Rehabilitation-5『後方の花』

高村光太郎の詩『道程』の一節より

ーーー僕の前に道はない 僕の後ろに道は出来る
ああ、自然よ 父よ
僕を一人立ちさせた広大な父よ
僕から目を離さないで守る事をせよ
常に父の気魄(きはく)を僕に充たせよ
この遠い道程のため この遠い道程のため ーーー

あるとき友だちと電話でおしゃべりしていて「後ろ」という言葉を耳にし、
ふいに自分の後方を振り返ってみるイメージが浮かんだことがありました。

あれ?・・・と思いました。
思いがけず、自分がこれまで歩いて来た道(過去ともいう?)に、
野の草のような花がいっぱい咲き乱れているのを見た気がしたからでした。

これまでの人生で花を咲かせたなどとと思えるようなことは特になく、
むしろシンドイなあとか、大変だなあと感じるコトの方が多かったように思うのですが、
(もちろん楽しいコトもいっぱいありますけどネ)
なんのことはなく、そのツライだのシンドイだのといった中にも、
いつの間にか、どこからか種がこぼれて芽が出て育ち、
振り返ってみれば一面に花が咲いていた・・・!
といったイメージがそのとき浮かんだのでした。

高村光太郎の有名な詩『道程』の一節にもあるように、
自分の前には花はまだ咲いていないけれど、
自分が歩いてきた道には花が咲くものなんだなあ〜・・・と妙に感動した覚えがあります。

今ここに立っている瞬間にこそ、種が蒔かれたのかもしれません。
他の人には見えなくても、自分だけがその後方に見ることが出来る花の群れです。


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『後方の花』©Tomoko Okada


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by team-osubachi2 | 2016-02-24 09:22 | らくがき帖