牽引する若い人たち

去年の秋、五島美術館へ国宝源氏物語絵巻を観にいき、
いくつかの茶室がある広い庭園を歩いていたとき、
一人の女性に頼まれ、その人の着物姿の写真を撮ってあげた。
カメラにむかってポーズをとったその姿に思わず、
はて、どこかで見たような?・・・と、すぐに思い出した。
最近の和装ブログランキングで常にトップを走っている
「きものカンタービレ」というブログの朝香さんという女性だった。

私よりも若いこの女性は、着物のさまざまなことを
アカデミックに、精力的に勉強なさっておいでの様子。
お召しのお着物も、いわゆる「呉服」世界の王道をゆくような
古典的なお着物が多いように思われる。
残念ながら、そういうベタな呉服があまり似合わない私だが、
逆に、人がお召しになっているのを「絵づら」として見るのは面白く、
ときどきこの女性のブログを拝見したりするコトがあった。

その「きものカンタービレ」というブログが、
今度「美しいキモノ」で1ページものの新連載として始まったようだ。
新刊の見本が届いてページをめくる中にそれを発見したとき、ふと、
この女性は、今後の着物業界でのオーソリティになってゆくのかしら?
なれる・・・かもしれない、と思った。

牽引する若い人たち_f0229926_14314669.jpg

かたや、ゆうべ私の若い友だちで、我が着付けの弟子でもある
カメラマン女子が、はじめて人に着付けを教えたそうで、
その生徒さんの初の着姿を写メしてきてくれた。

カメラマン女子が私のもとを離れてから、まる3年はたっただろうか。
何かにつけ前のめりに好きなコトをエンジョイする彼女は、
着物を着て出歩いて、おしゃべりしまくる、ただもうそれだけで
まわりの「着物着たいかも」という着物ガールたちの
おおきな刺激になっているようだ。
そんなまわりの着物着たい女子たちの指南役になりつつ、
さらにあちこちで着物の魅力をふりまいている頼もしい弟子なんである。

私が着物を着始めたいっとう最初の頃の
着物研究家さんの一部の方々はすでに鬼籍に入られ、
(もちろん、いまだお美しくお元気にご活躍の先生方もおいでです)
その後まもなく台頭し、おおきなムーブメントを起こされた先生方も
いまだ現役バリバリながら、いつの間にか時が流れて
ちょっぴりずつ世代交替も進んでいるのだろう・・・と思う。

そういう私自身も、ふと気がつけばすでに中年まっただ中。
相変わらず着物世界のために、たいしたコトは何も出来ないけれど、
これからも自分自身のために着物を着て、
また職人応援団として、少しでも職人さんたちに仕事がいくよう
一人でも多く着物の着手が増えるといいな〜と願っている。

いろ〜んな好み、いろ〜んな媒体ややり方があっていい。
これからも、それぞれの世界で、いろ〜んな着物好きさん(とくに若い人たち)が
おおいに活躍して着物世界を牽引していって欲しいものだ。
Commented by すいれん at 2011-03-06 19:55 x
tomokoさま
そうですね、私なんかももう次の世代を育てていかなくてはならない歳かも・・・。でもこれと言って何も出来ないので、せいぜいきもの着てブログ書いて、あれこのおばさん、楽しそう!と、若い方に思って頂くのが精切りでしょうか。 まあ、なんでもそうなんでしょうが、本人が楽しんでいるのが、一番いいですよね。このきものカンタービレの方も、そうなんじゃないでしょうか。 どうぞtomokoさん、おばさんのきものライフにお付き合いくださいね。
Commented by 神奈川絵美 at 2011-03-06 21:40 x
こんにちは! お若い方がイキイキと着物ライフを楽しまれているのは、傍から見ても嬉しいものですよね。
一方で、特別視する訳では決してないのですが、歳を重ねてこそ深まるものも、着物にはあるような気もします。さまざまな年代で、さまざまな楽しみ方を共有できればいいなあと思いますが・・・まあもう少し、着物人口が増えないと、かな。
今、「山ガール」が流行っていますが、「着物ガール」も流行らないかなあ。
Commented by team-osubachi2 at 2011-03-06 21:46
すいれんさん
なによりも本人が楽しむこと、どんなことでもそうですよね〜。そしてその楽しげに着ている様子にまわりは刺激を受けるんだろうな〜って思います。
>おばさんのきものライフにお付き合いくださいね。
何をおっしゃいますやら(笑)。こちらこそ、今後ともよろしくお頼み申します〜!
Commented by team-osubachi2 at 2011-03-06 21:55
絵美さん
着物を着始めてすぐのころ、お洒落なご年配の着姿に感じたことは、ただ若いだけでは逆立ちしてもかなわない着こなしがある!・・・ということでした。背伸びするほどに憧れました〜、そういう年齢を重ねた上での着こなしに。慌てなくても年はとっていくのにね(笑)。
これまでも何度も着物のブームはありましたけど、どういうワケか一定時間が過ぎると、やっぱりお見かけする人数は減っていきますねえ。無理にとはいいませんけども、でも、長〜く着て愛して欲しいものですね、願望ですけど〜。
Commented by ke-nosuke at 2011-03-07 02:41
私もお見かけしましたよ、朝香さん。
過日、美しいキモノご招待で人形展に行った時、待ち時間に副編集長と「写真撮影会」を
していらっしゃいました。あでやかな春色の小紋が眩しいお嬢サンだなぁ、と眺めていましたが、後日着物ナンバーワンブロガーの彼女だと知りました。

私は母に着付けてもらっているうちに着付けを覚えましたが、
家を出てからは、「名和和子」サンの本や「市田ひろみ」サンのDVDが
バイブルだった時期がありました。今でも時々眺めて楽しんでますが…。

その後も色々な方の本やDVD等を参考に、それぞれのイイトコ取りをして現在に至る(笑)
体型が変わるごとに着付けの苦労も変わっていくので、幾つになっても勉強ですが…。

tomokoさんのようにお弟子サンはいませんが、身内の着物や袴や振袖の着付けをするうちに、着物にさほど興味の無い若い子でも、着付けてあげると友達の着崩れを直せて褒められた、と喜んでたりするのでせっせと着物好きのタネを蒔いている今日この頃です。
Commented by team-osubachi2 at 2011-03-07 13:40
ke-nosukeさん
朝香さん、着物文化にかかわる場所であれば、いたるところで遭遇するかもしれませんね。
お母さんからちゃんと着物のこと受け継がれていて何よりです。私んちは、買いはしても当の本人が着られないという母でした。
ホント、個々の領域では、自分が愉しく着て、家族や友だちに着せてあげられるだけで、それはとても豊かな着物世界じゃないでしょうかね。私の着付け教室も、しょせんは勝手気ままなゆる趣味でしかありませんし〜(笑)。
by team-osubachi2 | 2011-03-06 15:06 | 着物のこと | Comments(6)

イラストレーター岡田知子の、暮らしと、着物と、お絵描きの日々


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