単衣小紋はないからいっそ単衣の無地で

三年ほど前に、小鼓の成田達志先生の(東京の)お稽古場へうかがい
小鼓を打つところをスケッチ取材させていただいたのだけど、
肝心の先生の舞台をなかなか拝見できずにいたら、
今年の能楽祭の「俊寛」にお出になられるというので
先日はじめて先生の舞台を拝見しに行ってきた。

f0229926_1553459.jpg

この日最後の演目の「俊寛」。
小鼓の成田先生は・・・眼鏡かけてないとなんか雰囲気が違う。
いえ、こちらが真剣勝負のお顔なんですよね、きっと。
小鼓を打つ様子を脇正面のお席から拝見した。
打つ拍子にあわせて緩急自在の手元。
紐をギュッと持ったと思ったらサッとゆるめて持つ・・・。
取材の時は(先生は持たないですから)
当然ながら手に小鼓を持つ生徒さんの姿を描かせてもらったのだけど
いつか先生の打つところをぜひ描かせていただきたいものだ!
それにしても、先生、なんという素晴らしいイイ声をお持ちなのであろうか!?
お稽古場でも、先生の声は「おっ!?」を思うような響きがあったけれど
朗々と響き渡るその声に痺れながら、はじめてお能の「俊寛」を観た。

お能は・・・海に浮かぶ巨大な氷山のように
海面下の見えない部分がとても大きい、そういう芸能だなあと思う。
流派によっても違うのだろうけれど、後々に発生する人形浄瑠璃や
歌舞伎芝居よりもうんとうんと古く発生した演目だけに、
見比べてるとお能の方がかなり老成している感がある。
俊寛の最後の嘆きの顔にゾクッとするものがあった。ああ、なんて嘆き深いこと。
だって、鹿ヶ谷の変から839年もたってるのに、
いまだ報われずに冥府を彷徨っているかのようだ・・・と思った。

f0229926_1514131.jpg

この日は朝から肌寒く土砂降りだったけど、
お昼頃にはいったん小やみになったので、当初積もっておいた結城縮はやめて
箪笥から草模様の色無地を引っ張り出して夏用の袋帯を合わせた。

f0229926_15401652.jpg

道明の笹波組をあわせて、なんだか「真面目」な感じネ。
これで一つ紋ならこのままお茶会にもイケルねっていう組み合わせかしらん。

まあ、重宝するような単衣の小紋もいつか欲しいけれど、
なにしろ紬好き人間には単衣の小紋なんてなかなか出番もなさそうだし、
だったらいっそこの色無地を小紋替わりに着ればいいのかなと思う、これからも。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

これも自分用備忘録として貼っておこう。

「師の音色のすごさに“寒いぼ”が出ました」能楽幸流小鼓方 成田達志/産経 WEST
http://www.sankei.com/west/news/160507/wst1605070003-n1.html

Commented by 朋百香 at 2016-06-02 22:05 x
tomokoさま
おおー、お能にピッタリな出立ち。これ、夏の袋帯なんですか?渋いです。浴衣きもので行けるお相撲も、襟を正して「真面目」な色無地もどっちもいいな〜きものって❤
でも私もやっぱり一番好きなのは紬ですー。
Commented by team-osubachi2 at 2016-06-03 01:28
朋百香さん
なんとなくですけど、お能とお茶の着物には共通したものがある気がしませんか?
小紋着てる人がいないなあと思っていたら、能楽堂では小紋率けっこう高いと思います。
あ、香道なんかもそうじゃないかしらん?お香の道はまったく不案内なんですが。
イメージとして公家と武家文化のものにはタレものが多いのではないかな、と。
たまーに柔らかいのを着ると、それはそれでキモチよかったりしますが
かえって紬の良さを再認識させてくれますですね。笑

Commented by 香子 at 2016-06-03 09:39 x
色無地大好きっ子がここにおります (^0^)/
光の加減で見える地紋がキレイで
いろんな帯が合わせられていいですよねえ♪
先日はナマで拝見出来て嬉しかったです〜。

お能はプリミティブだけど
いろんな物を削ぎ落として洗練された
結晶のようなものだと感じてます。
古いけど新しいというかなんというか…
お囃子や謡をいっぱいに浴びるのは至福の時です(笑)
あ、能面の表情もね (^_-)-☆
Commented by team-osubachi2 at 2016-06-03 21:54
香子さん
ねえ、地紋にいろんな模様のある色無地、いいものですねえ。
紋ナシで帯をぐっと洒落たものにすれば、小紋がわりにいいかもって見直しました。
とはいえ、単衣はもう一枚アイスブルーの一つ紋の無地もあるので、
これ以上は要らないっしょ!とは思いますが・・・。笑

>いろんな物を削ぎ落として洗練された
結晶のようなものだと感じてます。
お能ってそうかもですね。観る数は少ないですが、
若いころよりも面白くなってきました。
Commented by fuko346 at 2016-06-05 12:00
お能 よろしゅうございましょう?
って 私もそうそう 行けてはおりませんが。
自分の中のものと反応しあう何かが 響くときに
一種の快感、があります。
あ~ 能楽堂へ行きたいくなってきました 笑
Commented by team-osubachi2 at 2016-06-05 17:54
fukoさん
お能、年齢がいって、いいなあと思えるようになりました。

>自分の中のものと反応しあう何かが 響くときに 一種の快感、があります。
それ、なんか分かるような気がします。
きっと、風景でも花でも動物でも絵画や音楽、なんにでも
それと同じことが起きたときに人は感動するのかもですね。


by team-osubachi2 | 2016-06-02 16:01 | 着物のこと | Comments(6)