奥能登へ塩を買いにゆく

9月8日(土)晴れときどき曇り、一時雨

ドキュメンタリー映画『ひとにぎりの塩』の監督である
石井かほりさんとともに、石川県は奥能登の珠洲市にある
日本で唯一残る揚げ浜式という塩作りを体験する
一泊二日の(激安)奥能登塩ツアーに参加した。
参加メンバーは、石井監督や2歳児の坊やを入れて
総勢11名というコンパクトなツアーだった。

美味しい地元料理でお昼ご飯をすませてから「奥能登塩田村」へ向かった。
道の駅にもなっているこの塩田では
揚げ浜式という塩作りの見学や体験も出来るようになっていて、
この日は、ここで働く登屋(とや)良一親方の指示のもと、
まずは海水を撒き終えたあとの砂掻きからはじめた。
(ちなみに海水を砂にまんべんなく撒くのは、
我々ド素人にはかなり難しそうな作業だ)

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細かい粒の砂の上は柔らかくて、足裏にとても心地よい感触だった。
砂掻きの道具を使って、むやみにチカラを入れなくてよい
昔っからの方法を教わりながら砂を寄せ集め、
板で囲った昔ながらの濾過装置に砂を入れる。
この段階ですでに全員汗だくである。

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次に、数人砂掻きに残し、その他は磯辺へ下りて海水を汲む。
初めて天秤棒をかつぎ、海水桶を下げると、
もうそれだけでけっこうな重みがあることをはじめて知った。

うっかりこの桶いっぱいに海水を汲むと「重っ!」肩に天秤棒が食い込む上に、
腰をしっかり入れないと立ち上がれないわ
足元がフラフラになるわで、肉体労働を知らない我が身の
ヘナチョコぶりがよ〜くわかるのであ〜る。

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というワケで、海水の量は桶の半分までにとどめて、汲む回数を多くする。
(浜士の男衆はこれを一日に何十回とやる。頭が下がる思いがする)
自分たちがヒイヒイ言いながら汲み上げた海水は、いったん大盥に入れておき、
それを親方がポンプを使って、板囲いに入った砂に流し込むと、
昔ながらの濾過装置の下に濾しとられた濃い海水が出てくる。

この濃い海水を釜屋と呼ばれる小屋で、室温50度ほどにもなるという中、
寝ずの番をしながら一昼夜窯炊きをしてようやく塩が出来上がるそうだ。
この炊き上げる段階で味もかなり変わってくるんだそうである。

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私たちは最後に、隣の塩田に移り、
すでに濾したられて囲みをほどいた砂の塊を
またもとの塩田スペースに平らに撒き散らす作業をやってみた。
ところが、砂も平らになんて広がらないんであ〜る。

そんな体験者のゆきとどくハズのない部分は、
普段から作業をしている70代前後のおばちゃんたちが
シャーシャーと直してくれるんである。
「いいよ、大丈夫やよ、体験やからねえ、やってみんにゃわからんからねえ」
ううう・・・す、すいません。
私たち一行は体験を終えて、親方をはじめ、おばちゃんたちを
尊敬のまなざしで仰ぎ見るのであった。

百聞は一見に如かず・・・とはいうけれど、
いやあ〜〜、「見る」と「やる」とでは大違い!!
見ただけで「知った」つもりになってもいけないと思うが、
たかだかちょっぴり体験したくらいで、
「わかった」ふうな口をきくのも大間違いだろう。
きっと本当の大変さっていうのは、その仕事に従事している人と
その周辺の人にしかわからないのだから。

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珠洲市では他にもいくつか海の塩を作る製塩所があるそうだが
道の駅にもなっている「奥能登塩田村」では見学のほか、体験も出来るし、
もちろん買って帰ることも出来る。
ここで登屋親方の作った塩をしこたま買い、
そのあと、数百年もの間、家業として(塩の専売時代もくぐり抜けて)
ただ一軒だけ生き残った角花 豊さん宅も訪ねることが出来たので、
角花さんちの塩も、長年の念願かなってようやく買って帰ることができた ♬
すっごくすっごく、すご〜く嬉しいお買いものである!
(その分だけものすご〜く重いお土産になったけど・・・)

それにしても大変な作業である。
ここの砂に雨は大敵である。雨に降られてしまえばすべておじゃんである。
(この日はかろうじて砂撒きまで終えたところでにわか雨に降られた)
揚げ浜の塩作りの家々は昔から夏場は塩作りをして、
冬場は出稼ぎに出る暮らしなのだそうだ。
炎天下に汗水流してようやく得られるひとにぎりの塩。
そのありがたさ、尊さを忘れちゃいけないよ・・・と、
自分に言い聞かせておく。

夏は透明度30mもあるという珠洲の海から採れる塩。
しょっぱい中にもまろやかさがある優しい味わいで、
見れば見るほど、白くて清らかできれいな奥能登の塩である。

奥能登塩田村(揚げ浜式製塩のお塩が買えます)
http://www.okunoto-endenmura.jp/index.html

映画『ひとにぎりの塩』公式HP
http://hitonigiri-movie.com
Commented by 朋百香 at 2012-09-10 20:22 x
tomokoさま
う〜ん、貴重な体験をなさいましたね。
本当に小さじ一杯の塩でも大切に頂かなけれなければ・・・と思います、こんなに大変な思いをして作られているのですから。でもきっと美味しいでしょうね〜。お塩、買いま〜す。体験レポート、ありがとうございました。
Commented by team-osubachi2 at 2012-09-10 23:01
朋百香さん
いやあ〜、もうホントに自分でちょっとでも汗流してみて、いい勉強になったなあ〜って思います。ほんの一部ポンプを使う以外は、何百年同じ行程のままです。
そういう意味では、日本の伝統的なものはみなそうですね。そしてどこもそれら必要な道具を作る人がいないという現状も同じです。
自分に出来ることは、せいぜい消費者になる事ぐらいですが、ありがたく頂戴しようと思いました。お塩、美味しいですよ〜!
by team-osubachi2 | 2012-09-10 10:14 | 旅をする | Comments(2)