カテゴリ:着物のこと( 374 )

電車でGo!

去年のこと、仕事などでもお世話になっている青山ゑり華さんで
面白い帯留めをみつけた。
イチイやシタンなどの木をつかって精巧に彫られた電車の帯留めだ。
日野譲さんとおっしゃる方の作品らしい。

私はいわゆる“ 鉄子 ”ではないけれど
でも、小さいときから電車が、いや、田舎風にいえば「汽車」が
線路を行き来するのを見るのが好きで、
今でも品川や日暮里あたりで、何本もの線路上を
たくさんの電車が並走するのを見たりすると、
ワクワクして数時間はその場にいられるような気がする。

まだ郷里の富山にいたころ、
家からすこし離れた場所にある北陸線を
列車や貨物列車の走るガタンゴトンという音が、
ときどき、かすかに風にのって、
あるときは夜中に目をとじたまま、耳だけが起きて聞こえてきたり、
またあるときは、お風呂でしずかに湯船につかっているときや、
あたたかい春の昼間に、開け放した窓から聞こえてきたりすると、
子供心にも、どこか遠くへいきたいような、
小さなケシ粒ほどのボヘミアン魂がゆさぶられるような
そんな心地になったように思う。

当時の客車は、まだまだ木の造りでドッシリしたものが多く、
今思い出してもノスタルジー感たっぷりで、
旅への誘いにはもってこいな乗り物だった。

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日野さんの彫刻はレーザーを使うので、ここまで精巧に出来るんだそうだ。
この帯留めにあわせて、線路に見えるような真田ひもをネットで探した。
これでこの電車もやっと走れることだろう。

青山 ゑり華
http://www.erihana.co.jp/
ゑり華/オンラインショップ・チドリ
http://chidori.in/
by team-osubachi2 | 2010-04-27 10:42 | 着物のこと | Comments(0)

職人の仕事

寒いさむいと言っているうちに
今年の桜ももうおしまいになってしまった。
そして、日ごとに色あせていく淡いピンク色に取って代わって、
今度は初々しい緑色が目につくようになってきている。

以前ネットで買った新古品の紬は、絣の様子が気に入ったものの、
ついている裾まわしの色がどうにも気に入らなかった。地味すぎ・・・。
で、いつもお世話になっている青山ゑり華さんへ洗い張りに出すついでに、
裾まわしの色を染め替えてもらうことにした。

着物の絣糸の色を参考に、今の自分の年齢や気分にマッチする色を
あらかじめ私なりに水彩絵の具で紙の上に描いて
その紙片のいくつかを添えて、ゑり華さんへ出張に来ていた
悉皆の専門である橋村幸商店の若旦那にお伝えしてみた。
紙と絹では素材も発色もまったく違うものなのに、
若旦那はふたつみっつ私の云うことをきいて
すぐにのみ込んでくださったようだ。

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その仕上がりは私の想像以上で、
思わず「おいしそ〜な色!」と言ってしまうほどの出来だった。
これからの新緑の季節、これを着て颯爽と出かけてみたいゾ〜!

お客の勝手を聞きつつも、長年の技術と勘どころで
職人の仕事がきっちりとなされていると思う。
見ていて、とても気持ちがいい。
そういう職人さんの仕事が、私は大好きだ。

橋村幸商店
http://www.hashimurakou.com/company/
by team-osubachi2 | 2010-04-12 08:33 | 着物のこと | Comments(0)

箪笥の肥やしの会

先日、カメラマンK氏とカメラマン女子の武藤奈緒美嬢とが
シェアして新しく構えたスタジオで、
着物好き女子の「箪笥の肥やしの会」が開かれた。
カメラマン女子の呼びかけに10人くらいが参加して、
各自着ない着物や帯を持ち寄っての交換会。
わいわいガヤガヤと、にぎにぎしい午後だった。

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同じ着物でも、着る人によって、こんなにも似合い方が違ってくるのかと、
見ているとこれが楽しくて面白くて。
ついつい「コレ着てみませんか?」「その着物にこの帯どうですか?」と
初対面の人にすすめてみたり・・・。

私の荷はいっとう少なくて、羽織一枚だけと小物を少し持っていって、
そして別の絞りの羽織を一枚いただいてきた。
結局、自分の箪笥の中の枚数に変わりはなく、すき間は出来ないままだ。
by team-osubachi2 | 2010-04-07 20:21 | 着物のこと | Comments(0)

これも記念の一枚

毎年、まだ寒さが残るような春先から袖を通したくなる着物がある。
石川県白山市で織られている牛首紬という織物で、
サラッとしてても大島紬より地がしっかりしていて強靭そうな手触り。
そのくせしなやかで控えめな艶が、
日ごとに強くなってくる春の光をやわらかく反射する。

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10年くらい前の師走のこと、
仕事でもお世話になっている呉服屋さんへ、暮れのご挨拶に行った。
お店の中は、おりから歳末の売り出し中で、
めずらしく牛首紬が何反もたくさん置いてあった。
値札をチラ見してもプロパーで買えるはずがなく、
「見るだけならタダだし」と、
さもしい根性であれやこれやを広げて冷やかすうち
藍染めの縞を何の気なしに鏡の前であててみると、
アラ?なんか似合う?

このときの私は、ほんの数日前に失恋したばかりで、
まだ頭の中がぐちゃぐちゃしていたのだが、
その縞が自分に似合うと思った瞬間、頭の中で何かがブチッと切れたようで、
「これ、買いますっ!」と口走っていた。
人生、コンナコト、アッテモイイノヨッ!?

それから数日後、(古い例え方だけど)
ピンクのブタ貯金箱を決心してたたき壊す子供となんら変わらないキモチで、
わずかな定期貯金を壊して現金を手に、お店へ反物を引き取りに行った。
・・・この、清水の舞台から飛び降りた後遺症は
その後も私の経済にそうとう長く響いて大変だったけど、
あのときの恋愛のキラキラ感や、アイタタタ〜なドン底感、
今ではちょっとばかりまぶしいような、懐かしいような、そんなこそばゆいものが
これを着ると、ときどき頭の中をかすめていったりする。

とんだ失恋記念だったけど、こんな買い物は二度とないだろう。
あのとき思い切って買っておいて良かった!と今では思っている。
by team-osubachi2 | 2010-04-05 08:40 | 着物のこと | Comments(4)