよほど苦痛な人はもちろんやらなくていい。
でも、音声ガイドで聴く解説や美術番組による先入観や
メディアによる情報が刷り込まれた頭で見るのではなく、
無知(いや、無垢、かな?)のまま、自分の目と心で観賞するには
じっさい自分の目で線や色をじっくり追ってみるというのは
「絵を味わう」には実にいい観賞方法であり体験になる事のひとつだと思う。



私の経験でいえば、とある郊外の美術館でのこと。
人気の少ない部屋のソファに腰かけて、手帳にメモスケッチをとっていたら
係員のおねえさんがすっ飛んできて「ボールペンの使用はお断りしています。
よろしければこの鉛筆をお使いください」と
2Bの鉛筆を一本貸してくれたことがあった。
(ボールペンのインクによる損傷を怖れて・・・?)
おねえさんのすっ飛びっぷりに驚きつつも、
鉛筆を貸してくれたことにはとても好感を持った。

美術展の一般公開の期間中は難しいかもしれないから、
こんな体験日は期間を限定した方がいいのかもしれない。
それでもいい、こんな取り組み、日本でもやってくれないかなあ〜。
上の動画には、かのレンブラントの『夜警』もチラッと写ってたけど、
ひゃ〜〜!!もしそんな大作をスケッチ出来るんだったら、
もう何日も通っちゃうよーーーッ!

ただでさえ年々高くなってゆく美術展の入場料。
一度でもいい、絵画の知識を取り払って
自分が好きな絵を紙の上でなぞってみるのも
いままでとはまったく違う見方が出来るようになるかもしれない。
こんな動きが日本の美術館でも起きるといいなあと思うがどうだろうか。


# by team-osubachi2 | 2015-12-11 00:48 | 日々いろいろ | Comments(6)

大豆のオムレツ

過日、お酉さまの参拝のあと寄った相方の実家で
姑どのが持たせてくれた茹で大豆。

「圧力鍋で戻したのよ」とのことで、
齢八十いくつになる姑どのが水煮した大豆はいつも大粒でふっくら〜♡

大豆のオムレツ_f0229926_848626.jpg

むかしはこの茹で大豆に、
きざみ葱と醤油で「みそ豆」と称する食べ方もあるそうだが、
私はこれで鍋焼きオムレツにするのが好きなのよね〜♪

大豆のオムレツ_f0229926_8484170.jpg

テフロンのフライパンに一片のバターを溶かし
茹で大豆と冷蔵庫にある野菜(今回は絹サヤ)をさっと炒め、
塩とコショウで軽く味付け。
そこへこれもちょこっと味付けしておいた溶き卵を流し込み
フタをして弱火でじっくり焼き上げるだけ〜!

しばらくして、なにやらあま〜い香りが台所中に漂ってくる♪
表面まで火が通ったところで、
エイッ!とフタを受け皿にひっくり返してからフライパンに戻し、
表面もサッと焼いたら出来上がり〜〜♡
テフロンのフライパンはこういうとき本当に便利よね。

大豆のオムレツ_f0229926_8491030.jpg

切り分けて二段に重ね、ちょこっとベランダのイタリアンパセリと
プチトマトを飾れば、それらしく立派に見えるではないか?!
冷めても美味しい素朴なごちそうであ〜る。


# by team-osubachi2 | 2015-12-10 09:09 | しみじみご飯 | Comments(4)

結城紬と赤い帯

今日の午後、ちょこっと南青山へお出かけしてきた。
ひさしぶりで灰色の本場結城紬を引っ張り出し、
それへ赤い帯をあわせてみた。

やや深みのある大人向きな茜色の生紬の地に、
木版で大きな更紗の花模様を墨色だけで摺った洒落袋帯。
手に入れた当時よりも今の方が似合うような気がした。
(写真では色が出ない〜〜〜)

結城紬と赤い帯_f0229926_2211234.jpg

かれこれ十年ちょっと前に自分で誂えた無地の本場結城紬は
買った当時でも、自分にはまだ早いということは分かっていたから
数回着ただけでしばらく箪笥で寝かせていたけれど、
あれから十年たって少しは素直に着られる年頃になったかな?・・・と、
袖を通してみたものの、さて、どうだろうか、
実際布にはまだ柔軟でない硬さがあって、また、着る自分にも
何かすこし足りないものがあるような気がしないでもない。

結城紬と赤い帯_f0229926_2239543.jpg

Facebookにこの着姿をあげたら、伝統工芸の世界に造詣が深いある方から
「結城紬、人としての年季が求められますよね。
私は洗い張りまでした結城紬に、いまだ着負けします。
多分、成熟が足りないのです。」というコメントをいただいた。
・・・あ、それだな、と思った。

がしかし、そうは思ったけれども、
これを着ない限り、この結城紬は決して柔らかくはならない。
ちょっぴりジレンマではあるが、己れの未熟さをさらけ出す覚悟で
この結城にもっともっと袖を通そうではないか。
やがて自分が人として練れてふっくらとなったときには(なれるのか?)、
この結城も身に添うよう柔らかくなっていて欲しいものである。

結城紬と赤い帯_f0229926_732242.jpg

今日訪れた先は型染作家の津田千枝子さんの
個展が開かれているふたつの会場。
ギャラリー2104では、壁に張られた津田さんの帯の端裂の数々を見ていると
つい口を出てくる感想を通して、見知らぬ人同士でも
いろんな会話がはじまり、そこへギャラリーの様子を見にいらした
津田さんご本人も加わってしばし歓談。
とても愉しいおしゃべりのひとときを過ごした。

そのあとご一緒してすぐ近くの「青山八木」さんへ移動し、
こちらでも“布茶さん”( http://nunocha.exblog.jp )と再会したり、
そのお連れさまや八木さんのお客さま方と一緒に
作品をいろいろと見せていただいた。

津田さんの型染作品はいずれの布も染めもとても素敵なものばかりだったけれど、
さて、帰宅して普段着に着替えてから珈琲を一杯淹れて一服しているとき、
なぜか心にひたひたと寄せてきたのは、素晴らしかった帯の数々よりも、
津田さんご自身をはじめ、ギャラリーでお会いしたお手伝いの方、
布茶さんやそのお連れの方や、後からいらしたみなさんとは旧知の方々の
人と成りや和気あいあいとした場の余韻だった。

ことにこなれた結城紬に、津田さんの帯をさっくりと締めておられた
布茶さんのお連れさまの年輪を重ねてふっくらと優しい着姿に
強く惹かれるものがあった。
ちょっとした動作や言葉のかけ方に現われていたもの・・・
言うなれば “人としての魅力” というものだろうか。

結城紬と赤い帯_f0229926_11331888.jpg

私も・・・私もそうなれるかしら?なれたらいいなあと思う。
そして自分らしい新しい年代の着物をこれから楽しんでゆこうと思う。
いつか人間の中身と着物の成熟とが合致する・・・
そういうときが来ると信じて。


# by team-osubachi2 | 2015-12-08 23:19 | 着物のこと | Comments(6)
去年、川口氏の正藍型染師・田中昭夫さんの工房見学ツアーで
はじめてお会いした型染作家の津田千枝子さん。
そのお人柄が如実にあらわれている型染の作品集があると知って
一冊手元にとり寄せておいた。
白いカバーのタイトルには『KATAZOME』とある。

津田千枝子さんの「型染展」と「はぎれ100展」_f0229926_9541718.jpg

いろいろなパターンがある中でも、
個人的に心惹かれてやまないのが、花、花、花・・・。

津田千枝子さんの「型染展」と「はぎれ100展」_f0229926_9554566.jpg

津田千枝子さんの「型染展」と「はぎれ100展」_f0229926_9561311.jpg

津田千枝子さんの「型染展」と「はぎれ100展」_f0229926_9564199.jpg

ことに赤、白、墨の三色組み合わせに好みが片寄ってしまうから
ついこんな写真をセレクトしてしまうが、
ほかにも静かで淡い藍色やほの暗い草木の影のような緑や
庇の下の漆喰壁のような灰色など、優しみがありながらも
太くてチカラのある色使いがとても好きだ♡

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その津田千枝子さんの美しい型染めの帯展とはぎれ展が
明日8日(火)より、南青山の「青山八木」さんと
「ギャラリー2104」さんの二会場で見られます。

津田千枝子さんの「型染展」と「はぎれ100展」_f0229926_10342665.jpg

*以下の情報画像をクリックしていただくと大きく表示されます
*期間と開店時間がそれぞれ異なりますのでご確認の上お出かけください

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津田千枝子さんの「型染展」と「はぎれ100展」_f0229926_10321142.jpg


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津田千枝子さんの「型染展」と「はぎれ100展」_f0229926_10323554.jpg


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今回の展示にあわせて、今度は黒いカバーの
『KATAZOME - 型染の帯裂帖 -』なる作品集も上梓なされた由。

作品そのものはもう拝見するだけで胸いっぱい。
でも書籍なら私の資料としても手元に置けるから
お小遣い握りしめて馳せ参じようかと思う♪


# by team-osubachi2 | 2015-12-07 10:42 | お知らせ
今年実家の箪笥をキレイさっぱりと整理したさいに
丘の上の住居に持って帰ったおふくろさまの着物や
弟から相方にと譲りうけた着物など
仕舞うべきものは仕舞わねば、と自分の箪笥の整理をして
今日はそれをまとめ上げ、名古屋の義姉(あね)さまの元へと発送した。

私が直して着ていた(おふくろさまが嫁入りのときの)古い付下げや
若い頃から愛用していた大島だの格子小紋だのは来春社会人になる姪っ子へ。

ありがとう、そしてよろしくね_f0229926_22243237.jpg

ついでに帯もいくつか取り揃えて送り出すことに・・・。

ありがとう、そしてよろしくね_f0229926_22255749.jpg

あふくろさまが後年誂えた黒留袖と長襦袢は
形見分け第二弾として寸法がちょうどあう兄嫁どのへ・・・。
(しかし比翼のついた黒留袖ってなんて重いの!?一枚でもズッシリ〜!)

ありがとう、そしてよろしくね_f0229926_11405936.jpg


まだしつけ糸がついたままだった黒留袖は、でも
たとえおふくろさまが袖を通す事もないままではあっても
それはおそらく胸躍る買い物であったろうし、
このひと揃いが箪笥にあるというだけで
心の豊かさを味わうことができたのに違いないと想像する。

私が着てきた着物や帯も、そういう心の豊かさにおいてはひけをとらない。
長い間愉しませてもらったなあ〜と思う。

どうか新天地で、新しい持ち主に存分に可愛がってもらって
いい着物時間を与えてあげてちょうだい。
本当にありがとう、そしてこの先もどうぞよろしくね ♪


# by team-osubachi2 | 2015-12-06 22:59 | 着物のこと | Comments(4)

イラストレーター岡田知子の、暮らしと、着物と、お絵描きの日々


by team-osubachi2
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