久米島紬に惹かれて

春の嵐が一過した翌日、着物友だちを誘って
長平庵で開催していた『めずらしの久米島紬展』へ行ってきた。

久米島紬展を見にいくのに、
何も自分の久米島紬を着てゆく必要はなかったのだけれど
なんとなく着ていきたかったので、大好きな一枚に袖を通して出かけた。

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帯はこれも大好きな上原美智子さんの無地八寸に
「ビスケット」と呼ぶお気に入りの帯留めを組み合わせて・・・♬

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天気予報では晴れると言ってたけど、ちょこっと肌寒い曇天も
長平庵の中は春日のように明るくて温もり感のある布でいっぱいだった。

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奥の洋間にもいろいろと取り揃えてあって、
この布が醸す雰囲気に引き寄せられて、ためつすがめつしては
ため息をつくばかり。・・・ふわあ〜〜〜♬

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目に好いものは、何も久米島紬だけではなかった。

会場に現れた長平庵のお美しい女主人は、
この日、夕方からコンサートにお出かけということで
こっくりとした濃紺地に桜の絵羽ものをお召しだった。
これまたふわあ〜〜・・・とため息が出るような麗しさ。

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その女主人と一緒にコンサートへお出かけするという絵美さんは
明るい地色のお召し物に、桜に鴛鴦の染め帯姿で・・・。
帯とお対の半襟が効いた装い。

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うなじがすこぶる美しいK子さんは、
平織りの紬地に明るい薄緑色の小紋が染められた着物に
グッと引き締めた濃い地色の間道の帯で。
(この帯、ツボだわ〜ん♬)

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ところでこの日の夕方、織り子さんがお二人現れたので、
急に思い出したことがあった。

私が自分の久米島紬を手に入れたのは、
かれこれもう十数年前のことになるのだが、
http://okakara.exblog.jp/15568044/
そういえば、ひょんなご縁で手に入れたこの久米島紬の生みの親が
どんなお人か判るものならぜひ知りたいと思ってたんだった!

基本的に久米島紬は人それぞれが、図案から括り、染め、織り、仕上げまでを
皆で「ゆいまーる(互いに扶けあう)」しつつも
一人で制作する着物だそうだから、たとえばトウィガー(鳥)の絣を見れば
誰が織ったものか判ると聞いたことがある。

だったら私のこれも、どこのどなたが織り上げたものか
ひょっとしたら判るんじゃないだろうか・・・?

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というわけで、織り子さんに着物を見てもらいながらうかがってみたところ、
間違いなく正真正銘の久米島紬であるコト、
そしてこれは真謝(まじゃ)という地区で織られたものだというコト、
どうやら昭和のおしまいから平成のはじめ頃のものではないかというコト、
さらには、今はもう織られていない柄で
織り手の方は引退されている方かもしれない・・・というお話だった。
おお〜〜〜っ!そこまで判明しただけでも感激っ!!

組合の方ならもっと判るかもしれないということで、
スマホで写真を撮って見てもらえないかお願いした。
もしかしたら自分の着物の作者が判るかもしれない!?
そう思っただけで言葉では表現できないような嬉しさが湧いてくる。

もちろん、もしかしたら最終的に生みの親が誰であるかは判らないかもしれない。
でも、この着物の生まれた場所が判っただけで、
なんでこんなにワクワクするんだろう?・・・不思議だ。

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この着物を「カケ」のつもりで手に入れて帰ったその後、
二三日、衣紋掛けにかけて鴨居に吊るして眺めた。
売り子のおばちゃんが「信州産よ」とケチをつけた割には、
どうしたことか、ジッと眺めていると
なぜか惹かれてやまない何かとても強い魅力というのか
エネルギーのようなものが布からそこはかとなく伝わってくるではないか。

ま、結果的に、そのインパクト通り、これは正真正銘本物の久米島紬だったワケで、
布にしっかりとしたエネルギー(たましいのようなもの?)が込められている着物は
絶対に悪いものではないというコトを私に最初に教えてくれたのがこの久米島紬だ。

人を惹きつけてやまないパワーや美しいエネルギーは、
同時にその人を元気にするのだというコトも教えてくれた着物である。
Commented by 横浜南 at 2014-03-15 00:42 x
明日のお話会に予約を入れていたのですが、居てもたってもいられず、仕事をさっさと切り上げて本日お邪魔させて頂きました。長平庵の空気、久米島紬の力に私の思考回路は、ショート致しました。知子さんに偶然にもお会いできて、時間も忘れはしゃぎまわってしまいました。 千藤さんとの帯との思いもよらない再会。山本きもの工房さんに伺った仕立てのお話。充実過ぎる一時でした。楽しかった~~。こんな嬉しい一時を与えて下さった知子さんに感謝です。ありがとうございました。
Commented by セージグリーン at 2014-03-15 06:39 x
お越しの皆様のお召し物、個性にあったすばらしいものばかり、さすがは着物巧者好みの展示会です。
Tomokoさんの久米島の一色をとった帯締め、ビスケット帯止め、そしてざっくりした無地のおみ帯、若々しいセレクトです。
そして言わずもがな、麗しき同じ主人、お美しいです、、、。
Commented by sogno at 2014-03-15 10:25 x
出自を探る旅、なんかわくわくしますね。
今後の展開がたのしみです。
ロマン、そのものだわ~
Commented by 香子 at 2014-03-15 10:46 x
昨日はありがとうございました。
目の保養と口の保養(美味しいお茶と楽しいお喋り)
すこぶる堪能いたしました♪
Tomokoさんの紬のルーツ…ワクワクしましたね。
そこまで深く分かる久米島ってスゴいなとあらためて思いました。
Commented by team-osubachi2 at 2014-03-15 10:46
横浜南さん
昨日は思いがけずお会いできてこちらも嬉しかったデス!さっそくにお出かけいただき、こちらも紹介しておいた甲斐があるというもの。どうもありがとうございました ♬
ワケありとはいっても、織り子さんが一反織り上げてのちの洗礼(検品)はかなり厳しいものがあるなあ〜と思いつつ、だから上質の良い物で在り続けられるのかなあ〜とも思い、その間で山本さんみたいに織り手と着手の仲立ちをしてくれる人がいるっていうのは世の中捨てたもんじゃないネって、そんなことも思いました。
今日は日差しがありますね。何人ものお客様をお迎えして、長平庵も賑やかになるのでしょう。お話愉しんでいらしてください。
遠からずお着物遊び(久米島ごっこ!)いたしませう〜♬
Commented by team-osubachi2 at 2014-03-15 10:55
セージグリーンさん
去年は直前にインフルエンザに罹って見に行けなかった展示会でしたから、今年は行けてよかったです〜。
こういう会には(売らんかな!なベタな展示会とはちょっと違いますし)、着巧者ばかりでなく、ぜひ着物ビギナーの人たちにもこれら本物を見ていただきたいなあって思います。そして、証紙があるものとないものの差がどういうことなのかも知っていただける機会になったらいいなって思うのでした。余計なお世話かもですが。笑
>若々しいセレクトです。
そうですか?おばあちゃんになってもこれでいきま〜す。ウフ♬
Commented by team-osubachi2 at 2014-03-15 10:58
sognoさん
はい、ホントにワクワクします!!
って、出自が判ったらな、なんてコトをすっかり失念してたんですけど
織り子さんを見て突然思い出しました。着てってよかった〜!って。笑
他の着物ではなかなかそうはいかないのでしょうけれど
久米島紬って、そゆとこ面白いですね。いいなって思いました。
Commented by team-osubachi2 at 2014-03-15 11:23
香子さん
こちらこそ、昨日はばったりお会いできてよかったデスね〜。
ああいうところでサラッといただくお薄も、
なんだか和みますし、沁みますですね〜。
吉野間道、ちょーイケてます!!笑
鈴木一の御御帯・・・ううう〜悩ましいですねえ。
崖から落ちる心配もないのが幸いですけど、穴も掘れない〜!笑々
Commented by 朋百香 at 2014-03-15 12:29 x
tomokoさま
tomokoさんの久米島の出身地が分かって
こちらもワクワクしました。ほんと、ロマンですね〜。
思いがけない事が起こるのがきものマジック。
やめられません・・・。
しかし己の物欲との戦い、これも厳しいぃ・・・。
鈴木一コレクション、微妙なお値段で、もっと高かったら
悩まないですむのに・・・。
Commented by sakurako_h at 2014-03-15 14:10
絣を見れば、誰が織ったかわかるという話は、
私も先日お聞きして、なるほど〜と思ったのでした。
手に入れた経緯や今回判明したことも含めて
知子さんの久米島紬のストーリーにワクワクです♪
Commented by team-osubachi2 at 2014-03-15 14:34
朋百香さん
はい、おかげさまで織られた場所がわかってとっても嬉しかったです。
って、でも、よく考えてみたら一体何で嬉しいのでしょうね・・・?笑
着物熱は恋の病と一緒ですから、とことん惚れ込んだものなら
その着物や帯のことを何でもいいから知りたくなって、
それが判ったら、知れたらもうなんでも嬉しいんですわね〜♬
まあ、着物熱はたしかに物欲の病もありますけどもねえ〜。「ない袖は振れない」とはうまいことを言ったものだと、最近になってつくづく身に沁みて思います〜。苦笑
Commented by team-osubachi2 at 2014-03-15 14:41
櫻子さん
「これだから古物漁りは止められない」といった典型でしょうか?笑
でもね、当時でさえ「もうリサイクル着物は買わない」って
決心したつもりのときに出会ってしまった着物なんですよ〜。
自分の「買わない」はしょせん「つもり」なだけかい・・・と
がっくりしつつも、カケに勝ったような高揚感は
たまりませんでした。やっぱりやめられない・・・ですかねえ?笑
Commented by 神奈川絵美 at 2014-03-15 16:06 x
こんにちは!昨日はお会いできて嬉しかったです。
今となっては「信州産」といったおばちゃんにも感謝ですねぇ。
「かけ」の気分にならなければ、ルーツをたどることもなかったかも知れないし、「勝った」喜びもひとしおでしょう。
私は黒系の着物はあまり持っていないのですが、だんだん、久米島の泥が自分に似合いそうな気になってきました。歳でしょうか・・・。
Commented by team-osubachi2 at 2014-03-16 01:09
絵美さん
こちらこそ、タイミングがあってよかったです。絵美さんが締めていた帯を見ていると、私の着ない訪問着もいずれ帯に・・・な〜んて思ってしまいます。笑
私の久米島紬、こんな辿り方も面白いですね。そうそう、あの売り子おばちゃんにも感謝しないと。これも袖振り合うたご縁というものでしょうか。笑
>だんだん、久米島の泥が自分に似合いそうな気になってきました。
久米島紬の泥でも様々な絣や縞、格子がありますから絵美さんにもきっとお好み・お似合いのがあると思います。二枚目にまたいい出会いがあるといいですね♬
Commented by fuko346 at 2014-03-17 22:41
tomokoさん
ご無沙汰でした~~。

もう 目の保養をたっぷりさせていただきました。
行きたかったけど、、、こちらで拝見 満足です。
tomokoさんのお召もの 春の絵柄は何にもないのに、
ほのぼのと季節の気配が伝わってきます。

いいものってわかりますよね。
おきものもきっと喜んでいるでしょう。

作った方たちのお話って ほんとに楽しいですよね。
私も 手持ちの ぼぼ久米島、をまといたくなりました。

Commented by team-osubachi2 at 2014-03-18 13:26
fukoさん
ご無沙汰でございました〜。
いやあ、もうこんなに沢山いっぺんに久米島見たのはじめてでした。山本さんから説明を受けるごとにため息が出るばかりでした。
このため息が、ひと粒ひと粒砂金になってくれたなら私はどのコをお嫁にいただきましょう?・・・などと、いつものように妄想しながら眺めて愉しんできました。笑々
いいもの・・・それが作家ものであろうが、名もなき職人のものであろうが、力のあるもの、たましいのこもったものは、やっぱりちゃんと伝わるものだなと思いました。問題はですね、受け手のセンサーがちゃんと働いているかどうか、ですけども、ねえ?・・・笑。それとお財布の大きさも多分にありますですね。ふう。
みなさんそれぞれに着物語りをお持ちですが、若いころは、ひと様の物語を指をくわえてうらやましがっていた時代もありましたが、長くつきあううちに私にも私だけの物語がいつのまにか在ったなあ〜と感じるこのごろです。また機会があうときに着物デートいたしませうよ♪
by team-osubachi2 | 2014-03-14 23:54 | 着物のこと | Comments(16)