向田邦子「嘘つき卵」

今年は向田邦子さんが亡くなられて30年になるそうだ。
・・・そうか、だからいろいろと特集が組まれているのか、と
今ごろ気がつく私は間が抜けている。

ま、それはともかく。
先日、NHKのアーカイブスで『阿修羅のごとく』を見た。
今回初めて全話を通しで見たのだが、うう〜ん、なんてお話だろうか。
もしもリアルタイムで放送を見たとしても、こんなお話、
当時、阿呆だら一直線だった中学生の私にはとうてい理解の外だったろう。


f0229926_21463447.jpg

「男どき女どき」から『嘘つき卵』を読んで
浮かんだものを絵にしてみる。・・・やはりムズカシイ。

左知子という若い人妻は、妊娠するという
女にとっては真綿のような一事に心が締められているようだ。
このお話を読んで、鶏を飼う家のために、
偽卵という瀬戸物の卵があることをはじめて知ったのだが、
物語の中で、その偽卵を思い出して、左知子は自分の卵を想う。
重く揺れる心が、何かヒンヤリと固いものにあたるような様は
出産適齢期の既婚女性(もしかしたら未婚であっても)の
時代に関係なく共通した心模様・・・かもしれない。

f0229926_1339473.jpg

お話の後半で、左知子は思いがけない行動をとる。
女の心は、深いもやに包まれているときには、
自分でも説明のつかない動きをしてしまうことがあるようだ。

そのもやが晴れるとき、女によっては本来あるべきところに、
または、自分の都合のいいところに帰着しさえすれば、
自分がとった思いがけない行動なんて、すべてチャラになるんである。
『阿修羅のごとく』に出てくる四姉妹にも共通している。
人それぞれに程度の差こそあれ、
女ってそういう生きもの・・・なのかもしれない。

*イラストレーションの無断使用及び複製・転載を禁じます
Commented by 惠漣 at 2011-07-24 10:22 x
もう30年だったんですね!そんなに経つなんて...。
『阿修羅のごとく』は母とリアルタイムで見た記憶があります。
しかも大好きでした。なんてガキなんでしょうね。
たしか母親が倒れて、持っていた卵が割れて黄身が流れ出すシーンで
その当時好きだったバンドの曲がかかってびっくりしました。
4人姉妹それぞれ凄い演技で、好きな女優さんばかりですし。
女ってほんと複雑です。自分でもいまだに良く分かりません。
理屈じゃ動けませんもんね。
NHKアーカイブス見たかったなぁ。

Commented by team-osubachi2 at 2011-07-24 22:06
恵漣さん
そうなんですって。時のたつのは早いですねえ。もしお元気であったなら80歳越えですよ。それもビックリなんですけど。もうあの年齢で永遠に止まってしまったんですねえ・・・。
『阿修羅のごとく』、こうやって見てみると、和田 勉さんの演出もスゴイなって思いましたですよ。私が感心するのは、四姉妹はいわずもがなですけど、お父さん役の佐分利 信さんと、お母さん役の大路三千緒さんの配役がもうなんとも絶妙!!って思いました。こんなお母さん役できる女優さん、いまだったら誰かしら?って思います。恵漣さんの言うシーンはほとんど最後の方ですよね。音楽はダウンタウンブギウギバンドの、かな?しかし宇崎竜堂さんが実に冴えなくていい味してましたです。あ、緒形拳さんも〜♫
Commented by SAKURA at 2011-08-13 10:57 x
こちらでは初めまして!ツイッターではいつもお世話になっております。
遅ればせながら「嘘つき卵」を読みました。こんな、オンナのという生き物の深いところをさらりと(でも見事に)突いた話だったんですね。私は20代後半に向田邦子さんにはまりまして、「男どき、女どき」もそのときに読んでいるはずなのですが、まったく記憶にありませんで、いたって新鮮に読みました(笑)。覚えていたとしても、当時の私がどれほど理解できていたか怪しいところです。
私も左知子はこんな感じの女性かと思います。偽卵、ニセ物の卵、瀬戸物の冷たい感触、「ギラン」というあまり耳触りのいい音ではない名前。今読んでもキレのある、見事な作家さんだと思います。
Commented by team-osubachi2 at 2011-08-13 15:10
SAKURAさん
こんにちは。コメントをありがとうございます〜!!
向田さんの作品はやっぱり大人の視点といいますか、登場人物が若いとしても、視点はいつだって大人の領域からのものですよね。普遍性がありますし。ホント、すごい方でいらしたんだな〜って思います。
いやあ、私も20代ではせいぜい久世さんのドラマが精一杯でして、この年齢になって読むことになってかえって良かった気がしています。
またおいおい描いていきますので(のろいペースでですが)、たまに覗きにいらしてくださいませ〜♫ どうぞ今後とも、よろしくお願いいたします〜!
by team-osubachi2 | 2011-07-23 15:58 | 人を描く | Comments(4)