ぎをん白梅

                           
かにかくに 祇園はこひし 寝るときも
枕の下を 水のながるる                   
     
                     吉井 勇

f0229926_11192614.jpg

京都の祇園界わいでも、この白川沿いを歩いた人なら
かならず見るであろう有名な歌碑が通りの中ほどにある。
料理旅館の白梅さんは、その歌碑よりもちょいと西がわの、
白川にかかった小橋をわたったところにある祇園のお宿だ。

2月17日のこの日、関西学院大学の見学を終えて、
相方と共に阪急電車で京都入りしたあと、
このお宿にいったん荷物を置いて、
“大人の修学旅行” よろしく清水寺あたりを散策し、
夕暮れどき、あらためて明かりの灯った白梅さんに入った。

f0229926_11411486.jpg

若いころからたびたび安い切符と体力を駆使して京都に通い、
ある時期からは、この白梅さんにも
何度となく泊めていただいているのだが、今回通されたお部屋は二階の
これも前から知っている部屋のハズ・・・なんだけども、
仲居さんに部屋の奥を案内されて、あれえ?と思った。
「奥に部屋?・・・ここ、お風呂とトイレ、ついてましたっけ?」

前回白梅さんを訪れたのは、'07年に亡くなられた
河合隼雄さんのお別れの会以来なので
数えてみればあれからもう4年以上たっていて、
きけばこの数年の間にまた改修して、今の部屋割りになったのだという。
仲居さんは、床暖房も入ったことを教えてくれた。
へえ〜!ほんわか温もる畳は初めての経験だ。

f0229926_18443068.jpg

外歩きですっかりこわばった顔とカラダをほぐそうと
夕ご飯の前にお風呂に入ることにした。
お部屋にもお風呂がついてはいるのだが、
すでにお湯の支度が整っている階下の広めのお風呂に入ろうと、
浴衣に着替えて階下へ下りると、女将の姿がお帳場の横に現れた。
思わず「朋ちゃ〜んっ!」と声をかけ、
久しぶりの再会をハグして喜びあった。

これもつくづく不思議なご縁なのだけれど、
白梅さんの女将は自分と同年の友だちで、
かれこれもう20数年来のつきあいになる。
初めて出会ったころ、私はまだペーペーのグラフィックデザイナーで、
かたや彼女も某航空会社に入社したて、
近く客室乗務員としてデビューすべく、日々特訓中の身だった。
(あのころはスッチーとも呼ばれた花形職でしたねえ〜)

そんな女将が10数年前、結婚・出産を期に
彼女の実家である白梅さんに戻り、若女将として働きだしてから
ときどき泊めてもらうようになったのだが、
初めてこの場所を訪れたときにはビックリしたものだった。
ひょえ〜!ここが実家あ〜?!

f0229926_18532813.jpg

生まれつき、華のある人である。
(私の写真ではぜんぜん伝えられないんだけど・・・)
国際線の客室乗務員として世界中を飛び回っていたころは
大輪のバラを背負って歩いているようなオーラがあった。
それが今は少し変化して、白梅のようにしっとりはんなり、
生まれも育ちも京のおなごはんである。

そのしっとりはんなりの女将と仲居さんのもてなしで、
お風呂あがりに美味しい京料理をいただいた。
美味しいお酒と、節分と立春、新しい年が盛り込まれた
目にも麗しいお料理の数々に
もうたちまちほわわ〜ん♬ といいキモチになってしまった。

f0229926_812322.jpg

お料理の途中で、「ほんの気持ちばかりどすけど、お祝いに・・・」
といって、お赤飯が出てきた。

実は今回の京都訪問は、長いこと独り身だった私が
ようやく人生のパートナーを得て、その相方を朋ちゃんに紹介すべく、
入籍から2年たってようやっと実現した京都旅である。
私の阿呆なムスメ時代もよく知っている朋ちゃん。
また、私のそれまでの人生でいちばんきつかったあるときも、
側でささえてくれた朋ちゃんなのである。

ふと気がつけば、この日の床の間の飾り炭には
年も、私も、「新しい春」を迎えて紅白水引の結び切り・・・。
相方ともども女将の心入れに深く感謝した。

f0229926_13583480.jpg

新しい床暖房システムのおかげできつい底冷えもなんのその、
こころゆくまで美味しいものを味わい、ふにゃふにゃになったところで
奥のお部屋に敷いてもらった鴇色ちりめんに梅模様のお布団にもぐりこんだ。
そうして朝までぐっすりと眠り呆けて、
起きたらあたりは一面の雪だった・・・。
ああ〜、なんて素晴らしい冬の京都!!

雪見障子越しに、祇園白川の眺めを楽しみながら、
昔から白梅さんで働き続けている
大ベテランのおばちゃん・まぁまさんが焼いてくれる
だし巻き玉子をほおばった。う〜ん、極楽だあ〜♪
久しぶりに訪れて、顔なじみだったおばちゃんたちが
今も元気で働いているのも嬉しかったし、
朋ちゃんと出会うキッカケになった懐かしい方々の消息も聞けて、
ああ、よかったな〜と思った。

f0229926_14103169.jpg

祇園という花街にあって、料理旅館の女将などという仕事の大変さは
私のような素人には想像の外だけれど、
朋ちゃんの若かりし頃のことを思い出すと、家に戻るまでには
彼女なりに思うところもいろいろあったに違いない。
けれども、今現在の女将のもてなし方や、堂に入った挨拶の仕方や、
女主人として切り盛りしている様子をうかがっているうちに
「・・・ああ、お客さまなんだ」と思い至った。

朋ちゃんが女将の器を持って生まれたことは当然としても、
それを磨いてくださっているのは、やはりお客さま方なのだろう。
なにも良いお客さまばかりではない。
中には困ったちゃんなお客さまもいて、それがまた、
女将の器を磨くチカラになっているんだろうなあ〜と思った。

そして、彼女の口ぶりから察するに、
奮闘する彼女をそっと後ろ側で支えているのが、
ご主人と子供たちの存在なのだろうなあ〜、と
今ごろになってそんなコトも感じたりした。

古を今に活かしつつ、朋ちゃんのこれまでの経験や感性をフル回転させて、
お祖母さんや、大女将のお母さんの時代よりも
さらに快適に、日々進化し続けている白梅さん。
ここはいついかなるときも、のれんを一歩くぐった先には
心からのおもてなしという一輪の白梅の花が咲いているのである。

f0229926_14373897.jpg

さあ、私もまたがんばろう!
朋ちゃんに負けないように、小さくてもいいから、
いつかきっと、イラストレーターとしての「自分の花」を咲かせよう!
そしてまたコツコツとお小遣いを貯めて、京都へ遊びに行こう!


料理旅館 白梅
http://www.shiraume-kyoto.jp/
Commented by ake at 2012-02-21 09:40 x
白梅さん〜うれしい更新、一番乗り!
白梅がもう咲いている!見にかなくちゃ!です。

いい記事でした。
若き日のおふたりを想像しながら拝読。

わたしも白梅さんでの会食が東のお方との着物縁のはじまりでした。
ここを紹介してくれたのは、偶然にも同じお仕事!@イラストレーターの萠さんでした。

わたしもお泊まりを体験したいです。
今回はわたしの金沢旅行と重なりお会い出来ませんでしたが、ぜひ次回はご一緒させてください。
お互いに雪に恵まれた週末でしたわね。
Commented by team-osubachi2 at 2012-02-21 12:21
akeさん
はい、小橋の左側の白梅はもうほころびはじめていましたですよ〜♪
むかしまだお祖母さんがいらしたころに初めて寄せてもらったことがありましたが、当時はまだお茶屋さんの雰囲気も色濃く残っている建物でした。それが、だんだんに手を入れるごとに古い木材も息を吹き返していったのがよくわかります。手入れや維持はなかなか大変だろうなあ〜とは思うんですが、本当にいいお宿になったなあ〜と今回あらためて感じ入りました。一度機会がありましたら、ご主人様とぜひお泊りになってみてくださいませ〜。ちりめん側のかけ布団、よろしおすえ〜♬(笑)

実は萌さんのお噂もずっと以前からお聞きしていました。大女将とね、仲がよろしくて(笑)。萌さんも実は若いころ大ファンでした。百貨店での展覧会を観に行ったり、お着物にハマりだしたころのご本もよく覚えていまして。なので、白梅さんとこでお名前をうかがって、へえ〜と思っておりました。akeさんのところからもお名前をうかがい、面白いものだなあと思っております。

すずめの涙をおちょこですくって(笑)、また旅貯金がんばります!!いつかきっと白梅さんでお会いいたしましょう♬
Commented by りら at 2012-02-21 14:18 x
なぁんとまぁ・・・・素敵な女将さんに素敵な景色に素敵なお話・・・
こちらに伺うたびに、Tomokoさんの人としての厚みを感じさせられます。
ブログという日常の断片ですけれど、「人」は出るのですよねぇ。(私のようながさつ者は精進せねば!!)

京都は毎回家族旅行ばかりで、いつになったら良いお宿に泊まるような旅ができるんだろう?なんです。
いつか私も連れ合いと白梅さんにお世話になれるような日が来ると良いなぁ♪
Commented by team-osubachi2 at 2012-02-21 18:05
りらさん
いや〜、この人間あいかわらず中身はぺらぺらのオラオラです(苦笑)。いったいいつになったらもっとドシッとなるんざましょ?40代も後半でこれぢゃあ、たぶん一生これかもなあ〜ってこのごろ思います。

いずれ「お二人さま」でしっぽりと〜、もとい、しっとりと〜(笑)・・・という時期がめぐってくるのでは?もしもそんな機会がめぐってきたときには、ぜひ白梅さんへ。きっといい思い出になると思います。念じましょう!めぐってこい〜めぐってこい〜!!(笑)
Commented by すいれん at 2012-02-21 22:17 x
tomokoさま
なんかドラマの様な素敵なお話ですね~。 女将さん、大変な職業です。うちも母が女将だったので、子供の頃からそばで見ていて大変さはよ~く分かります。 私には出来ません。 でもTさんは、そういう星をもってお生まれになったのでしょうねぇ。 頑張って頂きたいです。
Commented by team-osubachi2 at 2012-02-22 07:17
すいれんさん
いやあ、こんなのはただの友だち話で、すいれんさんところの方がよっぽどドラマになりそうですよ〜!
そうですよね、おうちでのご苦労を見ていると、継ぐか継がないか、ふたつにひとつ。向いているのでさえ、継ぐには決意の要ることなんだなあと思います。
私も、なると決めた道を歩いているんだから、しっかりやんなくっちゃ!です〜。
Commented by ペタコ at 2012-02-22 13:41 x
素敵な旅ですねえ。雪景色と共にずっと心に残るような。
若い時を知っているお友達っていいですよね~。
それにしても京都のしつらえはやっぱり素敵♪行きたいなあ。
Commented by team-osubachi2 at 2012-02-22 21:06
ペタコさん
この翌日のビジネスホテルの朝食(関学の学食の方がぜ〜んぜん立派でして ^_^; )も含めて、とっても楽しい旅でした〜(笑)。
ほんとになんで京都ってああなんでしょうかね?積もる雪、はらはらと落ちる雪まで東(あずま)とは違うんですねえ。またいつか行けるといいな〜って思います。
Commented by 素敵なご縁ですね~♪ at 2012-02-23 10:46 x
Tomokoさ~~ん 雪の京都素敵すぎます。。。
拝見させていただいて ホカロン持って冬もいいな~(●^o^●)
(夏の猛暑の洗礼は受けました・・・)

しかも「白梅」さん お昼食頂き 小橋の前でデジデジ
西と東のお着物友 初顔合わせでした
Tomokoさんと若女将 大切な大切なご縁・・・ 絆ですね。

個展の折にはお邪魔させていただき おめもじ叶いますようにと
思っています
Commented by team-osubachi2 at 2012-02-23 12:24
sachikoさ〜ん
まあ!そうでしたか!白梅さんでみなさんお会いになられたのですか〜。それもこれもご縁ですかねえ。面白いなあ〜。
夏の京都の暑さも、たしかに洗礼ですね(笑)。私自身は雪の京都もこれが初めてではないんですが、いや〜今回はこたえました。貼るホッカイロに水筒持参で正解でした。白梅さんでいれてもらった熱いお茶、哲学の道沿いでも熱々のままで助かりました。でも、お天気こそは買えないものだから、お天道様に感謝しないとですね(笑)。
白梅さん、よろしかったら、今度はぜひご主人様とお泊まりなさってくださいませ♬

今年はお会いできると良いですね♬ 個展、がんばります〜〜!
by team-osubachi2 | 2012-02-21 08:12 | 旅をする | Comments(10)