道中に着るもの−1

私の道中着は、25年ほど前のものである。
地紋のある生地に、いかにも汚れに強そうな色でローケツ染めされている。
昭和のおしまい頃、こんな羽尺がいっぱい出回っていた。
ムスメ用に・・・と、これを誂えたのはうちの母親である。

20代半ばで着物デビューした年に、はじめてこの道中着をみて
「ええーー?!こんな地味なのお〜〜?!」
ムスメは一、二度袖を通してみて「なんかババくさい」と
長い間住んでいたアパートのベッド下に置いていた着物箱
(着物用の箪笥なんて持ってなくて・・・)の底に眠らせていた。

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そんなムスメも20年たてばもはや立派な中年である。
40代に入ってふと着てみる気になり、
箱の底から引っ張り出して袖を通してみた。
・・・あれ?なんだ、着られるじゃん!

木綿などのごく普段着の上に着て出かけてみると、
軽くてサラリと羽織れて気やすく着やすいので、いまやすっかり愛用品に。
かつて「ババくさい!」と切り捨てたものが
いつの間にか似合うようになったムスメであった。
嗚呼、やんぬるかな・・・。
若い人間の断罪するかのような価値基準って罪ネ、罪。

ともあれ、四半世紀もたって、ようやく活動期に入った道中着である。
Commented by 朋百香 at 2012-11-09 09:54 x
tomokoさま
25年の歳月、ずっと出番を待っていたのですね。
でも、それで着られるのがきものの凄い所です。

若い人の残酷さは、(自分も含めて)経験済みです。
今、母の事を思い出すと同じ言葉でも、もっと
優しく言えば良かった・・・と。本当に若いって、知恵
も経験も浅いくせに残酷っですね。
そして歳をとって初めてその事に気付く・・・。
Commented by abe-mayu at 2012-11-09 11:07
ぜんぜん地味じゃない。
40代で着るのにちょうど良いかわいらしさがありますね。
どんな着物と合わせようかと、また楽しくなりますね。

今の年齢にも合って、長く着られる物を選ぶのは難しいです。
私は50代になって若いときの着物を染め直してまた楽しんでいます。
赤い部分に上から色をのせてもらって茶系に変えます。
1度に2枚の着物を着ているような不思議な感覚です。




Commented by sachiko at 2012-11-09 11:40 x
出番が訪れ イキイキ見える道中着・・・
お母さまが 「着回しできる優れもの やっと良さがわかったのね」とおっしゃるでしょう

私も若い頃は「お着物よりおこずかいの方が嬉しいと思う・・・」遠慮がちに言っておりました
聞く耳もたず いろいろ誂えていた母の楽しみ 40代・50代と
お着物纏う機会が増え 理解できるようになり
今では「ありがたや~~~ 自分では揃えられないわ」と感謝しています
感謝の気持ち ぎりぎりで母に伝えられました 
Commented by team-osubachi2 at 2012-11-09 18:30
朋百香さん
ほんと、洋服で何十年も着られるのって、たとえば英国の上質なホームスパンのスーツとかわずかですよね。着物って買うとなると高いですけど、こんな風に活かせるとなると決して高いワケでもなく、上手く出来てる衣服だなあ〜っていつも感心させられます。

>若い人の残酷さは・・・
いやあ〜まったくです。無知蒙昧ゆえに吐ける台詞がもういっぱいで、我ながら冷や汗ものです(笑)。
Commented by team-osubachi2 at 2012-11-09 18:36
abeさん
これ、でも20代のときに着て撮った写真を思い出すと、ホントに地味で、ただでさえ着物着ると老けてみられた私はうんとおばさん年齢みたいな気がしてイヤになっちゃったんですよお〜、あの当時。
若いころの着物をお直ししてまた着られるのって、それも着物の着回しのいい点ですよね♪ そういう私は粗忽者ゆえに全部ガード加工してしまっているので、染め直しが効かないという・・・。若くなってしまったものはどんどん綺麗な状態で姪っ子や人さまにまわしています〜。断捨離になりますかしらん?
Commented by team-osubachi2 at 2012-11-09 18:50
sachikoさん
いやあ〜、sachikoさんのお母様のコレクションは群を抜いていらっしゃいます。もしもあれらを着ないままだったら、もうどんなに残念なことでしょう!でも、いまやしっかりそれらを受け継いで着こなしていらっしゃるsachikoさんもそれ相当の人物ゆえお似合いになるのだと思います。
つくづく、人は(身につけるものはことに)分相応がいちばんその人らしく生き生きと輝いて素敵に見えるのだとsachikoさんを拝見していてすごく感じます。それはつまり、着物や帯に限りませんが、生み出された工芸品も、人物や場を得てはじめて生きて輝くものなのだと、この歳になってようやくわかってきました。

>感謝の気持ち ぎりぎりで母に伝えられました 
それはよございました。私も何度か感謝を言ったつもりですが、母親が元気なうちにあらためて言葉で伝えた方がいいかもですね〜、はい。
Commented by 神奈川絵美 at 2012-11-09 22:33 x
こんにちは! 20年前に「地味!」と思った気持ちもわからなくはないですが、確かに色味は落ち着いているものの、柄行きはのびやかで、昭和の良い生地、という印象です。Tomokoさん好みの秋色だし、お母さまのお見立て、さすが!と思いました。
Commented by 香子 at 2012-11-10 00:28 x
若い頃、赤が嫌いだったワタシにすれば
地味じゃない気がしますが、
お嬢さんには地味だったんですねえ (^-^)
こういう道長取り風というか雲取り風の柄、けっこう好きです。
Commented by team-osubachi2 at 2012-11-10 00:43
絵美さん
思えば20代でも40代以降でも大丈夫なものを選ぼうとすると、やっぱり長く着られる抑え色のものになっちゃいますよね。沢山持てる身代ではありませんから、賢くいくなら、こういうコトかなあ~、と。
もう一枚道行も赤茶い色なんですよ。さすがに当時の短い寸法は自分で直しに出しましたが、おかげで自分で羽尺ものは買わずに済みました。親には感謝しないとですね。
Commented by team-osubachi2 at 2012-11-10 00:57
香子さん
写真では色味がまだキレイに見えるんですが、実物はもっと暗いトーンなんですよ。若いときに着たところを褒められたコトはないんですが、今羽織って出歩くと案外いろんな人から「あ、いいてすねコレ」って言われるので、今の私に似合うようになったのかなと思えるんです。やっと、ですね。(笑)
Commented by 櫻子 at 2012-11-11 01:04 x
私は小さい時から黒っぽい服が好みでした。
赤やピンクなんてトンデモナイ!
もちろん、母は女の子っぽい明るい色を着せたがりましたけど(^^;
今なら赤かろうが黒かろうがドンと来いな感じですのに、
孝行したい時に親はなしであります。
Commented by team-osubachi2 at 2012-11-11 11:03
櫻子さん
ちいさい時から黒っぽいのが好きとは、ちゃんと主義主張がある子どもさんだったんですね。
こちらは赤ちゃんときから男のコと間違われるコトが多かった人生で、兄貴のお下がりを着せられたり、そのせいでしょうか、保育園で女のコには赤、男のコには青といった配りものがキライで、30代に入るまで何がお洒落なのかも分からずにいました。そして結局、いま赤、白、青紺は和洋を問わず私の服装に取り入れる羽目になっちゃいました。

>孝行したいときに親はなし
親より先に逝くのでなければ、それで良いのかもですよ。
by team-osubachi2 | 2012-11-09 07:31 | 着物のこと | Comments(12)