NHKスペシャル『家で親を看取る』

月刊誌「家庭画報」でいまエッセイを連載されている
秋山正子さんは、在宅ケアや、家での最期の看取りについての
専門家でいらっしゃる。

その挿し絵を担当させていただいていることから、
親や家族の介護と終末ケアについては、情報を得る機会があるときには
(ほんのりと知る程度ではあるけれど)目を向けている。

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日曜の夜に放送していたNHKスペシャル『家で親を看取る』を録画して見た。
あたりまえかもしれないけれど、ドキュメントの映像というのは、
文章だけで読み知る情報と違い、見る側に現実味を感じさせるものがある。

終末に向かうご本人の様子と、介護する家族の負担と疲労と苦悩、
訪問医と看護師の存在と役割と、社会がかかえる問題、などなど・・・。
病気でもない限り、これから先、お家で最期を迎える高齢者の数は
ますます増えるそうだから、実際すでにそうなっているのだろう。

父親が終末にむかう予感の中で
最期の看取りを実家でなさった女性が
いよいよ泊まり込んで介護するというときに、
「もううちで、できると思う、できるはず。
自信はない部分もあるんだけど、でも、何とか
何とかなるかな・・・んー、何とかなるというか、何とかしたい。
大丈夫だと思う。うん・・・」と言って
自分の覚悟を自分に言い聞かせるようにお話されていた。

そして、容態が急変したときに「救急車を呼ばない」ということなども
訪問医にきちんと確認していらした。
(看取りを覚悟し、在宅で介護をする家族にとっては、
最後の最後に救急車を呼ぶとどういう事態になるかという事も、
考えなくてはいけない事なんだね)

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秋山先生が著書の中でおっしゃるように、
もともと人は家で亡くなる時代があたり前だった、
病院で亡くなるのが普通になった時代はごく最近のことでしかない、
・・・というお話は、ああ、そう言われれば、
自分がごく幼い頃はまだそうだったようだ、と
田舎の家々の古い記憶に思い当たるものがある。
それが、私が高校生になるころには、田舎でも老人病院が建てられて、
うちの祖母や母方の祖父はそういう病院で亡くなったのだった。

私と相方の両親はまだそれぞれに健在でいてくれるけれど、
この先どういう事態になるかは、実際にそうなってみなければ、
どう動けばいいのかもわからない・・・というのが正直なところである。

でも、今すぐ差し迫った状況ではないとはいっても、
これは他人事ではない近い将来の話だから、
少しは見知っておいてもいいんじゃないかな・・・と思いながら
こういう番組をチェックしている。

NHKスペシャル『家で親を看取る その時あなたは』
再放送/4月25日木曜日(水曜日の深夜)0時40分〜1時29分
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2013/0421/index.html
Commented by 神奈川絵美 at 2013-04-22 22:25 x
こんにちは。少し前に仕事で医師の対談をまとめていたときに、
医師すらも「看取り」のやり方がわからない、という発言があったことを思い出しました。若い医師は特に、自宅で人が亡くなる場に立ち会ったこともないし、たいていは病院で、苦しみと戦いながら亡くなるわけで、「良い死に目」に立ち会ったことがないため、良い死、納得のいく死とはどんなものかもわからないそう。
そもそも医師って、人の命を助けるのが仕事、というのがベースにあるので、熱心な在宅診療医以外は看取りには関心が薄いし、教育の場もないのですよね。
そういう意味では、患者さんやその家族側から、医師を動かしていく、ということも今後必要になってくると思います。
救急車を呼ばない、とか、延命をしない、というのは、実際その場面になると、決断には本当に勇気が要ると思います。私も、当事者になったらどうしたらいいか、まだ答えが出ずにいます。
Commented by team-osubachi2 at 2013-04-23 11:03
絵美さん
今回の内容は、わかりやすく(末期がん患者や認知症患者ではなく)老衰の方々を取材してまとめたように思うのですが、病院のドクターですらそうなら、ましてや私たちが人の臨終がどんなものかわかるハズもないですよね。最後の最後に救急車をよばない・・・今まで考えたこともなかったです。

>患者さんやその家族側から、医師を動かしていく
団塊世代をすべて見送ったあとはまたぐっと減るのでしょうが、訪問医と看護師の需要、絵美さんのいうような状況になるのかもしれないですね。っていうか、今からもう動いてもらう方がいいですよね、やっぱり。
寝たきりで意思疎通も出来ない90歳の母親をずっと介護してきた娘さんが、悩み続けて胃ろうを止めたいと決意し、それを受けて担当の医師も悩み、どうするかの問題は、見ていて「自分だったら?」と考えてしまいました。自分の身に現実にそうなってみないと判断つかないことですよね。
今回の放送は、そういう意味では、結果いい具合になんとか納まった例ばかりだったと思いましたが、実際には、とても書けない、放送できない事例もとても多いんだろうなと思いつつ・・・。よかったらオンデマンドで見てみてください。
Commented by 風子 at 2013-04-23 12:11 x
こんにちは。
あえて見ませんでした。
もう 感じておいでのようですが、いわゆる
ゴールデンタイムに全国放送できる内容、は限られて
います。
それでもこういう番組が作られるようになったのは
時代が少しずつ動いているのだなあと感じます。

不可能でしょうが、救急車で運ばれたあと、また意ろうをつけたあと、の老人を淡々と10人くらい取材した
映像を流したら世論は大きく変わるだろうなあ、と
思います。
そのあとどうなるか、を知らせずに処置をするのは
医療側の無責任だと以前から感じています。
なんんて言うと 非難ごうごうなんですよね。
Commented by team-osubachi2 at 2013-04-23 13:47
風子さん
はい、報道には放送できない事がいろいろありますね(状況は違いますが、それは大震災や大事故・大事件の時でもしかり、で)。録画ででしたが、きっとどこかで「こんなハズない、こんなのは全然いい方だ」と思う人びとがいっぱいいるだろうなあ・・・と思いながら見ていました。
私の祖母は早くに認知症になりまして(元気だった頃は嫁である母には煮え湯時代だったようですが)病院に入ったら大人しい女学生になりました。方や、母が敬愛していた人格者の父親(私の祖父)は、病院では暴力人間になり、祖父の家の嫁さんは寄り付きませんでした。懸命に介護する母親の姿と周りの親戚と・・・。我が家の事情のみですが、そういうものを思春期に見ていました。
こんな風な番組は、現在それに直面している人たちに対してではなく、今後こういう時代を迎える私たち世代に向けて発しているんだろうな、とも思いながら見ていました。
果たして自分はどうか?こればかりはどんなに知識で頭を一杯にしておいても、実際当事者になってみなければわかりません。今はまだ、時代のわずかな情報をほんの少しポストイットみたいな記憶として頭の中に貼っておくくらいが関の山、と自認しています〜。
Commented by straycat at 2013-04-23 23:15 x
tomokoさま

うちの母は祖母と夫の二人を自宅で看取りました。祖母の時は円形脱毛症になったそうですし、父の時は訪問医のDrが「本当によくなさいましたね・・」と嘆息するように母に言葉をかけていたのを覚えています。
どんなに大変なことかと思いますが、私は自分の母は絶対に実家で私が看取りをしようと思っています。
人権人権というけれど、人はより良く生きる権利もあるけれど、よりよく死ぬ権利もあるわけで、介護する人はその意思をあらかじめ本人に確かめておく必要があるのではないかと思ったりしています。文章にするとか、具体的に考えを確認しておくとか。そういうチェックノート(というと言葉が適当ではないかもしれませんが)のようなものもあるようですよ。
ただしそれは介護されるご本人にしっかりした自覚と意思のある場合に限るのかもしれませんが。そういう話題を忌避する人もいますから。幸いうちの母はそれが出来る人だと思っているのですが。。
お二人のおっしゃるように、社会全体に「死」についての一種の教育のようなものが不足しているのかもしれないと思ったりしています。
Commented by team-osubachi2 at 2013-04-24 09:24
straycatさん
お母さま、えらかったですねえ。そういう姿を見てらしたstraycatさんですから、きっと同じようになさってやりとげることと思います。
自分の終末への希望や遺書をまとめたノート、エンディングノートっていうんですね、最近はじめて知りました、昨日もどこだかの自治体がエンディングノートを配布するというニュースをやっていました。うちの母親は延命治療は嫌だと言っていまして、それなら紙に残しておいてと伝えています。私だけが承っておいても、兄弟含め子供みんなが納得しておきたいものだと思いますしねえ。(親戚などの連絡先も記しておいてもらうって案外必要かも、とも)もっとも、郷里から離れている身ですから、いざというときどこまで自分が動けるかは未知数ですけども。

>社会全体に「死」についての一種の教育のようなものが不足しているのかもしれない
みなさんそう感じていますよね。私も親族でも臨終の場そのものには立ち会っていませんし、世の中に動物の死ですら(ペットは別として)身近にはありませんもんねえ。私も心しておきたいものだと思います。

by team-osubachi2 | 2013-04-22 18:21 | 日々いろいろ | Comments(6)