どんな億万長者でも買うことが出来なくて、
どんな偉い権力者でも意のままに出来ないのが、
「時間」と「お天気」、このふたつだと思う。
先週後半の急激な寒さと雨嵐にちょっとばかり心配だったのだが、
ありがたいことに、日曜日はピッカピカの晴天に恵まれた。
夏の終わりに富士山の神サマがオッケーを出してくださったように、
今回は大山の神サマも「登ってよし」と
オッケーを出してくださったのに違いない。
というコトで、昨日の日曜日は素晴らしいお天気の中、
大山(神奈川県伊勢原市)でのトレッキングを楽しんできた。

前日までの雨は跡形もなくキレイに澄み渡った夜明け前の空だった。
私と相方ほか山歩きの先輩と友人らの5人で6時半すぎに出発。
車で1時間半ほどで大山の登り口に到着した。
まず登り口の神社で山登りの無事をお祈りした。
それから神社のすぐ右手側から登ったのだが、
行った人ならみんな知っているように、
神社の向かって右わきにドカ〜ン!と険しい石段が切り立っている。
男坂というらしい。
・・・って、これ登るですか〜っ?!ひえええ〜っ!

登りはじめてすぐ、その階段でうっかりミスして
ストックを落としてしまった!
さいわい10段ほど下の方で止まってくれたものの、
降りるにも怖いような狭くて急な石段である。
しょせん“へたれ”なにわか山ガールの私だ、
ストックを取りに降りてまた登っただけでくたびれてしまった。
そこからエンヤコラヤっとで喘ぎあえぎ急勾配の段々坂をあがって、
ようようのことで阿夫利神社の下社に到着した。
ガタ〜ンゴト〜ン、リリリリリリ〜♬
男坂のすぐ脇、神社下社まではケーブルカーが通っていて、
この大山ケーブルの駅からは大勢の人が降りてきていた。
私たちが1時間15分の間汗水たらして登った険しい石段の行程も
ケーブルであがる人たちにはほんの数分である。
・・・まあ、山登りもこれなら山頂までは楽勝だろう。

とはいえ、せっかくのお天気なのだし、山の紅葉も最後の彩りを残している。
たとえ険しい道を登る苦労をしても、
余りあるほどの素晴らしい眺めをそこここで楽しみながら歩き、
正午ごろ山頂(1250m)の阿夫利神社奥の院に到着した。
12月とはいえ、お天気もすこぶるいい日曜日でもあるためか
山頂では山歩きの好きな大勢の人で賑わっていた。
登ってきた道の反対側へ行ってみると、関東平野から東京湾が一望でき、
その眺めだけで深呼吸したかのようなキモチになった。
青と灰色の境目にある水平線にちょこんと東京スカイツリーも簡単に確認できる。
いつか、あのスカイツリーからこの大山も見返してみたいものだと思った。

冬の日は短い。お昼の休憩もほどほどとったところで下山開始。
しかし、山歩きは登りよりも下りる方が大変なんだなあ〜、と
富士山以来すっかり忘れていたのを、この大山でも
(楽なところもあったけど)降りるほどに思い出され、
ガクガクと膝は笑っても、私はぜ〜んぜん笑うどころではないのだった。
下界はまだ午後の日差しで明るいのだが、
山の斜面の日陰ではどんどん気温がさがって、
ちょっと休憩する間に身体もどんどん冷えていく。
こちらはやや急ぎ足で下山をする中、ケーブルで来られる気軽さからか、
おや?今ごろ?と思う時間に軽装で山へ登ろうとする人たちがチラホラ。
めったにないだろうが、もしもうっかり道に迷ったら?
・・・と思うとやっぱり怖い。
落ち葉の散り積もった石階段や、一部ぬかるんだ山道に、
ここで怪我をしてはいけない、最後まで気を抜いちゃいけないよ〜!
・・・と自分に言聞かせながら、今度は男坂とは反対にある女坂を下り、
夕方4時ごろ無事に下山した。

江戸に流行ったという「大山講」はなんとなく知ってはいても、
うちに帰ってから調べてみたら、
大山は博打と商売にご利益があるとあるではないか?!
なあ〜んだ〜!早くそう言ってくれりゃあよかったのに〜!
(・・・って誰に?)
はじめて行った今回は、初登山のご挨拶しかしなかったけれど、
今度行くときは、商売繁盛のご利益もきっとお願いしてこよう。
・・・なんて書いてるうちに、落語の『大山詣り』を聴きたくなった。