カテゴリ:着物のこと( 407 )

半襟、出てます、はい。

このごろ巷に飛び交う「着物警察」なる言葉。
それ以前は「お直しおばさん」という言葉もちょいちょい聞いた。
思えばいつの時代から人の着付けのあれこれをとやかく言うようになったのかはよくは知らない。

知らないけれど、人の着付けを見て、正直をいえば私自身
「あ〜、もったいない」「あ〜、惜しい」「あ〜、あそこをこうしたらいいのに」「あ〜、直してあげたい」
・・・としばしば思った時期が若いころにはあった。

いまでもそう思う瞬間がまったくないワケではない。
でも、もしも人さまの着付けが目に留まったとしても、今はやりすごすか、そっと見守ることにしている。
「着物着てくれるだけでありがたい」と思うから・・・。

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振り返ってみれば、私自身20代の半ばから着物を着はじめて、
今まで見知らぬ人から着付けの失敗で何か言われた事が一度もないのであるが、
身近に知ってる友達や知人から写真を撮るときなど「直して貰った」ことはある。

着物ビギナーのうちは髪を伸ばしてみたものの、30歳になるのを境にショートに戻し、
以来衣紋はあまり抜かない方が好みになり、どうもそのあたりから、
私の半襟は少しばかり着物襟から出てしまうようになった。

はじめのうちは着物から襟が出てしまうことを自分で気にしていた。
腰かけたときなど、襟首と髪の生え際の皮脂の汚れはつきやすいものであるが、
僅かながらも半襟が出ていることで、着物の襟が汚れにくくなるのか、
ある時この方が「着物の襟が汚れない」ことに気がついてからというもの、
ベンジンでいちいち拭く手間もはぶけるし、これをよしと思うようになった。

そう、友だちや知人から「襟出てるよ」と言われても、そこは素直に
「うん、出ちゃうの。でも着物の襟が汚れないからこれでオッケーなの」と言う。
以来友だちも理解してくれて、それ以上は言わなくなった。

もっとも、自分のクセをよしとしつつも、胸のうちでは
「出てない方がきれいに見えるかもしれないこともある」というキモチがどこかにあって揺れることもある。
たとえば、普段着のかたものは良しとしても、
小紋だとか色無地だとか、たれもののお出かけ着物にはどうかな?と思わないでもない。

おそらく知らない人が見たら「あら、半襟が出ちゃってるわ」と思われるだろう。
もしもひとこと言われたら、「ありがとうございます」とだけ言っておこうか。
「お直しおばさん」には、嫌味を言う人もいれば、本当に親切で言ってくれる人もいるが、
「着物警察」には、なにやらおっかない響きがあって、できれば遭遇しないことを願いたい。
面と向かって言われたことはないが、「ええ、半襟が出てますが、なにか?」とすっぱり言い返せるほど
こちらも肚がどっしり座っているわけでもない。w

自分でよしとしつつも、わずかに心揺れる着付けのクセ・・・。
じゃあ一分の隙もない完璧な着付けがいいかといえば、それはイヤなのである。
全体的にはきちんとしていながら、どこかに余情というか、布の遊びのようなゆるみがある方が好きだ。
自分にとって心身ともに具合のいい着方は人それぞれ。
個人的な趣味嗜好といえばそれまでなのだが、そういうどこか定まらないところも含め、
つくづく着物は不思議な衣服、面白い衣服だなあ〜と思う。

by team-osubachi2 | 2017-10-16 08:30 | 着物のこと | Comments(10)

今日は天気予報のおにいさんおねえさんが言ってた通りね。・・・寒いわ!
相方を送り出したあと、にわかに寒々しくなったので、
クローゼットの扉にかけてあった綿紅梅の上っ張りを羽織る。

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何度か日記に同じこと書いてるけど(過去ログ/ http://okakara.exblog.jp/17299469/
新宿区の民藝店「備後屋」さんで買った綿紅梅の浴衣を
もう着ないからと膝丈で切って(そこから紐を作り)、袖のフリも短くしてとじつけたもの。

「備後屋」さんで扱っていた綿紅梅の浴衣地は、いかにも民藝好みの洒落た型染めのものが多くて
それに裏地にもちゃんと薄藍で染めてあって、着心地もよかった。

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この綿紅梅は浴衣時代よりも上っ張りとしての方が活躍してるかも。
洗濯がすぎてもうクタクタになったけど、まだまだイケそうだ。

あ!・・・薄い浴衣で作務衣を作っておくといいかもしれないね?
寝相が悪い私は浴衣の寝間着は裾がアジャッパーになるけど、
浴衣の作務衣ならパジャマがわりに着ても良さそう。(温泉地へも持っていけるだろうし)

いやいや、面倒くさい、面倒くさい。
余計なことは考えず、いまは目の前の仕事をまずはやるべし!・・・へ〜い!

by team-osubachi2 | 2017-10-13 12:41 | 着物のこと | Comments(4)

はじめての葉山

*10月7日(土)

ゆうべはどしゃどしゃと降る雨音を聞きながら寝たのが、
朝には雨はほとんどあがって、ありがたいことに出かけるころには曇り空になった。

自分で両袖と裾よけを縫ったバティックの二部式じゅばんに、
夏の間に(ネットに入れて洗濯機で)洗っておいた単衣の弓浜絣に袖を通す。

木綿とはいえ手紡ぎの厚さとは違う紡績糸の織りだから着やすく(気安いともいう?)、
もちろん雨にも汗にも強いから、急なお天気の崩れや蒸し暑さも気にしないで着ていられる。

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あわせた帯は、この夏いただいた浦野理一さんの縦節紬。

ゴツそうな見た目よりもふんわりして軽いし、しなやかで締めやすい♪
帯留は例の陶製「ビスケット(勝手に命名)」に、帯揚げはわずかに緑がまざった灰色のちりめん。

で、電車に揺られていって待ち合わせた場所は横須賀線の逗子駅。
ここで西方面からいらっしゃる着物友だちのおねえさんと待ち合わせ、二人してはじめての葉山へGO!

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いやあ〜、葉山ね〜、葉山〜 ♪
同じ県内ながら鎌倉は何回も行っても、目と鼻の先の逗子や葉山といったエリアは行ったことがなかった。
(いや、逗子は一回だけ潜りのお稽古に逗子マリーナと海の中だけ来たことあるわ)
ウワサに違わず逗子から葉山の一帯は、どことなく昭和のハイクラスな雰囲気を漂わせていて、
区画割りの石垣の斜面に瀟洒な家々が並んでいるところは豊かさを感じさせる。

駅からタクシーで移動し、小高い住宅区の一角にある洒落た木造の建物の前に到着。
以前から気にはなっていても、これまでご縁がなかった「ポンナレット」さんの「PONNALET葉山の家」。

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今月に入って『 Dear Pieces 』というお題で、あの「ミナ・ペルホネン」さんとこの端切れと
ラオスやカンボジアの手織りの布をプロデュースされている「ポンナレット」さんの端切れとの
キュートなコラボ半幅帯やバッグ、花緒などが紹介されていた〜ん♡

Dear Pieces/PONNALET
(この展示は終了しています)↓photo by M.N.

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今回こちらへ誘ってくれたお友だちの装いも、
以前ポンナレットさんでゲットしたという半幅帯を立体感のある帯結びで。

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うん、大人の人たちの半幅帯姿も、もっと増えてくれるといいなあ〜♡
(やっぱりおいおいお団子ちゃんの着付けノートにも立体的な結び方増やさないと、かな?)

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お昼時、青空がのぞきはじめ、相模湾と丹沢方面の山々をのぞむ眺めのいいテラスで、
出張キッチンカー「ベジコ」さんが用意してくれていたランチをいただく♡

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料理名は忘れちゃったけど、煮込んだブタさん肉、美味しかった〜♡

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そのあと、いったんタクシーでご用邸の敷地を見ながら神奈川県立近代美術館へ移動し、
海を見晴らすテラスでたっぷりとお喋りを楽しみ、ふたたび「ポンナレット」さんへ。

お友だちはワークショップ参加の端切れをいただきがてら少しお買い物をし、
(私は預けた雨ゴートを引き取りに行ったつもりが完全に失念し忘れたまま帰宅(^ ^;;)
夕方、逗子駅へ戻ってまた横須賀線に乗り、都内へ向かうお友だちとは横浜でお別れした。

想像してたのより逗子って近いんだなあと思いながら帰宅して、帯を解いたらば・・・
あら?なに?一瞬帯のおたいこ部分にとんでもない汚れが!?と思いきや、
どこで着いたのか、焦茶色の葉っぱが一枚ひっかかっていた。

ちいさい秋、みっけ・・・♪

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逗子と葉山、もっと行ってみたいな。お洒落なお店もありそうだったし・・・。
もっとも、あちこち徒歩でまわれるようなところじゃないし、できればドライブで。
ただし道が混むことで名高い夏場はやめておいた方がよさそうだ。w

雨に降られることもなく久しぶりに着物de遠足を満喫した一日。おかげでリフレッシュした〜!
このたびのお誘い、どうもありがとうございました♡

PONNALET

by team-osubachi2 | 2017-10-08 17:40 | 着物のこと | Comments(10)

お世話になっております。
すでに発売中の「きものSalon 2017~18秋冬号」であります。

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毎号さまざまな特集で愉しんでいただきたいのはもちろんなのですが、
長年お仕事をいただくお取引さまでもあり、また“しみじみ着物応援隊”を自認する者として、
ネットの方でもぜひ「きものSalon」さんのページを見ていただきたく、
今日はとびきり面白いコンテンツを勝手にご紹介!w

かの有名なパフォーマンス集団「ブルーマン」のメンバーの一人アダムさんの奥様は
日本人の北川聖子さんとおっしゃる方で、ボストンで着物生活を送っていらっしゃいます。

今回「ブルーマン」のワールドツアーでもさまざまな着物をお召しで、訪問先での日記が面白いのなんのって♪
最新日記はあのサウジアラビアです。これがまた面白くて!

最近まで観光での訪問ができなかった国、毎年ハッジ巡礼のため世界中から教徒が訪れる国、
つい先日日本に国王が来日されて話題だった国、女性にも運転免許証の取得がようやく認められた国、等々
なんだかんだ話題が知ってる人の間にだけ知られている国でありますが、
そのサウジアラビアではたして着物が着られるのか?!であります。

「青嫁」とは「ブルーマンの嫁」のこと。www
ぜひいろんな方に読んでいただきたく思い、ここに貼り付けておくことにしました。
お時間のあるときに、ぜひお読みいただければと思います♪

『青嫁日記〜きもので巡る世界の旅』/きものSalon(世界文化社)

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ついでながら、宣伝させていただくと、186ページに掲載されています「お針箱講座」。
今回は単衣の着物を切らずに「道中着にリメイク」する方法が紹介されています。

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いくつかのポイントを線画で説明するお手伝いをさせていただいております。

フルレングスの全身すっぽりと覆う道中着は本当に便利です。
紬や木綿、ウールの単衣着物をちょこっと手を入れて、自分でリメイクもできます。
ご興味のある方は、ぜひお手にとってご覧いただければと思います♪

by team-osubachi2 | 2017-10-05 13:40 | 着物のこと | Comments(8)

あらま、今日で九月もとうとうおしまいに?いつものことだけど、ちょっと参るなあ〜。
やらなくちゃいけないこといっぱいだ。
今日はまた曇ってしまっているけれど、昨日は朝からいいお天気だったので
夏の間に首巻きにしていたショールなどを洗って干した。

田中昭夫さん、通称「御大」の藍染めの端切れを防寒布としてひと夏使ってみたら、
薄手の手織り木綿だからかバッグの中でもかさばらず
首や肩に巻くとクーラーの冷気からしっかりと守ってくれるし、
お出かけのときやスーパーへ買い出しに行くときなどとても重宝した。

私は首の冷えに弱く、グラビア写真みたいに、
襟元や肩にゆったりと羽織るように掛けるのはできない性質だものだから、
ぐるぐると襟首に巻けば、それだけ汗や皮脂汚れは避けることができないワケで、
ちょこちょこと洗わなくてはいけないのだけど、こんなときにも御大の藍染めの堅牢度を実感する。

手ぬぐいよりはしっかりとした木綿だけど、すぐに乾いて、きれいさっぱりした布を見ていたら、
なんだかむくむくと、このナミナミ模様に秋の帯留を並べてみたくなり、
しばし筆を置いて、また帯留でごっこ遊びして逃避した・・・(^ ^;;

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でも、いーのよ。逃避しても。ちゃんと戻ってくれば・・・ねえ?

年のせいだろうか?
最近「いーの、いーの」が増えてきている気がしないでもない。

by team-osubachi2 | 2017-09-30 14:42 | 着物のこと | Comments(2)

帯揚げで遊ぶひととき

今月もそろそろおしまいに近づいてきたけれど、
抱えている仕事はようやく折り返しといったところで、カンヅメは継続中。
そーゆーワケで、今月は一回も着物を着ずに終わりそうだ。
でもそれはいいの。織りの単衣なんて、十月にも着られるんだし。
てゆーか、十月早々袷に袖を通せるほどにはまだ涼しくない。

でも、来月は着るどー!
もう予定もいくつか組んじゃったもんね。

先日遠方の着物友だちより譲られた浦野理一さんの縦節紬の無地の帯。
煉瓦色に少しローズを混ぜ込んだようなこっくりしたあたたかい色のこれ。
これをね、ぜひ締めてみたいの♡

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以前買った写真集の中に似たようなのはないかな?とページを開いてみると・・・

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ほら!あるじゃない?!・・・これ、近いかも?

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ん・・・・・・これも?かなり近い?

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頭の中であれこれ手持ちで組み合わせを考えてみているけれど、
十月の前半はまだ暑い日もあるだろうから、ひとまず弓浜絣(単衣)にあわせてみようか。

帯留は、まぜデビュー戦ではもうこれをあわせてみたいな♪・・・と思っているのは
勝手に「ビスケット」と命名した陶製の帯留は二十年以上も前に『池田』さんで買ったもの。

そこまで決めてしまえば、あとは帯揚げをどうするか。
これはどうかなあ?これは違うなあ。これはイケるかな?などとつぶやきながら帯揚げで遊ぶひととき。

たとえば枯れゆく艸の葉先に見えるようにして、金茶色の綸子とか・・・♪

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草影からちらっと見えるフジバカマみたいにして、薄紫の加賀小紋とか・・・♪

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まあ、好みとしては、秋の日なたの道端みたいにして、
薄い灰茶色のちりめんなんかを合わせるのが好きかなあ〜♪

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着物や帯は別にして、もともと小物あわせで色がたくさん散らかるのは苦手な方なんだけど、
写真集の小物あわせを見ても、グッと抑え気味なのところは個人的には好ましく思ってしまう。

分厚いようでも、案外軽くてしなやかな縦節の無地帯。
ああ〜、どんな締め心地か今から楽しみ〜〜♡

・・・って、あらら、もうこんな時間?
こんな組みあわせごっこなんてやって逃避してる場合じゃない!
さっさと珈琲を淹れて机に向かうべし!
自分で自分のお尻をたたきながら、あわてて着物やら帯やら小物を片付ける。

by team-osubachi2 | 2017-09-27 13:36 | 着物のこと | Comments(6)

糸の彩りが明るく(たとえそれが濃い暗色であっても)、
色糸の線も細いようでいて強くてしなる感じ・・・。
そんなイメージを抱かせる染織りをなさる吉田美保子さん。

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出会う以前からブログで拝読していて、ご活躍のほどは知っていましたが、
個人的にグッと親しみを感じたのは、
なぜか青色確定申告にお互い四苦八苦していたところ。w
銀座での個展の際にはじめてお会いしたときから親しみを感じる人でした。

同じフリーランスの身とはいえ、私のように依頼を受けて絵を描く
職能としてのイラストレーション業とはまた違って、
染織で生きている吉田さんのエラいところは、
手が創り出したもので自活し、かつ自活の道を自ら開くところと思います。

そんな吉田美保子さんのウェブサイトが今月リニューアルしました。
これまで以上に丁寧にわかりやすくご自分の仕事を紹介するほか、
世界でただ一点自分だけのオンリーワンの着物や帯などの注文を受けつける窓口のほか、
今回なんとウェブショップも開設されました ♪
ウェブショップには染織吉田オリジナルの着物や帯だけでなく、
ショールやバッグや卓布といった小物もあります。

どうぞお時間のあるときに、リニューアルされたウェブサイトにて
めくるめく染織吉田の世界を隅から隅までご覧いただければと思います。

染織吉田 [ someori yoshida ]

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吉田さんの頑張りはいつも私にいい刺激をくれます。
もっぱら応援することしか出来ない私にも実はひとつ夢がありまして・・・。
いつか吉田美保子さんに織っていただきたい帯があるのです。
もうテーマは決まってます。いつ実現できるかはまったくわかりませんが、
私だけの夢の帯、いつかカタチにしてもらえるよう私も励もうと思いまーす!!
(過去ログ:「和の國」に集う」http://okakara.exblog.jp/15194915/


by team-osubachi2 | 2017-09-14 14:48 | 着物のこと | Comments(6)

先週たまたま一人ご飯のときにテレビをつけたら
Eテレで毎週金曜夜8時から放送の『あしたも晴れ!人生レシピ』というのをやっていて
番組のおしまいに次回(今週)の予告を見たらば、
テーマは「もう一度 着物にチャレンジ」とのことだった。

予告動画を見るかぎりでは、もうずっと以前に発案され
長年にわたって紹介もされてきた内容かな?と思うけれど、
興味を持たない限り、こういう情報はなかなかターゲットに届かなかったりするので
何年も根気よく紹介してゆくのがいいと思っている。

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すでに着られる人は、「あれはダメ、これもダメ」「あんなの変、こんなの変」ではなく
「あれもアリ、これもアリ」という広い心で見守っていただきたいと思う。

着物に限らないことだけれど、いっとう最初はみんな誰もがビギナー。
自分も初心者のときには、きっと街中で、人知れず、あたたかい目で沈黙したまま
そっと見守ってくれた人たちがいたはずなのだから。

こういう番組や雑誌など、着付けに関するさまざまな情報がキッカケとなって
「持っているのに着ない」とか「着たいけれど、着られない」という方々の
目の前に立ちはだかるハードルが少しでも低くなってくれたらとても嬉しい♪

『あしたも晴れ!人生レシピ』/NHK Eテレにて放送


by team-osubachi2 | 2017-09-13 14:32 | 着物のこと | Comments(6)

菊の帯の思い出

むかしおふくろさまが誂えてくれた着物や帯の中に、お気に入りの八寸帯があった。
誂える・・・というとなにやら贅沢なことのようではある。
が、たとえそれがドのつくような田舎の端っこにあった
ちいさな漁村内の布団屋さん兼反物屋(呉服屋)さんでではあっても、
母自身、地場産業の大手サッシ工場で働いていた自分の稼ぎの中から「娘のため」と称して、
少しずつ好きな反物を選ぶのは購買欲を満たすに充分な悦びがあったものと推察するのであるが、
そんな買い物の中にひとつ、白地に桔梗に朱い菊花の模様の帯が私は大好きだった。

二十代のうちから劇場通いやお茶のお稽古などで散々に締めるうち、
ヤケもし、多少は手垢じみたりもし、すくい織りの柄の部分が縮んだり、
廉価な木綿着物の藍色が白地に移ったりもして、
クタクタになったところで洗って最後にハサミを入れ、お太鼓部分だけを残しておいた。

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思いついて、わずかに保存してある着物アルバムを開いてみれば・・・
あった、あった!ありました。この帯を締めてお茶のお稽古をしている姿の写真が。

姉弟子さんが撮ってくださったのに違いない。ただのお稽古日だったろうか。
地味な秋色小紋にこの菊の帯を締め、もとはおふくろさまのだったという
朱い絞りの帯揚げを合わせるのも大好きだった。

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あ、先生も一緒に撮っていらっしゃる。やあ〜、お懐かしい♪
このおばあちゃまは江戸千家の茶道の先生でありながら、実はアパートの大家さんでもあった。
社会人になりたての二十歳でこのアパートの住人となり、
以来十六年にわたって家族ぐるみで可愛がってくださったことも今は懐かしい思い出だ。

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いつもお稽古のときは着物でいらした。大島でも小紋でもアカ抜けた着こなしで
将来は先生みたいになりたいな〜なんてひそかに憧れてもいた。

先生の郷里は岩手だった。ご長命でいらしたけれど、
たしか震災が起きる少し前に亡くなられたのではなかったか。
大震災後の様子を見ることなく旅立ったのは幸いでした、と娘さんがお知らせくださった。

しかし、こう古いアルバムを辿りながら思ったのは、
以前のフィルム時代の方がどれだけ写真を大事にしていたかということだ。
撮るということも、焼いてプリントで残しておくということも・・・。
デジタル時代の写真は、技術こそはスゴイことになってはいるが、
ワンショット一枚きりを撮る緊張感や、上手く写せたときの悦びや
また失敗したときの挫折感などといった感覚は失われてしまっている。

写真はやっぱり若いうちに撮っておくべきだ。
そしてプリントで残しておくべきものだなあ〜と思った。

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和室に飾り棚を置いたおかげで、ようやくその残した帯のお太鼓部分を
壁かけとして活かせるようになった ♪

明日はもう重陽の節句とか(旧暦では今年は十月下旬)。
カレンダーの上でのことだけれど、ま、わざわざ菊花を買って来て何をするでもなし、
せめてこの帯切れを壁にかけて、ただ「節句の日なんだな〜」と想うための
目印みたいなものにしておくのである。

by team-osubachi2 | 2017-09-08 22:59 | 着物のこと | Comments(6)

待ち遠しい秋

(どういう訳か、一昨日からパソコン操作によるブログのログアウトと
ログインが上手くいかないので、iPhoneからの投稿を試みる)

若かりし頃、昭和の邦画にはまって手当たり次第に見ていたのだけれど、
ことに台詞を覚えるくらいに繰り返して見たのが小津安二郎作品。
ゆったりしたテンポも、なんでもない日常に起こるなんでもない出来事が
主人公や家族に波紋を広げてゆき、また静かに収まって行くのを見ていて、
家や小道具、衣装にも目がいくうち、もっとも心惹かれたのが
登場する女の人たちが身につけていた浦野理一さんの着物や帯だった。

いつか私もあんな着物や帯が似合うようになりたいなあ〜と思いはしたものの、
自分にはそういう運はなかなか巡ってはこなかった。

そのうち自分自身いろいろな経験を経るうちに、着物への愛情はまったく変わらないけれど、
以前のように自分の物にしたい!というような所有欲はすっかり大人しくなり、
ただもう綺麗なものを眺めるってだけで充分楽しめるようにもなったりして、
むしろ欲をかかなくなった今になって(むしろそんな今だからか?)
ひょんなご縁があって私の手元に浦野さんの縦節紬の無地の帯がやってきた!
それもずっと憧れてきた赤系統♡

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まあ!こんな事もあるのね〜・・・なんだか夢みたい♡

今日から九月。
きっとまた残暑も盛り返してくるだろうけれど、十月は直ぐにやってくる。
ことのほか袷の季節が待ち遠しい秋である ♪

by team-osubachi2 | 2017-09-01 14:05 | 着物のこと | Comments(12)