2017年 11月 14日 ( 1 )

はがき絵を描くー12

幼かった保育園児のころのこと、毎年春が近づいてくると、
保母さんらが総動員で準備をし、園の入り口正面におおきな雛段を飾っていました。
昭和四十年代も前半の片田舎のこと、どこも豊かな暮らし向きではありませんでしたから
思えばそれは地元の大きな網元さんからの寄付だったのかもしれません。

最上段の男雛女雛ははるか天上界(?)のアイドルですから、
園児らが見ようとしてもおそばへ寄ることなど叶いませんが、
お絵描きの時間には、この男雛と女雛、それに両脇の雪洞を
クレヨンで夢中になって描いたものでしたが、いまもその絵は手許に残してあります。

うちは三人兄弟で、私の上と下には男兄弟が一人ずつ。
女子は私だけでしたが、ことさらな桃の節句を祝ったという思い出はなく、
唯一立ち雛が箪笥の上に飾られたこともあったかな?とおぼろな記憶です。
実家のその一対の立ち雛は、子供時分には、保育園で眺めた立派な段飾りに比べて、
ずいぶんと地味に思えたものでしたが、結婚したのを機に引き取って見てみれば
なかなか上品なお顔立ちで、大人になった今となっては
かえってこのシンプルな一対のお雛様の方が好ましいのでした。

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桃の節句の三月三日から旧暦あたりの四月三日まで使ってもらえたらいいなと思い、
流し雛を描いてみましたが、幼子たちが赤いおべべを着せてもらい、
春の小川に流す雛の光景はテレビや雑誌などでしか見た事がありませんが、
そういう風習に育った方の記憶のなかでは、小川のきらめきとともに、
ずーっとずっとキラキラと揺らめき続けているに違いないという気がします。


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by team-osubachi2 | 2017-11-14 12:28 | 仕事をする