2017年 10月 01日 ( 1 )

はがき絵を描くー6

ーーおくやまに もみちふみわけ なくしかの こえきくときそ あきはかなしきーー

有名すぎるほどに有名な和歌の一首ですが、ちょっと検索してみましたら
小倉百人一首では猿丸大夫が詠んだとありますが、古今和歌集では詠み人知らずとのことで、
はてさて、いったいどなたが詠んだ歌なのか真相はわかりませんが、
それでも数百年たってもこんなに親しまれる歌になろうとは詠んだ人もビックリかもしれません。

以前、山歩きの先達に連れられて三ツ峠を目指して夜明け前に歩きはじめたときのこと。
ピーー・・・ピーー・・・・・・と、どこからともなく何かが鳴く声がして、
鳥にしては少し様子が違うようだし、もしかしてこれが鹿の鳴く声?と思っていたら、
山の先達が「鹿だね」とつぶやきました。そうかあ!コレが山の鹿の鳴く声かあ!と感激しました。
海育ちの私には、山の森の中で野生の鹿が鳴く声を聞くなんていうのはたぶんこれが初めてで、
とてもワクワクして嬉しかったのを思い出します。
もっとも、このときは秋ではなく、初夏の山歩きでしたが。w

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鹿たちがたむろする奈良公園の中に『江戸三』という古い日本旅館があるのをご存知でしょうか。
若いころ勤めていたデザイン事務所のボスにお願いして一週間のお休みをいただき
桜の花を追いかけて友だちと二人で京都と奈良を旅したときに、この風雅なお宿にひと晩お世話になりました。

料理旅館『江戸三』

母家のそばに点在する風雅な離れ家のひとつに泊めていただきましたが、
ひと晩自分たちだけが独占できるちいさな建家の内はなんとも居心地がよく、
自由に歩き回る鹿もお宿の窓辺近くに見ることができました。
「いつかこんな“庵”を建てて、好きな書画だけ描いて過ごしたいなあ〜」などと
二十代半ばの小娘が描くにしてはその夢はずいぶんと老けていたなと思います。

生きものを描くのはなかなか難しいものだなあ〜と思いながら、
晩秋むきの一枚に鹿と紅葉を描きました。


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by team-osubachi2 | 2017-10-01 23:02 | 仕事をする