丘の上山椒ホテル

この丘の上の我が家にある山椒の鉢は、新芽を摘んでお料理に使ったのちは
「丘の上山椒ホテル」としてナミアゲハチョウ(ときおりシャクガも)のみなさまに開放しております。

今年はなかなかお越しにならなかったナミアゲハチョウご一行さま。

7月のあるとき、ちいさな卵で三つご来客があり、
その後(同じ親かどうかは不明)、時期を違えていらしたお客様は合計十匹以上。
(最終的に賄える量が限られているため、卵のいくつかは間引かせていただきました)

孵化のあとは日ごとに鉢のまわりに散らばるお粗相の量が増しますので、
朝夕二度掃き掃除をするのが支配人である私めの役目でございます。

お盆がすぎたころ、初期のお客様のうち、二匹が当ベランダ内で蛹化なさいました。

同じ山椒の葉を召し上がられるのに、蛹の色はなぜこうも色が違うのでしょう?
仮に名付けて蛹1号さまは黄緑色に、蛹2号さまは地味な茶色に蛹化なさいました。

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それにしても、いったいなんだってこんなところを選ばれたのでしょうか。
黄緑1号さまはサッシの桟の脇で、茶色2号さまは壁面で蛹化されました。

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そして先週のある朝、鉢に水やりしたあと、
窓わくのかたわらに、なんとチョウが仰向けに落ちている姿を発見したのであります。

ハッとして蛹1号さまを見れば、すでに黄緑色のハッチが開いて羽化したご様子。
よく見れば、ああ、なんてことでしょう?!
幼虫時代のいぼ足でなら落下することもなかったのでしょうが、
そうです、蝶々になってしまったらその華奢な足では
もうアルミサッシの桟につかまることが難しいのでありました。

悲しいかな、羽根が伸びきらないまま1メートル近く落下したのでございましょう、
蛹1号さまの外羽根は根元から骨折してしまい、もう飛べない姿になっていらっしゃいました。

ガーン!支配人、ショック〜!!
迂闊でございました。こんなことなら枯れ枝をそばに置いておくのでした。
配慮が足らず、申し訳ないことでございました。

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まだ生きていらしたので、当ホテルに置いてあります枯れ枝につかまっていただき、
ツユクサ鉢のそばで落ち着かれるまでそっとしておきました。

その後、どこをどう動かれたのか、もう飛べない羽根をばたつかせて、
1号さまは生きる可能性にむかってうちのベランダから旅立ってゆかれました。

どうぞ少しでも空や風を感じることができますように・・・。

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そして今朝、やっぱり水やりと清掃のためにベランダに出てみましたら、
茶色の蛹2号さまが羽化を迎えていらっしゃいました。

アルミサッシよりはまだ足場がありそうなのですが、はい、外壁は滑ります。
落下寸前でとどまっていらっしゃるお姿に支配人めも心落ち着きませんで、
またしても枯れ枝につかまっていただき
低いところで羽根が伸びきるまで過ごしていただきました。

おそばへ行って見守りたかったのですが、羽根が伸びきるまでは
どんなに危険で怖くても動くことなくジッと我慢なさることがわかっていますので、
あえて離れたところから見守らせていただきました。
(2〜3時間も横で見てるワケにはいかないしね〜/笑)

お昼過ぎだったでしょうか、ゆっくりとフライトなさって
まずはベランダの外の珊瑚樹まで飛び立ってゆかれました。
夏はもう終わります。どうかよいお相手に一刻もはやく出会えますように・・・。

そして、その後、食料難になった当山椒ホテルで、緑の茎を齧り続け
最後まで滞在なさっていた幼虫さんも無事蛹化にむけてどこかへ旅立たれました。

やれやれ、これで今年の私めの役目もおしまいになり、ホッといたしました。

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ナミアゲハチョウのみなさまへ。

今年もご滞在ありがとうござました♪
そろそろ夏も終わりますが、残念ながら、当「丘の上山椒ホテル」は
もはや越冬組のお客様をお迎えすることは出来なくなりましたので、これにて閉鎖いたします。
また来年のお越しをお待ちいたしております。
支配人より。

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チョウの成長の過程はまるで魔法のようで、そして変態ののちの造形の美しさに嘆息する。
でも、毎年何かしら思いがけないハプニングがあったりして、
ベランダにやってくる虫たちから自然に生きることの厳しさを教えてもらってる気がする。
(人が編み出した虫除け操作の、思いもしなかった薬害なども)
それでも生存の可能性にむかって飛び立つ姿には感動する。

さて、と・・・。鉢に少し新しい土と肥料を足して、
めいっぱい頑張ってくれた山椒の木を養生させてあげなくっちゃネ。

Commented by sogno-3080 at 2017-08-29 08:54
これは凄い。
何が凄いって、Tomokoさんの記事はこのまま絵本になりますよ!!
イラストをつけて、どうですか!
まず、タイトルがいいです。「山椒ホテル」で繰り広げられるドラマに
釘付けでございますよ。面白いです~~~
Commented by 朋百香 at 2017-08-29 08:56 x
tomokoさま
いや〜、ドラマがあるものですねぇ。
本当に短い命を必死に生きようとする生物の姿には感動を覚えます。来年の山椒ホテル物語も楽しみだな〜。
我が家でもこぼれ種から生えた山椒、鉢に移しておきますね、
いつまでも山椒ホテルが存続出来ます様に。
Commented by team-osubachi2 at 2017-08-29 23:39
sognoさん
あら!そうかしら?絵本になるかしらん?
(って実際絵本にするには相当いくつものハードルがあるので、
考えただけで気が遠くなりそうですけど・・・笑)
でも、こういうおはなしだったか描けるかも。
畑もそうだと思いますが、ベランダだけの小さな世界でも、
観察する目でみれば、日々いろんなことが起きますね。良いコトも、苦しいコトも。だからこそ?魅了されます。
Commented by team-osubachi2 at 2017-08-29 23:44
朋百香さん
はい、ねえ、こんなちいさな世界でも、もうホントにいろんなドラマがありますね〜。
つい10日ほど前、机の前も窓に虫の卵が産みつけられていたので、何かな?と思っていたら、先週末孵化しまして、ルーペで見てみたら体調2ミリのシャクトリムシ(蛾)の赤ちゃん。
そのカラダ以上の素早い動きで大きなサッシガラスを移動してゆきました。
おっと、アップルミントにバジルにイタリアンパセリ、要注意です。

朋百香さんのところからいただいた初代の山椒が結局一番丈夫に育っています。二代目も楽しみにうかがいますので、どうぞよろしくお願いいたします。感謝です〜♡
by team-osubachi2 | 2017-08-28 17:33 | 生きものの世界 | Comments(4)