猫じゃらしの増毛

野の草が好きである。
人から見ればただの雑草にすぎないものでも
わざわざ道ばたから採取してきてベランダで育ててみる草もある。
その一種がエノコログサ。通称「猫じゃらし」。

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簡単なようでも野の草は頑固者だから一筋縄にはいかない。
今年綺麗に生え揃ったと思っていても、
翌年には小さかったり、いびつな大きさでしか実らなかったりする。
でも、基本的に雑草だから放っておけば、
逆に別の鉢からのびのびと育って健やかな房をつけたりするのである。
・・・ぐ、ぐ、ぐやじい〜!

そんな風に野の草好きのせいもあって、
先だってネットのリサイクルショップで
またしてもポチッと手に入れてしまった帯がある。
「ところが奥さま、まあ聞いてくださいまし。
うちの野口英世を三人ばかり差し出しておつりが来る心安さでしてねェ」
と杉村春子調の声色で自分に向かって言い訳してみる。嗚呼・・・。

f0229926_11204390.jpg← Before

ま、そんな言い訳はともかく
猫じゃらしが前に一本、お太鼓にほんの二本ばかり、
しゅっしゅっと手描きされただけのあっさりした塩瀬の染め帯である。

届いてみれば、ありがたいことに想像以上にコンディションが良かった。
あっさりしすぎる柄付けも60代から締めるなら洒落たバランスになるだろう。
だが、描かれた柄を見ているうちになんだかモヤモヤしてきた。
何かというと、猫じゃらしの房が私にはどうも「ハゲ」て見えるのであ〜る!

う〜〜ん、なんとかならないかしら???

f0229926_11201289.jpg← Let's try!

そこで画材店へ買出しに行ったついでに買ってきた
金色のボールペンで「増毛」することにした。

失敗は許されない一発勝負!よし、いくぞ!エイッ、ヤアッ!!
*よい子はマネしないでください

f0229926_11211027.jpg← After

結果は・・・うん、まあまあ、こんなところかしら?

今の自分にはまだ早いかもしれないけど、遠からず活躍してくれるでしょ。
金色の房もいい具合に枯れてゆくかもしれない。
それまで箪笥でゆっくり寝かせておこうかな。
着物の箪笥も整理して、ちょっとばかり空きも出来たところだし。
・・・引出しの空きって、心の隙みたいなもので懐にはキケンかしら?

でも、ま、いいわ。
「だって奥さま、野口英世が三人ばかしでおつりですもの」
頭のすみで、杉村春子さんにそんな台詞を言わせてみる。www


Commented by 2015start at 2015-09-08 07:52
こんにちは♪

わぁ~、“ 増毛 ”しちゃってる~~っ!! (゜o゜)

でも、イイ感じになりましたネ♪ (^o^)

『まだ早い』とおっしゃらず、
《眠り猫》の帯留めでもあしらって
すぐにでもお使いになってみては
いかがでしょうか? (^_-)-☆
Commented by 朋百香 at 2015-09-08 09:16 x
tomokoさま
あはは、杉村春子さんのお声が聞こえてきます。(今の若い方には誰だか分からないのでは?)
猫じゃらしも元気になりましたね!
うーん、それにしても、渋い。
Commented by 神奈川絵美 at 2015-09-08 10:34 x
こんにちは! 猫ちゃんも喜ぶふんわり感に
仕上がりましたね。
確かに、年代的にまだ早いのかも知れませんが、
秋めいてくると、こうした「引き算」な
儚げコーデにも憧れます♪
Commented by sogno-3080 at 2015-09-08 11:22
杉村春子さんの口調で頭がいっぱい~~(笑)
猫じゃらしと来ましたか!
もうちょっこし描き足さないところがえらい。
私だったら余計なものもそこに付け加えたくなりそう・・・
Commented by まぁ at 2015-09-09 02:00 x
はじめまして
ボールペンだと変色するかもだけど安いから計算の上かしら?
染料、顔料にはお詳しいようだし
いつも楽しみに読ませて頂いてます
Commented by team-osubachi2 at 2015-09-09 08:11
2015startさん
無茶ぶりの増毛法です。笑
ベランダを観察していると、猫じゃらしの実が熟すと、雀がついばみに来ますので雀の帯留めもあるといいかなあなんて思ってたんですけど、眠り猫などの猫ものもいいなあと思いました。またかまぼこ彫り、やりたいなあ。
Commented by team-osubachi2 at 2015-09-09 08:22
朋百香さん
はい、若い人の中には知っている人の放が圧倒的に少ないでしょうねえ。私の中の杉村春子さんはいつでも小津さんや溝口さんの映画に出てくる杉村さんなので、あの昭和の邦画の面白さにハマってくれてる人らがいるといいなあと思います。
しかし、あいかわらずの老け趣味です。笑。
かつて杉村さんらベテランの着物姿に憧れた20代。あれから20数年たっちゃいましたけど、これから先の20数年は今までよりももっともっと早く過ぎてしまうことでしょう。あっという間にしっくり締められるお年頃になりそうな予感がします。笑
Commented by team-osubachi2 at 2015-09-09 08:32
絵美さん
晩秋には実った種もポロポロこぼれ落ちてハゲハゲになる猫じゃらしなんですけども、帯締めの色目を替えて五月や十月、十一月に締められたら嬉しいなあ、と。
無地帯と、柄が十分にある帯はそれぞれありますし、その中間の「引き算」的な柄の帯もあっていいのかなと思いましてね。雨滴の江戸小紋や結城にあわせて楽しみたいです。でも、やっぱりもうちょっと先がよさそうですね。笑
Commented by team-osubachi2 at 2015-09-09 08:46
sognoさん
たとえば小津さんの「浮草」や溝口さんの「晩菊」に出てくる杉村さんは、例え飲み屋の女将だろうが守銭奴みたいな芸者あがりだろうが、どこか艶めいてるんですけど、もっぱら小津さんの映画なんかのちょっとしたおっかさんやご近所の主婦みたいな役がことに好きなんですよねえ。(ちょっとした役っていえば高橋とよさんのキャラと着こなしもたまりません/笑)
ずいぶんすき間の多い猫じゃらしの帯ですが、いえいえ、これ以上の描き足しは大失敗のもと。私のイラストの師匠である灘本唯人センセいわく「背景になんでも描き足すのは空間恐怖症ですよ、あなた」ってことになりますのでグッとこらえます。笑
Commented by team-osubachi2 at 2015-09-09 08:55
まぁさん
はじめまして。コメントありがとうございます。
きっと染織をやていらっしゃる方から見れば、無茶なことをブログで紹介してるなあと思われてもしかたないですよね。苦笑
このボールペンの経年変色はおよそ計算のうえで、毛足が細く描かれている状態であればオッケー、失敗してもこのお値段なら惜しくはないのであります。
染料って持っていませんし扱ったことがないので、また岩彩で描くにしても筆の水加減を誤ると塩瀬という生地に水滲みを作るんじゃないかと不安でしたし、無茶は承知でやっちゃいました。ホント、マネはしないでくださいって思います。
どうぞまたブログを覗き見にいらしてください。今後ともよろしくお願いいたします♪
by team-osubachi2 | 2015-09-07 12:10 | 着物のこと | Comments(10)