夏の紬いろいろ

普段から織りの着物が好きなこともあり、
夏の着物も、染めよりも織りが多い。
もっとも、私の箪笥にある薄物の紬は三枚だけだが、
そのいずれも縁あって人さまからいただいたものばかりだ。
箪笥から出して眺めていると、これらを譲り受けたときの
ありがたさと嬉しさを思い出して、キモチがじ〜んとしてくる。

単に夏の紬というには、織り手の創作意欲が感じられる藍色の一枚は、
着物友だちのAさんからいただいたものだが、太い糸とごく細い糸で
縦横に織られた中に、紗になった四角い窓が透けて見えている。
また、かち色や薄藍の糸が、不思議なリズムでもって格子と十字を刻んでいる。
まだしつけもついたままなのだが、こういう凝った着物は、
素朴な力強さと茶目っ気がある知念貞男さんの紅型帯と相性がよさそうだ。
帯をのっけてみると、ほら、ネ!やっぱり!と、とたんにワクワクしてきて、
はやく着て出かけたくてウズウズしてくるんである ♪

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白っぽい生成り色の紗紬は、やはり着物友だちのBさんからいただいた一枚。
おばさんからいただいたものだそうだが、
残念ながら「小は大を兼ねない」んである。
私よりも上背のあるBさんゆえ、私に福を譲ってくださった。
ごく薄い生成り地に、グレーでおおらかな亀甲模様が入っている。
こういう着物には、無地の科布の帯をあわせて、帯留めで遊ぶのが好きだ。
木彫や陶器の帯留めは、紬や自然布にはよく映えるように思う。

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友だちのCちゃんのおうちからやってきたごく薄い絹縮みは、
今どきの夏ものにはあまり見られないような赤紫蘇の地色に、
薄藍と生成り色のドットが横絣で入っている。
たしか、むかしCちゃんのおばあちゃんが
Cちゃんのママに、と買ったものだと聞いたように思うが、
Cちゃんの父方と母方のおばあちゃん方は、
着物への造詣が人一倍深くて有名なくらいだから、そういうこともあってか
そのお眼鏡にかなうだけの職人仕事を感じる一枚だ。
袖を通すと、フワフワと軽くて、
なんだか手織りのジョーゼットを着ているようなカンジがする。
この着物は、ミンサー帯や麻の八寸帯などでカジュアルに着て
落語を聴きに出かけたりしている。

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日本の夏は、もはや亜熱帯の気候になってしまったかのようだ。
何度となく夏の衣に袖を通したいと思いながら、
その日その日のお天気によって着るものに悩むことが多い。
また、ひとたび着ようと思えば、洋服の軽さや涼しさに比べて
それなりに根性なり気合いが要る衣服である。
(でも、だからこそ着たときの嬉しさはひとしおだったりするのだけど)

あまりにおかしい組みあわせでなければ、こういう気候にあわせて
単衣や薄物の期間はもっと長くなっていい。
すでに着物のしきたりも、20年前に比べてフレキシブルになってきている。
もっと出番を増やすためにも、そうなっていい時代だろうと思う。
Commented by 神奈川絵美 at 2011-08-06 22:26 x
こんにちは! 夏紬、肌につかずはなれずで心地よいですよねー。縦糸と緯糸の太さが違うなんて、なおさら!知念さんの帯、ホントによく合いそうですね。いつか実物を拝見したいです。
帯留めも可愛いわー。夏のオシャレ、楽しんでくださいね。
Commented by sogno-3080 at 2011-08-07 08:34
こんにちわ。
Tomokoさんの着物の話しはいつも楽しみです。
藍色のお着物、素敵ですね。つい昔訪れた沖縄の海を
思い出してしまいました。知念さんの帯がまたよく
合いますよ!
いただいた着物に纏わるストーリーも一緒に纏う
タノシミ。いいものですよ~
Commented by team-osubachi2 at 2011-08-07 12:48
絵美さん
夏の着物を着るには、気温よりも湿度がネックじゃないでしょうか。砂漠地帯は気温30度〜34度でなら、冷え性の私にはむしろ快適でした。
昔の人は帯下をあせもだらけにしながら着ていたそうですから、アッパッパーに変わっていったのも無理ないかなあ〜、と。せいぜいお出かけに着るから楽しいんですよね、きっと。そんな程度ですけど、夏着物の喜びはまたひとしおです。
Commented by team-osubachi2 at 2011-08-07 12:53
sognoさん
そうなんです、この藍色のお着物、見てるとなんだか深い海の色みたいだな〜って思って、紅型の帯をのっけてみたらピッタリでした。いつ着れるかなあ〜?ただでさえ汗っかきの私は、湿度が高すぎる日は、つい麻の方を優先しちゃうんですけどねえ(笑)。どれもまだまだ長く袖を通せそうなので、これからも楽しみです〜。
by team-osubachi2 | 2011-08-05 16:43 | 着物のこと | Comments(4)