絽の黒紋付

6月に母が再三再四で入院し、はじめは落ち着いていたのが
のちに容態が急変してからというもの、
どうもキモチが落ち着かなくて着物を着ることもないまま盛夏を迎えた。

結局ふた月ぶりくらいで袖を通した着物は
母を見送るための絽の黒紋付になってしまったが、
これも生前にこの日このときのために
母自身が私用に誂えてくれた夏のひと揃いなのだった。

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母が身罷ったその日は富山特有の夏のフェーン現象で
気温は38度まであがったのだが、翌朝激しい土砂降りのあと、
それまでの暑さがウソのように落ち着いた夏日になり
難なく絽の紋付に袖を通して母を送り出すことができたのはさいわいであった。

冬のひと揃いで父を送り、夏のひと揃いで母を送った。
役立てることができてよかったなあ〜と思う。
ひとまずこれで「モトはとったんじゃない?」と心の中で語りかけてみる。
返事はないが、まあまあ安堵したような顔がポッと浮かぶ。

とはいえ、これら黒紋付がお役御免になるのはまだ先のこと。
ちょうど今週はお世話になっている呉服店で
夏のお手入れキャンペーンをやるそうだから、
さっそくお手入れに出しておかねばである。
by team-osubachi2 | 2014-08-04 13:27 | 着物のこと