久米島紬三者三様

*10月23日(金)晴れ

この春のこと、友だちのRさんがとある久米島紬と出会った。
それまでいろいろ悩んで、それじゃあこれにします、と決めかかったその直後、
廊下に飾ってあったある一反と目が合ったとたん
あっ!これだ〜これこれ〜〜っ!ガオーーッ!と、ひと吠え(?)し、
それまで迷っていたものは即座に元のところに戻され、
私にはこの久米島紬!とばかりに身も心も虜になってしまったようだった。
・・・とまあ、そんな面白い場面に遭遇したものだから、
仕立て上がったら着てるとこをぜひ見せてくれ〜♪と所望した。

あれから半年たって、この日これも共通の着物友だちであるTさんと共に
『くめじまごっこ』と称して美味しいお昼ご飯を食べに行ってきた。

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沖縄にはいくつもの染織があって、布好きにはたまらない地方だが
中でも久米島紬は独特な匂い(雰囲気とでもいおうか)があって私は大好きだ。

久米島紬は織り子さんが色や絣のデザインを自ら考え、
括り、染め、そして織り上げるという工程を一人でやる。
そのせいか、織り子さんたちはそれぞれ反物を見れば
これは誰かれが、それは誰それが織ったものだと分かるんだそうな。
そのせいか、一枚一枚の着物には
織った人それぞれの個性が宿っている気がする。

f0229926_2048293.jpg←柳崇氏の帯でキリッと

Rさんが惚れ込んだ一枚は、焦茶ふた色の十字絣が規則正しく並んでいるもので、
一見すると何でもないようだけど、実は地色の白はなんと色が染まらないよう
(糸の段階で)すべて括られて防染されている。
見る人が見れば、どれだけ括りなど手技の確かさと根気が要るかわかる一枚。

そんな織り子さんによって込められたパワーなんだろうなあ、
これは外に向かってよりも「着る人間の内側に向かって
光が放たれているような着物だ」とRさんは嬉しそうに感想を言っていた。

f0229926_2049632.jpg←西陣の帯でおされに

もう一方のTさんの着物は、これもTさんと出会った織り子さんが
自身のお祖母(おばあ)の起こしたデザインを復元したものなんだそうだ。

優しいたまご色の地は、タテ糸は蘇鉄、ヨコ糸は椎の木で染められた交織で、
そこに並ぶ琉球藍の十字絣と、それを囲む車輪梅と泥の焦茶の絣模様は
どことなく素朴な聖(ひじり)めいたものが感じられて、見ていると
いつか一度は行って見たいエチオピアの聖ギオルギス教会を思い出す。

RさんもTさんも二人ともちいさいお顔にスラリと背が高いこともあり
絣模様とはいっても帯合わせも都会的な雰囲気でおされな着こなしだ。

f0229926_20525132.jpg←やっぱ無地帯が好きさ〜♪

方や私の一張羅はいかにも伝統的で、それこそ泥で濃く染められた
土臭い雰囲気の久米島紬だけれど、私はこれがもう大好きでたまらない!
この久米島紬には同じく沖縄の染織家上原美智子さんの帯をあわせる。
(過去ログ:http://okakara.exblog.jp/15568044/
http://okakara.exblog.jp/16956099/

古着売り場で出会ってかれこれもう十何年もたって、
深い地色もいい具合に枯れてきているのに、
いまだに私に新鮮なパワーをくれる着物で、
「なんて自分に似合うんだろ〜♡」という自画自賛ぶりである。w

f0229926_20531944.jpg←ランチのしめ♡

この何年かしみじみ思うことは、本当の意味で“似合う着物”というのは、
その人その人の心身に自然に寄り添い、かつ支えもし、
着る人の内面を照らし出すことで、その人の心映えが
まわりの人にも感じられるものではないか・・・ということだ。

作家ものである必要はないし、名産地のものである必要もない。
普段着だろうがよそゆきだろうが、また新しかろうが古かろうが、は関係ない。
大切なのは、その人がいかにその人らしくいられるかということ。
着手が本当に好きで元気をくれる着物は、
きっとそういう“似合う着物”なんだろうという気がする。

人の着姿をみて、そんなことを想った秋の一日だった。


Commented by セージグリーン at 2015-10-27 13:23 x
おぉ、思わず吠えたくなるお着物との出逢い、もうこれは運命ですね!

>焦茶ふた色の十字絣が規則正しく並んでいるもので、
実は地色の白はなんと色が染まらないよう
(糸の段階で)すべて括られて防染されている。

生成り地に焦げ茶ふた色、射貫かれました。(^_-)
他人様のお召しものながら、好みです〜。
おみ帯もキリッとシックですね。

朋百香さまのお召し物は、タテ糸は蘇鉄、ヨコ糸は椎の木で染められた交織なのですね。アップでよく分かります。
モダンな十字絣をデザインされた織り手さんのお祖母様の創造力にただただ脱帽です。
そこからエチオピアの聖ギオルギス教会、、、(存じませんが)に思いをはせるTomokoさんの想像力にも敬意を表します。

Tomokoさんのお召し物も、秋色の小物でますます本領発揮してます。

>自然とその人その人の心身に寄り添い、かつ支えもし、
着る人の内面を照らし出すことで、その人の心映えが
まわりの人に感じられるものではないか

全く同感です。
白洲正子さんもそのあたりを、どこかで厳しく書いておられますね。滅多な着物は作れないなぁと、自戒したことでした。
お三方とも、しっかりこの厳しい条件を見事にクリアされて、ステキなお人柄を映し出していますよ。こちらだけでも幸せですが、いつか実物を拝見したいものです。
Commented by sogno-3080 at 2015-10-27 15:53
着物好きにとってはとろけるような文章と内容(笑)
めろめろになってしまいますわ!!
皆様のそれぞれの個性が光っていて、うっとりします。
Tomokoさんが選んだ久米島も、らしさが現れて
いますね。PCに向かってため息ものです。
で、着物と同時に目がいったのが帯揚げ~~♪
例のアレですね!なんて着物に合うのでしょう。
Commented by team-osubachi2 at 2015-10-27 18:56
セージグリーンさん
白洲正子さんの審美眼と美意識は高いですよね。下手な背伸びなんてしようものなら、たちどころに見抜かれそうで怖っ。笑
もうこの年齢くらいともなれば、自分の身の丈が分かってる人が多いですから、そう無茶な買い物や、的外れなコーディネートをする人は少ないかもですね。また、等身大であるコトがとても快適なのを知ってるのもこの年代のいいところですよね。
だからどうぞ安心して良い出会いがあれば飛び降りて下さい。笑
Commented by team-osubachi2 at 2015-10-27 19:04
sognoさん
ほんと深みにハマったらハマったで、知れば知るほど着物って面白い衣服だなって思いますよね。
布が違えばそれを纏う人の似合い方も違うし、同じ布でも、人とは決して同じ似合い方はしない。、、、きっと一生かかっても解けない謎です。って解かないでおきますが。笑
帯揚げ、あれからさっそく使ってみています。ひと結びするともういっぱいいっぱいの短さですが、帯に入れ込んでしまえばへいちゃらですしね。こんな工夫、一人悦に入るにはもってこいの小物ですね。(^ν^)
Commented by 朋百香 at 2015-10-27 23:21 x
tomokoさま
えー、そうだったんですかぁ?知らなかった。Rさんのあの地の色は染めたんだと思ってました〜。
あの面積を防染するって、どういうことでしょう! 
私の頭ではちょっと、どのようにするのか想像も出来ません。が、大変な作業だということは理解できます。
一言に久米島紬と言っても、いろいろな技法があるものなんですね〜。んー、奥が深い。
Commented by team-osubachi2 at 2015-10-28 09:25
朋百香さん
だそうですよ、山本さんのお話によりますと。笑
でも、布を見れば「さにあらん」な出来映えですもんね。
実際Rサんがお顔にあててみたとき、彼女の顔がパアッと変わりましたもんね。ああ、コレなんだなあって見ていて思いました。
洋服とこの着物の違いは何だろう?っていつも思いますが、そういう衣服の違いの幅が面白いんですよねえ〜。着物と洋服。両方を知ってるとおされの幅も広がってくれて楽しいですよね。
Commented by 神奈川絵美 at 2015-10-28 17:04 x
こんにちは!
>独特な匂い(雰囲気とでもいおうか
すごくよくわかります!
実際、上のお二人のバックシャンの写真、
オーラが漂っていますよね。女優紬みたい。

それにしても
>あっ!これだ〜これこれ〜〜っ!ガオーーッ!と、
この気持ちも手にとるように思います。
恋に落ちた瞬間ですね(笑)
Commented by team-osubachi2 at 2015-10-28 22:19
絵美さん
うんうん、女優紬ね!このお二人は並ぶと背丈も同じ、
お顔のちいささも同じ、実にひと目をひく
華やかな着物姿でありました。
沖縄のものでは、個人的には他に読谷村花織にも惹かれますが、南風原や竹富などそれぞれに固有の匂いのようなもの、ありますよねえ。いずれも魅力的です。

>恋に落ちた瞬間ですね(笑)
まったくね。いったいなんべん落ちるんやあ〜?!笑
by team-osubachi2 | 2015-10-27 09:47 | 着物のこと | Comments(8)