モノクロームの楽しみー1

今年7月にやった個展では、向田邦子さんの小説やエッセイに
自分の好き勝手にカラーで絵を描いてみたけれど、
現実的な挿し絵仕事は圧倒的にモノクロームで描く世界だ。

私の場合、もっぱら鉛筆と透明水彩のブラックを使って描くのだが、
なかなか黒の濃淡の幅を出すのはムツカシイ。
コントロールしているつもりでも、乾いてみれば
思ったよりも薄かったり、濃かったり・・・。

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Water Colour という透明水彩は、薄い透明な色を重ねてゆける絵の具だ。
同じ色をかさねて深みをだしたり、
違う色をかさねてAという色をBという色に見せたりすることは出来るけれど、
乾いてしまったあとは薄くすることができないし、
厚く上塗りして元の色を消したり変えたりすることが出来ない。

でも、濡れている間になら、水の加減で
どのようにでも絵の具に表情を出せる画材でもある。
淡くのばしたり、滲ませたり、ぼかしたり、とブラック一色を使うにしても、
私の場合はなるべく一発で濃度を決めて
エイヤ!で一気に塗って、無地場に暈かしなどの表情をつける。


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それでもしも納得がいかないところが出来ても、
あとで無理に塗り重ねれば
不思議と絵の新鮮さはどんどん失われていく。

ちょっとくらいの失敗(コントロール出来なかった部分)も
絵全体の中で「味」になってくれればしめたものだ。


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透明水彩という画材にはじめて触れてから20数年たった今でも
乾いてみなければ最終的な色や濃度の判断が出来なかったりして、
なかなかムツカシイ画材なのだけれど、
そのコントロールしきれない部分が
ときどき思っても見ない効果を出してくれることもあって、
そんなところもこの画材に惹かれる(飽きない)理由かもしれない。


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Commented by abe-mayu at 2012-08-09 16:28
コントロールできないから同じ水彩を使っても、人それぞれ違った絵になりますね。そこが面白いなって私も思います。
それに手入れが簡単で道具が少なくていいところも好き。
Commented by team-osubachi2 at 2012-08-09 23:53
abeさん
本当に同じメーカーの同じ透明水彩なのに、滲み方ひとつとっても人それぞれ違いますよねえ〜。

>手入れが簡単で道具が少なくていいところも好き。
同感です〜 。^_^ ) /
Commented by 香子 at 2012-08-10 01:39 x
短大に入って初めて透明水彩を知りました。
(インクも耐水と水性で用途が違うのも)
田舎には無かったんです(知らなかっただけ?)。
高校時代、美術部にも入ってなかったのもあり
材料を使いこなせないまま卒業しちゃって後悔しきりです (^-^;;
Commented by りら at 2012-08-10 03:43 x
水彩絵の具・・・最後に使ってからもはや40年近くたっているんじゃなかろうか・・・と気がつきました。
うひゃー!

アップされている絵、モノクロなのに色が見えるようですねぇ。
最後の一枚(もしかしてこれは・・・)、「祇園囃子」の一場面のように思いました。
Commented by team-osubachi2 at 2012-08-10 13:33
香子さん
私もド田舎にいましたし、美術部にいてもデッサンと油彩ばかりに血道をあげてましたから、インクや透明水彩は専門学校に入ってからでした。
いかがですか?もしもまだヤル気があるなら、子育ても終わった今からでも十分楽しめますよ~ ♪( ´θ`)ノ
Commented by team-osubachi2 at 2012-08-10 13:55
りらさん
あ、溝口監督の「祇園囃子」ですよねえ~!
木暮実千代さんと若尾文子さんの、ね?まだプリンプリンした若尾文子さんが可愛くってね~。お茶屋の女将の浪花千栄子はんがまたよろしぃて、ねぇ、はぁ (笑)。
あの映画、宮川一夫さんのカメラがまた遺憾なく発揮されてて、何気ないようでいて映像もとても素晴らしいですよね。
むか~しBSで放送してたのをビデオに撮って、それこそ百万遍、腐るほど見ましたよお~!私が言うのも変かもですが、なんか懐かしいです。
この絵は「糸の目」というエッセイを読んで描いてみました。ご存知のように、Sさんのもとへと嫁に貰われていきましたが、気に入って身請け(?)してくださるとは有難いことです。ふふ。
by team-osubachi2 | 2012-08-09 07:37 | 人を描く | Comments(6)