真っ黄色の帯

いつのまにかもう十月だ。
つい先日も蒸し暑い日がお名残りのようにあったけれど、
(昨年とは異なり)今年の秋は、今のところ順調にいくつもりらしい。

待ち遠しかった素袷の季節を前に、先日着物の箪笥を少し整理した。
と、中から一本、紬の無地の帯をだして眺めるうちに
もういいかな〜、と手放すことにしたものがある。
菜の花のような真っ黄色の帯は、これも15〜6年ほど前に
新宿若松町にある民芸品店「備後屋」さんで買い求めた一本だ。

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もう何年も足を運んでいないから最近のことはわからないけれど、
当時備後屋さんで扱っていた郡上紬や久米島紬といった産地ものや、
柚木沙弥郎さんの帯など、他の呉服店よりも
う〜んと良心的なお値段で棚に飾られていて、
(また沖縄の焼き物や、和紙小物や雑貨なんかもいろいろあって)
いつも足を運ぶたびに興奮を抑えるのに苦労した。

そんな中に、先染めの糸で織られた紬の無地帯(九寸)が
いろんな色のバリエーションを取り揃えておいてあったのだが、
後にその制作工房が生産をやめてしまい、
徐々にガラスケースから一本、また一本と消えてゆく前に黄色いのを買った。
実をいえば、それは20代のころに雑誌で見た、
作家・立原正秋氏の娘さんでエッセイストの立原 幹さんが、
凝った大島紬に、真っ黄色の塩瀬の無地帯をあわせていらしたのが
とても印象的で、いつか自分もこんなのが欲しい〜!と
それに憧れて買ってしまったものだった。

もっとも、私のこの真っ黄色の帯も、長い間
藍染め小紋や藍木綿、朱色の紬などにあわせて大活躍してくれたが
もう十二分に楽しんだので、そろそろ若手にバトンタッチすることにした。
引き受けてくれたのは、黄色系の着物や小物が大好き!という30代女子。
私とはまた異なるコーディネイトで、きっと彼女の元気溌剌とした雰囲気を
よりいっそう引き立ててくれるに違いない。

でもって私は私で、これまで自分にはまだ早かったような着物や帯が
少しは似合うようになったかなあ〜?と、
コーディネートの変わり具合を楽しみたいと思っている。
そう、面白いことに、着物に関してだけは
歳をとるのがちょっとばかり楽しみだったりするのである。

備後屋
http://www.quasar.nu/bingoya/
Commented by すいれん at 2011-10-02 10:45 x
tomokoさま
分かります、その気持ち。 私もどんどん渋好みになっていくような気がします。 「博士が愛した数式」という映画で 浅丘ルリコさんが、地味な無地の紬に柄の半衿をして、シックな帯をしてらしたのを見て「んー、これこれ」っと 60代になった自分を想像しました。
歳をとればとる程、おしゃれのし甲斐がありそうなのが、きものですよね。
Commented by 神奈川絵美 at 2011-10-02 23:37 x
こんにちは! わわ、もしかしてこの帯、以前私、実物を拝見しましたよね? 目に鮮やか、でも一枚ヴェールがかかったようなクリーミィな優しさのある帯。。。新しいご主人さまのところでもきっと活躍することでしょうね。
Commented by team-osubachi2 at 2011-10-02 23:54
すいれんさん
>「博士が愛した数式」という映画で 浅丘ルリコさんが、地味な無地の紬に柄の半衿をして、
私も見ました〜。シックでカッコイイ装いでしたよね。私も若いときから地味や渋にあこがれまして、いっとき反省しきり。でも、当時買っておいたものがおかげさまで少しずつこの先着られそうです。かわりに若かったものとはだんだんおさらば〜ということに。着物は息が長いとはいっても、年齢相応のものってありますね〜。
Commented by team-osubachi2 at 2011-10-02 23:57
絵美さん
あ、そうですね、久米島にあわせて出かけたときだったかもです。そうそう、あのときもうすでにそう遠くないうちにおさらばしそう・・・って思ってました〜実は。(笑)
まだまだ着て、締めてもらえる着物や帯、布が元気なうちに自分とは別の人のもとでも活躍してくれたら、それも着物の悦びのひとつですよね。
Commented by sachiko at 2011-10-03 00:25 x
Tomokoさん こんばんは~♪

想いを継いでくださる方に巡り合える・・・
使っていただく幸せ また活躍しているお着物&帯
拝見することができる嬉しさありますよね。
そんなこと思いながらのお着物虫干しも 楽しいものです。

カラッと晴れた秋空に ガーデニング&お着物・・・
猛暑で家に籠っていた分 秋は活動的になりそうです

Commented by team-osubachi2 at 2011-10-03 08:53
sachikoさ〜ん
虫干しにとってもい〜い季節になりましたですねえ〜♪ (苦手な方もいらっしゃいますが)金木犀の香りがふくいくとした今時分から虫干しぃ〜♪ めったに着ない礼装の畳紙をあけ、広げたり畳んだり。やわらかい絹に触れるだけで、なんだか心地よいものを感じるのはなんででしょうかね〜?
着物を着るおかげで、何人もの先達の方たちから譲り受け、自分もまた若い人や似合う人に譲っていく(たいしたものはありませんが ^_^;)・・・。所縁の人がまた袖を通してくれる悦びってぬくぬくした優しみがありますねえ〜♫
by team-osubachi2 | 2011-10-02 00:30 | 着物のこと | Comments(6)