作品集『にんげんもよう』by 灘本唯人

この夏身罷られた師匠・灘本唯人先生の最後の作品集
『にんげんもよう』が先日手元に届いた。

子供のころ、知らず知らずに、さまざまな広告やオトナの雑誌などで目にしたイラストが
やがて灘本唯人さんというイラストレーターさんの描いたものと知り、
そして、後のある日、そのお人に出会った喜びと緊張感。

仕事上小器用に筆を走らせ、でも、その実
お人形のような人物しか描けずに尻込みしていた私は
縁あって最晩年の私塾に参加させていただき、
灘本先生から“人間”を描くご指導をいただいたのだけれど、
不肖の生徒はいつまでたっても中味の薄い“人型”を描くばかり。

「岡田さんは描けるんだけど、(絵に)岡田さんの“匂い”がない。
誰が見ても、あ、これは岡田さんの絵だなと伝わる匂い。・・・でも、匂いって難しい」


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ページを開くと、先生の懐かしい声が聞こえてきそうだ。
塾のあと、毎度ビールとつまみでお茶をしながら
問わず語りに聞いた先生の思い出話の数々も、
このご本をみれば、お若いころの写真とともに蘇る。

作品を管理するSTUDIO NADAのスタッフさんが、Twitterで
「ある方は、“最後に先生から自身を題材にした
教科書をいただいたような気持ちになった”と仰っていました。
灘本先生からのメッセージが、この作品集を通してお伝え出来れば幸いです」
・・・とコメントをくださった。
まあ!なんと上手い感想を仰る人がいらっしゃるのだろう!?

私が家で描いて塾へ持参した絵にサッと手をかざして
「(人物のバックの)これ、要らないでしょ。余白恐怖症」という声が頭をかすめる。
あ、あいたたたたた・・・(^ ^;;
不肖の生徒は、これからも迷い道の途中途中でこの本を開いてみようと思います。
先生、最後までどうもありがとうございました。


灘本唯人『にんげんもよう』/玄光社MOOK

Commented by fuko346 at 2016-09-07 12:27
師とあおげる人が どれだけいるか、で人生の深みが違うと思います。
tomokoさんには たくさんおいでになるようで 素敵だなあと感じます。
それと私が拝見しているものは tomokoさんの匂いがします。透明な風が吹いているような。
精進なさったのでしょうね。
Commented by team-osubachi2 at 2016-09-08 10:20
fukoさん
ひゃ〜、ほんとですか?
かたじけないご感想をありがとうございます。

いつでしたか、敬愛する小三治師匠が高座のまくらで話してたことなんですが、若い頃小さん師匠にボソッと「おめえの話は、面白くねえな」と言われて以来、トラウマのようになって、いったいどうしたら面白くなるんだ?!って悩まれたことや、
人間としてありのままの姿(もちろんダメダメなところも)を弟子にぶつけてみせてくれ、それを弟子どもも受けとめる、受け止めざるをえない関係を、ある意味現実の親子関係とも違ったところで「尊いことだ」とおっしゃったのを聞いて、ああ、ちょっぴり分かる気がするなあ〜と思ったことがありました。

ここからは、叱ってくれる人なしに進む歩みかと思います。
大層なことではなくて、ちょっぴりオトナになるって感じがしますです。笑
Commented by ベル at 2016-09-08 11:52 x
こちらのブログに寄せていただくようになったのと、「美しいきもの」を読むようになったのはほぼ同時期です。同誌のイラストを見て、「あ!岡田さん発見♪」と嬉しくなったのを記憶しております。
着付けのコツを探してネット上を彷徨っていますが、こちらの着付けノートは分かりやすくて綺麗で、大好きです。
Commented by team-osubachi2 at 2016-09-08 23:06
ベルさん
ありがとうございます。
着付けノートには、もっと着付け本などでは紹介しきれない
細かいポイント(小ワザとでもいいますか)なんかも紹介できればいいのですけど、
そう思いつつあっと言う間に時間ばかりが過ぎてゆきます。ピューッっと・・・。(^ ^;;
by team-osubachi2 | 2016-09-06 16:59 | 買う | Comments(4)