それじゃあまた

先週末、かれこれ三年半ほど入院したきりだったオヤジさんが身罷った。
齢八十の昭和一ケタ生まれのしがない建具職人の一生は
さて、どんなものだったのかなあ?と思う。

根はお人よしで、人に頼まれればイヤとも言わず
細かい仕事なんかも引き受けていたようだけれど(職人としてはそれがあたり前で)
その分我が家にはたしかにあんまり棚は作らない性分だったかな。
組子障子の襖だけはいいもの残してくれたと思うけどね。

戦死した父親に成り代わって育ててくれた鉄火な母親に
もしかしたら「本気」で叱られたことがなかったのかもしれない。
野放図に育った気の小さい逃げたがりの人間に“逃げ酒”も禍になって、
だから家族を持ったはいいけれど、
思った以上に家の中で軋轢が生じた時期も長くあったわけで・・・。

長い間、おふくろさんの考え方が染み着いてしまっていたムスメは
そんなオヤジさんをどうしようもない父親としか思っていなかったけれど、
でも、仕事で独り立ちして後、あるとき新橋のおじさんたちの様子を眺め、
そこへ落語の笑いを覚えたことから、
他のひとの価値基準で勝手に駄目オヤジと思い込んでいた自分に気付き、
自分の中の父親像が大きく変わっていったっけ。

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家に戻ったオヤジさんの顔は
長い入院生活から解放されたこともあってか
心底リラックスしてぐっすり寝入ったようない〜い顔をしていて、
ああ、この人、本当はこういう顔してたんだなあと思った。
もしかしたら、育ち方や心の在り方が方向違いになっちゃって
この顔の持つ人間味の良さを発揮しないまんま人生終わらせちゃったんじゃないかい?
・・・と、そんな気がした。

通夜と葬儀は、日本海名物である冬将軍が大暴れしたお天気のはざま、
奇跡的に穏やかな陽気に恵まれた二日間に済ませることができて
参列者一同みんなは大助かり。
もちろんあのお天気が彼の置き土産かどうかは知る由もないけれど、
おかげでオヤジさんに対する家族の印象は一発逆転ホームラン!
きっと本人も安堵して、彼岸へと旅立っていったのに違いないね。
しめやかにっていうよりも、こざっぱりして爽やかにお別れしてきた。

私はオヤジさんのムスメとしていろいろ学ばせてもらってよかったなって思う。
悩んだ時期もあったけれど、なんだかんだ最後は面白かったよ。
ま、またいつかあの世とやらで会うんだろうから、それまでしばしお別れだ。
それじゃあまたね、さようなら。
by team-osubachi2 | 2013-12-13 08:45 | 日々いろいろ