2011年 02月 26日
売る人と買う人
おとといの大人の着物女子の集まりでは、
絵美さんは優しい春霞に、さまざまな色が交差している
紅花染めのいかにも春らしい紬、
朋百香さんはゆうなで染められた明るいグレーの久米島紬、
そして私は泥染めのドッシリ土色の久米島紬、と
その人それぞれの春の装いだった。
同じ久米島紬でも、朋百香さんのゆうな染めのものと
私の泥染めのものとでは雰囲気がまるで異なる。
当然のことながら、織り手さんも、糸もデザインも異なり、
織られた年代も違うのだから、考えてみればあたりまえのことなのだけど、
反物の状態ではなく、カラダに立体的にまとわれた布を見比べて
同じ産地のものでも、布自体の個性ってこんなにも違うんだなあ〜、と
あらためて感心してしまった。
私の久米島紬は10年ほど前にリサイクルで買ったものだ。
都内のとあるデパートの呉服売り場の一角で
スペースを設けて売られていたリサイクル着物の山の端に
ポッと掛けられて展示されていたこの紬・・・。
どことなく力強さがある布にフッと目が吸い寄せられて、
手にとってよく見れば、深い泥染めの色に
沖縄ならではの絣模様、その絣足の様子もすこぶるいい。
・・・まさか、久米島紬?
絵美さんは優しい春霞に、さまざまな色が交差している
紅花染めのいかにも春らしい紬、
朋百香さんはゆうなで染められた明るいグレーの久米島紬、
そして私は泥染めのドッシリ土色の久米島紬、と
その人それぞれの春の装いだった。
同じ久米島紬でも、朋百香さんのゆうな染めのものと
私の泥染めのものとでは雰囲気がまるで異なる。
当然のことながら、織り手さんも、糸もデザインも異なり、
織られた年代も違うのだから、考えてみればあたりまえのことなのだけど、
反物の状態ではなく、カラダに立体的にまとわれた布を見比べて
同じ産地のものでも、布自体の個性ってこんなにも違うんだなあ〜、と
あらためて感心してしまった。
私の久米島紬は10年ほど前にリサイクルで買ったものだ。
都内のとあるデパートの呉服売り場の一角で
スペースを設けて売られていたリサイクル着物の山の端に
ポッと掛けられて展示されていたこの紬・・・。
どことなく力強さがある布にフッと目が吸い寄せられて、
手にとってよく見れば、深い泥染めの色に
沖縄ならではの絣模様、その絣足の様子もすこぶるいい。
・・・まさか、久米島紬?
寸法も自分にピッタリで、着た様子もほとんどない。
見ているうちにアドレナリン値があがってきた。
値段は?というと、たとえリサイクルであっても
当時の久米島紬としてはありえない値札がついていたので
思わず売り子のおばちゃんに訊いてみた。
「これ、久米島紬ですか?」
おばちゃんは「信州(産)よ、信州!そんなあなた、
久米島がこんな値段で出るハズないじゃないの〜」
「・・・そお〜ですよねえ?・・・これじゃ安すぎますもんね」
はて、信州にこんな紬ってあったかなあ?と疑問に思いつつも、
いったん手を離したあと、今度は別の女性がやってきて
これを見つけて同じ質問をした。「あれは久米島?」
売り子のおばちゃんはふたたび同じ答えを言って、
その女性も「そうよねえ」と言って他所へ行ってしまった。
その様子を見ていたら、私はまた手にとってみる気になり、
ためつすがめつしたあと、思い切ってカケのつもりで買うことにした。
ええ〜い!もしダメならダメで、琉球絣のつもりで着ればいいや!
後日、この着物を着て歌舞伎座へ出かける途中、
「青山 八木」さんへ立ち寄り、この織り物の正体を視てもらった。
当時すでに何度も久米島へじかに買い付けにいっていた八木さんは
「これ、久米島紬ですよ。っていうか、久米島でしかないんですけど」
とお墨付きのひと言をくれた。
「やった〜!!」と私はカケに勝ったつもりで喜んだのだが、
八木さんは「これを信州だと言って売ってたんですか?
わかる人がどんどんいなくなってしまって・・・」と、
呉服を扱う業界の側の問題を嘆いていた。
そのひと言で、こちらはなんだか急にビミョーな心持ちになった。
そうか、別の面から見れば、そういう問題があるワケか・・・。
どちらも着物が好きで、片方は着物を売り、もう片方は買う。
売る側が知らなかったせいで、あちらは損をし、こちらは得をした。
また逆に、こちらが知らないせいで損するコトもたくさんあるだろう。
この一件があってから、つくづくと思った。
買う買わないは別として、本物をたくさん見て知っておくというのは
とても大切なことなんだなあ〜、と。
見ているうちにアドレナリン値があがってきた。
値段は?というと、たとえリサイクルであっても
当時の久米島紬としてはありえない値札がついていたので
思わず売り子のおばちゃんに訊いてみた。
「これ、久米島紬ですか?」
おばちゃんは「信州(産)よ、信州!そんなあなた、
久米島がこんな値段で出るハズないじゃないの〜」
「・・・そお〜ですよねえ?・・・これじゃ安すぎますもんね」
はて、信州にこんな紬ってあったかなあ?と疑問に思いつつも、
いったん手を離したあと、今度は別の女性がやってきて
これを見つけて同じ質問をした。「あれは久米島?」
売り子のおばちゃんはふたたび同じ答えを言って、
その女性も「そうよねえ」と言って他所へ行ってしまった。
その様子を見ていたら、私はまた手にとってみる気になり、
ためつすがめつしたあと、思い切ってカケのつもりで買うことにした。
ええ〜い!もしダメならダメで、琉球絣のつもりで着ればいいや!
後日、この着物を着て歌舞伎座へ出かける途中、
「青山 八木」さんへ立ち寄り、この織り物の正体を視てもらった。
当時すでに何度も久米島へじかに買い付けにいっていた八木さんは
「これ、久米島紬ですよ。っていうか、久米島でしかないんですけど」
とお墨付きのひと言をくれた。
「やった〜!!」と私はカケに勝ったつもりで喜んだのだが、
八木さんは「これを信州だと言って売ってたんですか?
わかる人がどんどんいなくなってしまって・・・」と、
呉服を扱う業界の側の問題を嘆いていた。
そのひと言で、こちらはなんだか急にビミョーな心持ちになった。
そうか、別の面から見れば、そういう問題があるワケか・・・。
どちらも着物が好きで、片方は着物を売り、もう片方は買う。
売る側が知らなかったせいで、あちらは損をし、こちらは得をした。
また逆に、こちらが知らないせいで損するコトもたくさんあるだろう。
この一件があってから、つくづくと思った。
買う買わないは別として、本物をたくさん見て知っておくというのは
とても大切なことなんだなあ〜、と。
tomokoさま
きものの知識の少ない私ですが、お二人のお陰でほんと、勉強になります。それにしても、tomokoさんの久米島はラッキーでしたね~。きっとその久米島が、分かる人の所に嫁入りしたかったのですね。
きものの知識の少ない私ですが、お二人のお陰でほんと、勉強になります。それにしても、tomokoさんの久米島はラッキーでしたね~。きっとその久米島が、分かる人の所に嫁入りしたかったのですね。
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team-osubachi2 at 2011-02-26 22:37
すいれんさん
たまたま偶然のことながら、ありがたいご縁だったなあと、今もそう思います。
ホントなら、ちゃんと織り子さんにお金がいくよう正規に買えるといいなとは思うんですけどもねえ。なかなか・・・。
たまたま偶然のことながら、ありがたいご縁だったなあと、今もそう思います。
ホントなら、ちゃんと織り子さんにお金がいくよう正規に買えるといいなとは思うんですけどもねえ。なかなか・・・。
Tomokoさん、
久米島紬、素敵ですね。 泥染も味わいがあってシックですね。私も絣が好きでいろいろな産地のものを見るとそれぞれの特徴と織る人たちの気持ちが伝わるようで大切にしよう、という気持ちになります。
ご一緒されたすいれんさんのゆうな染もすっきりしていて素敵ですね。
久米島紬、素敵ですね。 泥染も味わいがあってシックですね。私も絣が好きでいろいろな産地のものを見るとそれぞれの特徴と織る人たちの気持ちが伝わるようで大切にしよう、という気持ちになります。
ご一緒されたすいれんさんのゆうな染もすっきりしていて素敵ですね。
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team-osubachi2 at 2011-02-27 17:11
ルリ子さん
絣の着物っていいですよね。これ、大好きな着物のひとつになりました。眺めていても着ていても、この布からパワーをいただいてるみたいな気がします。
すいれんさんのゆうなの久米島は、やっぱりすいれんさんによく似合っていました。
絣の着物っていいですよね。これ、大好きな着物のひとつになりました。眺めていても着ていても、この布からパワーをいただいてるみたいな気がします。
すいれんさんのゆうなの久米島は、やっぱりすいれんさんによく似合っていました。
by team-osubachi2
| 2011-02-26 00:44
| 着物のこと
|
Comments(4)