カテゴリ:着物のこと( 391 )

東京大神宮から浅草へ

11月最初の日曜日。少し冷んやりするお天気の中、
相方とともに飯田橋にある東京大神宮へ出かけた。

去年の節分直前のこと、友だちに誘われて
縁結びで人気の高い東京大神宮へ「良縁祈願」をしに行き、
なんと思いがけないことに、それから間もなく相方と出会い、
とくに力みもしないのに、スルスルと流れるように事が運んで
すんなりと縁付いたのだった。

それまで、世の独身女性と同様、強固な(?)一人暮らしをしていた自分にも
こんなコトが本当に、現実に起こるんだ〜!と不思議でならなかったのだけど、
それを願って叶えていただいたのだから、ここはやっぱりお礼参りに行かねば!と
一連のバタバタが収まったところで、ようやく出かけることが出来た。

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光沢のある淡いクリーム色の地に、
裾と右袖だけに秋色の木の葉が舞い散る模様が
すくい織りで表されている能州紬の付け下げは、
秋から冬にかけてのよそゆきとして着ている便利な着物で、
胸元や肩に柄がなくスッキリしているところがお気に入りの一枚。

帯はむかし一時期流行ったうるし箔の朱色地に、
おそらく中国の刺繍と思われるおしどりの柄の刺繍袋帯。
着物を着始めたころ、ちょっとした難あり品として
信じられないお値段でデパートのワゴンで売られていたのを、
帯芯とともに買って来て、当時習っていたお茶の先生に教えてもらいながら
自分で芯入れした帯なのだが、
着物も帯も、20年近くたった今でもよそゆき着として愛用している。
こんなことは洋服ではありえない(てゆーか、まずムズカシイよね)。
着物って、そういうところもまた本当に重宝だなあ〜と思う。

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大安のこの日、小さいながらも清々しい気が満ちているような東京大神宮は、
挙式披露宴に参列する大勢の礼装の人々と、七五三の家族連れ、
そして「良縁祈願」と思われるたくさんの女子たちで
昼どきはずいぶんとにぎわっていた。

ことさらな挙式・披露はいっさいやらなかった私たちは、
独身と思われる何人もの女子たちの列に並んで順番を待ち、
謹んで御礼と感謝を申し上げて、大神宮を後にした。

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その後、飯田橋から今度は浅草に移動して、
駒形橋にほど近いところにある「カフェ ムルソー」へ行った。

このお店にももう10何年来ているけれども、
浅草に出て時間があると、ついつい足を向けてしまうカフェだ。
お天気がいいと、墨田川に面した壁面の窓はすべて解放されて
窓側の席に座ると、赤い吾妻橋やアサヒビール社の件の金のモニュメントから、
ひとつ下流の青い駒形橋まで一望できるナイスビューなカフェだ。
行き交う水上バスにときどき手を振りながら、のんびりランチを楽しんだ。
(履き物の長谷川商店からもほど近いので、
まだ未体験の方にはぜひオススメしたいお店)

そこからタクシーで吉原大門に向かい、相方の幼なじみで
私たちをひきあわせてくれた桜鍋「中江」の主人・中江氏のところへ
ちょこっとだけ挨拶に行き、
相方が出張で行った台湾のお土産の紹興酒などを手渡してから帰宅した。

いまださまざまな荷物が片付いていない我が家だけれど、
とにかく、これでようやく人生の転換にひと区切りついた気がする。
新米の兼業主婦として、まだまだ時間のやりくりに悩むけれど、
仕事や家のことを無理せずに出来る範囲でやりつつ、
二人で一緒に、一歩ずつ前に進んでいこうと思っている。
これまで出会ったたくさんの方々に感謝しつつ・・・。

カフェ ムルソー
http://cafe-meursault.com/
by team-osubachi2 | 2010-11-08 10:36 | 着物のこと | Comments(6)

同じ小説、同じ着物でも

まったくもってキモチのいい秋晴れの金曜日、
カメラマン女子・武藤奈緒美嬢のお誘いで、
はじめて、男俳優だけの劇団・花組芝居の公演を観てきた。

「花たち女たち」という今回のお芝居を観てみたいかも
・・・と思ったキッカケは、
有吉佐和子の「芝桜」と「木瓜の花」という長編小説が原作だと聞いたから。
むかし着物を着始めたころに読んで以来、まるで映画を観るような気分で
くり返しくり返し、何度も読みふけった小説だ。

物語は、大正時代の花柳界に育った二人の芸者女の因縁深い人生話なのだけど、
それをなんと全員男ばかりで演じる舞台なのだった。
ドタバタとお笑いの部分もありつつ、
長い原作の要所要所をうまくまとめて構成してあった。

エンディングを観て感じたことは、自分が年齢を重ねた分だけ、
主人公二人の女の光と影を、読み始めた頃よりも
ずっと深く感じられるようになったかもしれない・・・ということだった。
同じ本、同じ小説を読んでも、自分の年齢とともに
感じ方がじんわりと変わっていくのを知るのは、とても面白いコトだ。

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自分の手持ちの着物や帯のほとんどが、
いつの間にか、10年選手かそれ以前のものになっているけれど、
今になってようやく似合うようになったものが多い。
(背伸びしすぎて、まだまだ地味なものもあったりするけど・・・)

この日着たのは、私には唯一の黒地着物で、白い小格子の駒結城。
帯は緑色のざざんざ織りに、帯揚げは淡緑のちりめん、帯締めは江戸紫の冠組。
こんな組み合わせをしてみようなんて以前は思わなかったけれど、
これまで思ってもみなかった組み合わせが、
若いときよりも意気がらず、すんなり楽しめるようになったコトが
なんだか嬉しかった。
by team-osubachi2 | 2010-11-07 01:38 | 着物のこと | Comments(4)

いとし帯留め

先週後半、急な取り込みごとがあってバタバタしたと思ったら、
一転して家で待機するコトになったりして、
いくつかの予定をキャンセルしたために、
週末はポッカリと空いて、しずか〜な土曜・日曜になった。

てんやわんやの後だったせいか、いろいろ片づけものもあったけど、
キモチが落ち着くので、着物の手入れをしたり、
溜まっていた半襟の掛け替えをしたりして過ごすことにした。

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押し入れケースの一段に和装小物類をまとめて入れていて、
このごろ帯留め類がちょっとづつ入れ物からはみ出しつつあったので、
頂きもののお盆が入っていた桐の空き箱に詰め替えてみた。

私の帯留めはたいした数ではないけれど、
それぞれ気に入って手に入れたり、好きで手元に残したりしたものばかり。
高価な貴石や、精巧な彫金の類いは一つもない。
そういう立派な類いはどうも私には縁がないようで、
もっぱら木彫、陶器、ガラス、皮革といったものばかりだ。

一つ例外なのは、むかし学生だったときに
友だちが紙粘土で作ってプレゼントしてくれたサンタさんの顔ブローチ。
裏を見ると、1985年12月と彫ってある。古っ!
ブローチとしても、帯留めとしても使えるようにしてあるけれど、
もうそんな年齢じゃないだろうと思いつつも
手放すことなく、今も帯留めの仲間として箱に入っている。

たいした価値はないものばかりでも、
新しい桐の箱に収まったいとしき帯留めを眺めていたら、
これ、私の宝箱だなあ〜・・・と、ちょこっとシアワセな気分になった。
by team-osubachi2 | 2010-11-01 19:41 | 着物のこと | Comments(2)

むかし夢みた・・・

先月だったか、一度だけネットオークションで単衣の紬を買って以来、
ときどき良さげな物を見つけたりすると、
ただ眺めて、値段のつり上がる様子を見て遊んだりしている。

ある日、そのオークションに、見るからに上質そうな真綿紬地に
すくいで抽象的な花柄が織り出された未使用らしき洒落袋帯が、
畳紙の店名とともに紹介され出品されていた。
見た瞬間、思わず入札しそうになった。
出どころの呉服店の名前は「紬屋吉平」。
もうずいぶん前になくなってしまったけれど、
銀座の老舗のひとつだったお店だ

20年ほど前、着物デビューしたてだった私にとっては、
銀座の有名な呉服屋さんや小物屋さんの敷居がとても高かった。
中でも、当時『家庭画報』で美しい高橋恵子さんをモデルにして、
毎月洒落た着物と帯を紹介していた紬屋吉平は、
(ページを切り取って、長い間大事に保管してたっけなあ)
画壇や文壇の人々との交流話もたくさんあって、
名だたる着物好きの女性たちの憧れのお店だった。

銀座通りからちょっと入ったところにあった小さな間口のそのお店は、
20代半ばのかけだしのイラストレーターなんぞが夢みたところで
足を踏み入れられるようなお店ではなかった。
もちろん、ちゃんと心して入れば、たとえ買えなくても
いろいろ教えてもらえただろうに、今思うと惜しいことをしたものだ。
もっとも、当時の私にそれだけの器量がなかったのだから、
しょうがないと言えばしょうがないお話なのだけど・・・。

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その紬屋の名物女将であった浦沢月子さんがまだ現役でいらしたとき、
当時、ときどき私にお仕事をくださった着物スタイリストのWさんに、
あるとき女将さんのことを訊いてみた。
「月子さんは、すごくお洒落で好奇心もあって、どこか茶目っ気のある
カワイイ感じがする方よ〜」と言っていたけれど、
今あらためて、女将さんを紹介していた本で、そのあでやかな着物姿を見てみると、
スッキリと垢抜けていて、清潔感があって上品でお洒落だな〜と思う。
でもって、なによりも着物が大好き!といった風が、
20年も前の写真のほがらかで明るい笑顔から伝わってくる。

やがて、お店を閉められたあとの女将さんのかすかな消息を、
後になってスタイリストのWさんに聞いたのもつかの間、
それから着物業界は大きく斜陽して、
銀座の呉服商の顔ぶれもだんだんと変わっていった・・・。

ネットオークションに出ていた洒落袋帯は、開始6万円の値がついていた。
最終日に見てみたら、一人だけ入札があったから、
おそらくその人が落札したことだろう。
シックで洒落た花柄は、いまの私の年齢でも充分いけるような感じだったけれど、
こちらの懐事情もいろいろあることだし、
やっぱりご縁がないみたいだなあ〜、と見送った。
by team-osubachi2 | 2010-10-28 00:02 | 着物のこと | Comments(2)

着物さんぽ(墨東編)

先週末、カメラマン女子の若い友だちに誘われ、
墨東界わいを着物でさんぽしてきた。

この日は、ここのところ冴えないお天気の狭間の晴天日で、
私は例の「ちやはふる」の久留米絣に八寸の縞の帯。
カメラマン女子はきれいな水色の紬に、
パステルカラー色に秋草が描かれたガーリーな紬の染め帯といういでたち。
どちらも、ウフフ、アハハでとても楽しい着物歩きをした。

京成曳舟駅で待ち合わせ、すでに以前、
この界わいを仕事で訪れたという彼女のナビで、
まずは「爬虫類館分館」という不思議な名前のカフェへ連れていってもらう。
同じ店ながら、昼は「珈琲の樹[LAT36°N]」というカフェで
夜になるとパブ「ヨイドレール」という飲み屋さんになる。
同じ店舗を、昼と夜とで違う人でシェアして経営しているお店らしい。

フード担当の女性が作る週末のランチもとっても美味しかったし、
まだ若い店主が淹れる香り高い珈琲もまたとっても結構なお味だった。
しっかり食べて、ゆっくり珈琲を味わいながら、
久しぶりでいっぱいガールズトークを楽しんだ。

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そこから今度は「キラキラ橘商店街」という
曳舟の地元民がこぞって買い物に来そうな下町らしい商店街を通って、
(うちで食べようと、柿ジャムやらフライやらコッペパンを買う私)
某蕎麦&喫茶のお店に向かい、そこの2階で、
京都の染物屋が行商に着ていたので、着物や帯を見せてもらった。
で、カメラマン女子はここで、なんだか昭和のベタな少女マンガに出てきそうな
バラの花模様の西陣織の名古屋帯をゲット!似合ってました〜。

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着物やら帯やらを見て出たアドレナリンを冷ましつつ、
そこから歩いてすぐの十間橋へ連れていってもらった。
と、なにやら人だかり・・・。
きけばここで逆さスカイツリーが撮れるんだそうで
へえ〜、知らなんだ。ナルホド〜、確かに建設中のスカイツリーが
きれいに川面に映っていたので、
おのぼりさんよろしく、私も写真を撮ってみた。

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タワーがさらに高くなれば、もう全体の姿は映せなくなることだろう。
そこからちょっと脇の川べりの民家の小路を
スカイツリーをのぞみながら通って押上にでて、麻布十番へ移動した。
そこで途中参加の編集女子のWさんと合流し、
麻布十番の古着屋さんを覗こうとしたら、
あいにくとこの日は臨時休業だった。あ〜ら、残念!
ほどなく離脱したW嬢と入れ違いに、今度は相方が合流して
麻布十番で3人で飲んで日付が変わる前に帰宅した。

個展の準備中は禁欲的に遊ばなかった反動もあってか、
この日は体力的な疲れよりも、キモチの解放感の方が大きくて、
おかげでカラダの芯までリフレッシュ出来たようだ。
はあ〜楽しかった〜!と伸びをして、キモチよくお布団に入ったとたん
一気にふか〜い眠りへと落ちていった。

爬虫類館分館
http://www.bunkan.com/blog/
by team-osubachi2 | 2010-10-25 00:43 | 着物のこと | Comments(6)

ちはや木綿

落語のよく知られた噺に「ちはやふる」というのがある。
在原業平の有名な歌の
「ちはやふる かみよもきかす たつたかは からくれなゐに みつくくるとは」
(千早ぶる 神代もきかず 龍田川 唐紅に 水くくるとは)
・・・にもじった噺だ。

あるとき、ご隠居のところへ、なじみの八っつあんが、
娘にこの歌の意味をきかれたが、自分じゃわかんないから教えてくれ、と
ご隠居を訪ねてきたのはいいが、このご隠居、
実は自分も意味を知らないくせに、そうとは言えず、
場当たり的に歌の意味を八っつあんに講釈する。
これがまたエラい解釈をするのだが、
そこがなんとも馬鹿ばかしくて可笑しい噺だ。

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一昨年だったか、とあるリサイクルショップで、
面白い柄ゆきの久留米絣を見つけた。
ときどき弓浜絣や久留米絣には面白い絵絣ものがあったりするけれど、
こんなのは初めて見た〜!?

絣糸をタテヨコ自在にあやつって織り出されているのは
「ちはや」「ふる」の文字と、何枚もの歌留多絵の模様。
それと、ん?なにやらもうひと模様あるようだが、
なんと鏡で見ると、それは「からくれない」が裏返った文字だった!
ふへぇ〜、これは何かの謎かけ?
私なりに解いてみると、これはきっと歌留多にひっかけて
『ひっくりかえしてみる』・・・な〜んてネ。

今度の週末、若い友だちが墨東へ
着物さんぽに連れ出してくれるそうだ。わ〜〜い!
下町へ行くときのおさんぽ着に、久留米絣はピッタリだと思う。
でも、この柄ゆき、下手をすると、どこかの温泉場の浴衣着か、
お祭り着に見えてもおかしくない柄じゃないかなあ〜?
いやいや、こういう着物は、もっさりとした気分で着てはいけない。
シャッキリと茶目っ気でもって着たいものだ。
天気予報は?・・・ん、晴れだって〜!
(写真の帯の色、もっと暗めで抑えた大人っぽい赤なんだけどな〜)
by team-osubachi2 | 2010-10-21 00:28 | 着物のこと | Comments(6)

個展の準備中はバタバタしていて、出かける機会もなかったことから
二ヶ月ほどは着物を着ることもなく過ぎていった。
なので会期中はなるべく着物を着ることにした。

しかし、毎年のことながら、10月のあたまはまだまだ暑さが残り、
気温も25度を越えた日が多かった。
また、個展とはいっても、大よそゆきを着るような業界や規模ではないので
着るのはもっぱら普段着なみの紬や木綿の単衣だ。

今回はほとんど座るヒマもなかったほどにお客さまが多く、
カメラを持参していても、写真を撮ることに気がいかなかった。
なので、これは個展の期間中に袖を通した着物の備忘録として
記しておこうと思う。

*10月4日(月)
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初日の着物は、結城小倉の今幡部の単衣。
遠目には無地に見える縞で、サラリとした手触りが心地よく風も通りやすい。
汗っかきの私には、湿気に弱い塩沢よりもこちらが向いている。
帯は紬の八寸名古屋。個性的な品揃えが多い自由が丘の扇屋さんで
だいぶむかしに求めたものだが、今も気に入ってよく締める帯のひとつ。
淡い草色の綸子の帯揚げ、蘇芳色の帯締め。

*10月5日(火)
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二日目。この日も暑かったので少しでも疲れないよう軽装にした。
縞の紬の単衣に、帯はイカットの布。
このイカットは名古屋帯用に売られていたものを
あえて仕立てずに、帯地のまま三尺ふうにぐるぐると巻いて
ちょうちょ結びにして羽根に出したフリンジを活かして
ふんわりと垂らしておくだけの帯結びだ。
軽装だけれど、半幅帯よりも後ろ姿に茶目っ気が出る帯結びになる。
そのちょうちょの結び目に、深い緑色のちりめんの帯揚げを通して
結び目が下がってこないように支えた。

*10月6日(水)は洋装。

*10月7日(木)
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この日の着物は、15年ほど前に
母親が近所の呉服商から買った藍大島の単衣。
はじめは袷にしたのだけれど、そのあと単衣に直して着ている。
私の好みの柄ではなかったものの、年齢とともに
違和感を感じることなく着られるようになった着物だ。
帯はキッパリとした緑色の伊兵衛織りの名古屋帯。
ひとえ帯なのだが、伊兵衛織りはドッシリと重みがある。
濃紺に鮮やかな緑をあわせるのがとても好きだ。
帯揚げは淡翠色のちりめん、
淡黄色の組紐に清水焼きの手鞠ふうの帯留め。

*10月8日(金)
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5日目はほんの少し気温が下がっただろうか。
あえて(お手頃クラスの)弓浜絣の木綿単衣に、
これも木綿の八重山ミンサー八寸名古屋帯をあわせた。
このミンサー名古屋帯も手に入れたのはもう15年以上も前になるだろうか。
このごろは優しい色合いの細やかな縞のミンサーが多く
それもなかなかいい雰囲気が出るのだけれど、
好みからいえば、昭和の名残りがあるような
パキッとした柄のミンサーの方が私は好きだ。
淡翠色のちりめん帯揚げ、緑色の帯締め。

*10月9日(土)
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個展の最終日は肌寒い雨の一日だったので、ようやく袷の着物を着た。
あたたかい色を意識して、ベンガラ色に似た朱茶の格子紬。
これも15年選手だが、落ち着いた朱茶の色のせいだろうか
買った当時よりも40代も半ばになった今の方が似合うようだ。
帯はこれまた10数年選手で、ごく淡く草木で染められた
ザックリ感たっぷりの無地の八寸名古屋帯だが、
この作者は「あけずば織」で知られる上原美智子さんという方。
漏れ聞いた話によれば、たしか現在のとんぼの羽根のように
薄く繊細な作風になられる以前に、買いはしたものの
使わずにずっと置いてあった糸を、青山の某呉服店主が
お願いして織ってもらったものだったと思う。
糸の節が大きく一見ゴワゴワして見えるが、
触ると手になめらかで実にしなやかな張りが全体にあって締めやすい。
これも愛用している大好きな帯のひとつだ。
淡鼠色のちりめん帯揚げ、灰色のドット線の真田紐に、
むかし外国人が表参道の露天で売っていた
皮細工の紅葉のブローチ(当時300円で買った!)を帯留めにして。

久しぶりで連日着物三昧した一週間だった。
洋服よりも扱いが面倒だったり、着る時間や手入れの手間もかかるけれど
10年20年と着られるのはやっぱり着物だから。
そして好みまるだしの着物や帯や小物の
組み合わせの妙味や面白さを存分に楽しんだ。
やっぱり着物は着てこそのものだ〜!とあらためて思った一週間だった。
by team-osubachi2 | 2010-10-11 23:22 | 着物のこと | Comments(2)

間に合わせもの

今日はまた朝から暑さがぶり返したカンジ。
30度を越すとなると、着物はいったい何を着たらいいんだろう?
もっとも今月は袖を通すヒマがないから
そんな心配はいらないんだけど・・・。

近年はお彼岸をすぎて10月になっても暑いことが多い。
めったに柔らかもんを着ないせいで、現在単衣の小紋は一枚も持っていない。
私にとっての外出着は紬ばかりなので、
10月の後半までは陽気にあわせてもっぱら単衣の紬を着る。

毎日制作に追われつつも、煮詰まったときには逃避がてら(?)
個展で何を着ようかな〜?と心積りをする。
さすがにいちいち引き出しから出して、
帯との組み合わせをあ〜でもないこ〜でもないとみるヒマはないから、
頭の中でシュミレーションするだけなのだが
着物のことを考えるのは本当に楽しい。

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でも、今後のことを考えて、もう一枚くらい単衣を増やしてもいいかな?と
先日、はじめてネットオークションのところをのぞいてみたら、
あるわあるわ、わんさかと。でも玉石混交・・・。
そうか、知らなんだ。世の中はこんなコトになってたのか。

いかんいかん!と、つい見すぎて時間をつぶしそうになる中、
誰も入札していない中古美品の単衣の紬をポッとみつけ、
検討したのち、会員登録している相方に頼んで落としてもらった。

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しつけはないものの、袖を通してはなかったのか
生地にしっかりと張りがあってまだ硬い。
身丈身幅はいいが、裄を少しばかり出したいところだ。

個展に着てから、冬の間に一度洗い張りに出して水をくぐらせたら、
次に袖を通すときにはまた風合いも変わってくるだろう。
何にしても、古物と承知で季節を優先に着る間に合わせの着物である。
by team-osubachi2 | 2010-09-21 11:28 | 着物のこと | Comments(0)

足袋の思い出

20代から30代前半にかけてしょっちゅう着物を着ていたころは、
色もの柄ものの半襟もよくかけていたので、
それにあわせて足袋も、色ものや小紋柄のものをよく履いた。

それで充分満足したのだろう、
いつしか半襟は白か生成りのものばかりになり、
足袋もそれにあわせて、白か生成りのものばかり履くようになった。

足袋のことで、忘れられない思い出がいくつかある。
そのうちのひとつは、20代もおしまいになって初の個展をひらいたとき、
たまたまご縁があって、それ以前にお会いしていた
社会学者の鶴見和子さんが見にいらして下さったときのことだ。
病で倒れられる何年も前の話だが、先生はもちろんのこと、
このころの私も着物をさかんに着ていたときで、
記念にと一緒にスナップ写真を撮らせていただいた。

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後日、その写真を見た私はひとつの失敗を悟った。
いつも颯爽とお着物を着ていらっしゃった鶴見先生の足元は
踊りをなさる人らしい隙のない真っ白な足袋だったのに対して、
私はぼってりとした赤い無地の足袋を履いていたのだ。

・・・お客さんを迎える側の自分がはたして色足袋でいいのだろうか?
別に悪いことはないだろうと思う。
ことさら気にするような問題でもないかもしれない。
でも、私個人にとっては、こういうシチュエーションでの色足袋は
なんとなくきまりが悪いような感じがしたのだ。

以来、人とお会いするようなときには意識して白足袋を履くようになり、
だんだん好みも変化してか、半襟も足袋も、
色柄ものは次第に引き出しから駆逐されていった。

けれども、他の人の足元には寛容でいたいと思う。
かつて私自身も遊んだように、色柄ものの足袋の楽しさや実用性、
人それぞれの好みや似合い方というものがある。
それにいつの日か、また色ものを履きたい日が
来ないとも限らないのだから・・・。
by team-osubachi2 | 2010-09-06 00:34 | 着物のこと | Comments(0)

楽艸さんのこっぽり

この数年、着物や帯を手に入れるだけで精一杯だったせいか
小物の新調にまで手がまわらず、ことに履き物は消耗するばかりだった。
新しい履き物が課題だったにもかかわらず
なかなかゆっくりと買い物へ出かけることもなく、時間ばかりが過ぎていく。

履き物はもっぱら浅草で調達している。
なんといっても京の着倒れ、大阪の食い倒れ、
そして江戸の履き倒れ(神戸も?)である。

今はどうかわからないけれど、むかし私が着物を着始めたころ、
京都の粋筋のおかあさんやお商売のおにいさん(?)方は
スッキリと細みの台は「やっぱり江戸もんにええのがあるなあ」と言っていたっけ。

ことに下駄。桐の柾目はかつて一足だけ経験した。
履くときに意気がったりもした。胸の内でキモチよかった。
が、そこで二本歯の下駄は打ち止めにした。
現代の街を二本歯で歩くのは、やっぱり少々キツいんである。
以来、下駄の類いは、舟形やこっぽりといった
歩きやすいカタチのものばかり履くようになった。

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浅草の「高橋慶造商店」という和装履き物バッグ卸のお店から独立した
「楽艸」さんは、オリジナルの商品を小売りもする。

プロデューサーの由貴子さんとは
たまたま「楽艸」立ち上げ以前からの個人的なつきあいで、
いまや私の人生にも大きくかかわることになったお人だが、
個展のときに履くこっぽりを、はじめて電話で相談してみたところ、
私の好みをすでによく知っていることもあり、
ポンポンとテンポよく決めてすぐに送ってくれた。・・・素早いのう。

台のふちは黒塗り、天だけ深い朱に黒い縞模様が入ったデザインのこっぽりに
生成りのインドシルクの鼻緒がすげてある。う〜ン、好きっ!
赤いツボにするのがいつもは好むところなのだが、
今回あえて生成りの白ツボにしてスッキリさせてある。

な〜んて、個展のときに履く物の準備は出来ても、
肝心の作品の方はまだまだこれからなんである。
あ、汗がドッとでてきた・・・。冷や汗、かも。

楽艸
http://www.rakusou.co.jp/index.html
by team-osubachi2 | 2010-08-31 10:57 | 着物のこと | Comments(0)