これもご縁の・・・

以前仕事でたいそうお世話になったN氏から
先週末、平べったい箱が届いた。
中からは、日本橋や銀座にお店がある
「つゞれ屋」さんの畳紙に包まれた帯があらわれた。

シックな色のふくれ織りの地に、
大陸から渡来した華紋が織り込まれた洒落袋帯。
お店のメモとして、平成六年の文字が見てとれたけれど、
まだ一度も締められておらず、紙テープの封がついたままだった。

f0229926_23564818.jpg

帯の元の持ち主は、N氏の奥さま。
昨年の暮れ、友だちを通じて入ってきた突然の訃報に驚き、
告別式に手を合わせに行った。・・・私と同い年の方だった。

それより半年前のこと、N氏の個展のオープニングでお見かけしたさい、
奥さまは会場にきたお客さんたちへ
手作りのお惣菜を振る舞っておられたのだが
笑顔がとてもチャーミングな人だった。

上海出張のときに、ホテルの部屋で
スタッフのみんなと飲んだときなどに聞いた
N氏のちょいとぼやきのような奥さまのお話は
「なあ〜んだ、のろけぢゃん!」と
その時の奥さまの様子を見て思ったことだった。

f0229926_23235856.jpg

「妻が母親からもらったであろう帯がありまして」と
今月に入ってN氏から連絡があり、かたじけなくお受けした。

人生に“たられば” はないと思ってはいても、
もしもご存命でいらしたなら、ひょんなことから
これを締める機会だってあったかもしれないのになあ〜、と
想像せずにはいられなかった。
切ないような、ほろ苦いような・・・。
でも、装うときには感謝とよろこびを纏おう。
だって、その方が故人の方もきっと嬉しいだろうから。

これもご縁のものだ。
先々長く、ありがたく締めさせていただこう。
ご冥福を心からお祈りしています。
Commented by のりもも at 2012-02-06 08:33 x
初めてコメントさせていただきます。

温かいイラストにひかれてしまいました。
これからも時々お邪魔させてください
Commented by りら at 2012-02-06 08:56 x
帯も亡くなられた奥様も、Tomokoさんに締めてもらうことを一番喜ぶんじゃないでしょうか?
活かしてこその物の命・・・そんな風に感じました。

それにしても、素敵な風合い&色柄の帯ですねぇ。
Commented by ソラカラ at 2012-02-06 09:55 x
素敵な帯ですね。帯揚げや帯締めの色もぴったり。
着物や帯が、大事にされ、人から人へと生かされる。
物も人の思いも大切にしたいですね。
うまい文章が出てきませんが、共感しています。
そして、若くして亡くなられた方に、心からご冥福をお祈りすることと合掌。
Commented by すいれん at 2012-02-06 10:38 x
tomokoさま
不思議なご縁でtomokoさんのところに届いた帯ですね。
きっと奥様もtomokoさんに締めて欲しかったのでは・・・。
焦げ茶に青の色合いは、大好きです、本当に素敵な帯。
Commented by team-osubachi2 at 2012-02-06 18:15
のりももさん
はじめまして。コメントありがとうございます。
イラスト、まだまだ反省点も多いんですが、これからも励みます〜!
またちょいちょい覗きにいらしてください。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
Commented by team-osubachi2 at 2012-02-06 18:19
りらさん
着物って本当に不思議ですね。洋服だったらこんなことはまずないでしょうに。
物の寿命を活かすって大事なことかもですね。いいな、そういうのって思いました。
Commented by team-osubachi2 at 2012-02-06 18:22
ソラカラさん
ずいぶんとシックな色合いの帯なんですが、光線によってとても存在感を示すようです。帯揚げと帯締めもまだどんなのがあうのか、帯の良さを活かせるよう組み合わせ、考えてみたいと思います。
生命ではない物であっても人から人へ。人間だけが持つ営みですねえ。
Commented by team-osubachi2 at 2012-02-06 18:29
すいれんさん
思いがけないところで、ご縁ってつながったりするものなんだなあ〜とあらためて思いました。ホントにご縁って不思議で面白いものですねえ。
地味な色味ですが、控えめながらキラリと金糸やピーコックブルー(グリーン?)の糸が、近くに寄った人にだけキラキラしてくれます。焦茶のざざんざとも好相性な気がします〜。
Commented by 神奈川絵美 at 2012-02-06 23:35 x
こんにちは、そうでしたか・・・Tomokoさんと同じ年でとは、若過ぎますね。胸が痛みます。
その方の分まで、大事に長く締めたいですね。明るさと控えめな感じが同居する、品の好い帯ですね。
Commented by sogno at 2012-02-07 06:45 x
こちらの記事を読んだとき、とても驚きました。
実は私も記事にしようかと考えていたところだったので・・・

6~7年前だったでしょうか。
私の着物デビューの日、携帯に同僚から電話が入りました。
療養休暇を取っていた別の同僚の訃報を知らせる内容。
私は体が凍りつきそうでした。悲しい、というより悔しい!カンジ。
年齢は40代後半だったと思います。Nさん、イニシャルも同じ。
療養中の彼女とバッタリ会ったときの会話が耳に残っています。
「sognoちゃん、やりたいことは全部やったほうがいいわよ!」

人から人へ、帯ではないけど、しっかり引き継いていきたいモノを
いただきました。明日があるなんて、誰が保証できるでしょう。
私も、隣の人だって・・・

話しが飛躍しちゃってゴメンナサイネ!
Commented by team-osubachi2 at 2012-02-07 07:20
絵美さん
明日は我が身、と申しますが、明日突然自分の人生に幕が下りるとなったら、はて、自分は?と考えるのもこんなときでしょうか。とはいえ、考えてみたことも目の前の雑事に追い立てられてすぐに忘れてしまうんですけども・・・。
心の中のボードにメモみたいにピンでとめておくのがせいぜいです。震災のことも同様、ボードに貼っておく限り、忘れきっているワケではなく、ときどきそのメモを見ては思い出す。そんな日々です。
Commented by team-osubachi2 at 2012-02-07 07:38
sognoさん
いいえ〜、おキモチとてもわかる気がします。その同僚の方も人生なかば、まだまだ時間が欲しかったのではないでしょうかねえ。
私も近く遠く、何人ものエンディングに接してきましたが、でも、救急病棟や脳外科病棟というヘビーなところばかりで働いていた看護師の従妹があるとき、つくづく人は・・・といったカンジで言いました。「人は病では死なない。寿命で逝く」と。そうか、なるほどなあ〜、と思いました。
つい先日も50代に入ったばかりで逝った知人女性がいました。病を得ていたとは知らなかったので、これも突然にしか思えない訃報でした。いつも豪快に笑う人でした。お別れの日、遠くから冥福を祈りましたが、彼女のその笑顔が自分の中にあるだけでいいんだな、と思いました。心の中で笑顔の彼女に語りかけています。
先人たちは我が身でもってさまざまなコトを、まだ役目を終えていない私たちに教えてくれているんだな・・・と思っています。
by team-osubachi2 | 2012-02-06 07:48 | 着物のこと | Comments(12)