シリアのマヘル

'04年の3月にちょこっとだけ中東をまわってきた。
ヨルダンからシリアに入ってレバノンに抜ける中東3カ国の旅だった。

シリアでのガイドはマヘルといった。
当時まだかろうじて30代だった私より、ひとつふたつ若い人だったと思うが、
見た目には「柔和なおじさん」のようだったマヘル。
少人数でも、ご年配の方々が多い一行の中で最年少だった私には
同年代の親しみからか、いろいろおしゃべりしてくれたガイドさんだった。

日本語をまだまだ習いはじめたばかりだったようだが、
「日本語(のガイド)が出来ると稼ぎがよくなるので頑張りたいです」
と言っていた。
シリアの地図を持っていっていたので、彼に差しあげた。
ダマスカスに到着したその日、ホテルまでの仕事を終えて
市内にある自宅へいったん帰宅する前に
「ありがとうございます」とふたたびお礼を言いにきた。

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ダマスカスの大きなバザール(市場)で自由行動をとったとき、
添乗員女子とマヘルと3人で、バザールの中にあるチャイハネでお茶をした。
「ここは私がおごりますから」といって、
ピスタチオのアイスクリームをゴチしてくれた。
広い店内には、甘いものがだ〜い好きなおじさんたちのグループや
家族連れでガヤガヤわいわい賑わう中、
ほぼ同年代の私たち3人は、いろいろなコトを話した。

マヘルには数年前に婚約者がいたそうだ。
でも、その婚約者は、旅から旅で家を留守にして
自分の側にいてくれないガイドという仕事に不安を抱いたことから
マヘルとの婚約を破談にしたのだそうだ。
以来、マヘルは独身のままだった。

シリアでのわずか数日の観光も終わり、
ダマスカス市内でバスを降りてもよかったのに、レバノン国境まで
私たち一行を(自費で)見送りに来てくれた優しいマヘル。
今度はきっといい女性に出会えるといいね!と思った。
ダマスカス市内で母親と暮らしていると言っていたけれど、
こんな酷い嵐が吹きすさぶ中で、いま、どうしているのだろうか・・・。

また、シリア沙漠の奥地にある世界遺産『パルミラ』を訪ねたとき、
遺跡の古い塔の上で、家族でピクニックに来ていた
若いシリアの女子と目が合ったとおもったら、突然
「シリアはどう?」と真顔で質問されたことがあった。
一瞬、どんな意味でそんな質問をしてきたのだろう?と思ったけれど、
シリアはすでにアメリカなどから激しく目の敵にされていた。
すぐに「いいよ!人も自然もすっごくいいところだよ!私は好き!」と答えたら、
その女子は急に表情が和らいで「ありがとう」と言った。
(そうだ、この子の母親がまた“おっかさん”ってカンジで
とってもいいお顔をしてたんだ〜♬)

そんなちいさな思い出が、中東の旅にはいくつもある。
どうか一日も早くこの嵐がおさまって、彼の地の人たちに、
本当の平和と穏やかな日々が訪れますように・・・。
そう祈らずにはいられない。
Commented by すいれん at 2012-05-12 10:57 x
tomokoさま
旅の思い出ってお金では買えない宝物ですよね。
他愛ない旅の一コマが一生の思い出として心にきざまれることで人生がさらに素晴らしいものになるような気がします。
もう二度と会う事がない人達との出合いも・・・。
Commented by team-osubachi2 at 2012-05-12 21:25
すいれんさん
よしもとばななさんもよく言っていることですが、人が死ぬときにあの世へ持っていけるのは思い出だけだ・・・と。本当にそう思いますデス。
旅でも日常でも。い〜っぱい経験と思い出を作りたいものですね。
Commented by sachiko at 2012-05-14 22:12 x
Tomokoさんは中東3か国周られたのですね~

今年の旅の予定「ヨルダン・・・ ペトラ遺跡 インディージョーンズの世界」だったのですが
決めるときに情勢不安やら義姉の急逝やらいろいろありまして
夫婦ともども気力低下・・・
ノンビリの旅に変更したのです

「ヨルダン」を囲む国々に安定した平和が訪れますように・・・


Commented by team-osubachi2 at 2012-05-14 23:02
sachikoさ〜ん
そうでしたか〜、ヨルダンに行く予定だったのですか〜!
私もまだまだまわりたいところがたくさんあるのですが、これまで廻ったイスラム諸国や地域はその後ふたたびそれぞれ渡航自粛や避難勧告の対象になったりして、あの辺りを旅をするにはタイミングってありますよね。

ヨルダンもいいところでしたよ〜!死海での海水浴も忘れられません。水からあがったあと、体中ツルツルで、温泉に入ったみたいにぽかぽかあったかくなりました〜♬
ペトラ遺跡の素晴らしさはいわずもがなデス。エルカズネのあの劇的な登場の仕方、いま思い出しても鳥肌ものです。近くにいいホテルもありますしね。なかなか快適なところでしたよ。
そして、ヨルダンのラニア王妃の存在も素晴らしくて、パレスチナの血として夜空に輝く星のように感じられます。

>ヨルダン」を囲む国々に安定した平和が訪れますように・・・
本当にそうですね。
ベトナムでのノンビリ旅も満喫なさったと思いますが、いつかきっとヨルダンをお訪ねできますよう、他所ながらお祈りしていますね ♬
by team-osubachi2 | 2012-05-12 00:32 | 旅をする | Comments(4)