ワタクシ傷モノニテ

今日から2月。そして今週の金曜には立春を迎える。
その立春にちょこっと着物でお出かけを予定していて
何を着ようかと引き出しをあけてみた。
暦の上では春になるとはいえ、まだまだ寒いこの時期
やっぱり真綿の紬に心が惹かれる。

本場と証紙がつく結城紬は、数年前に、
「不惑」記念(?)として、一生着るつもりで買った灰鼠色の無地が一枚きり。
高機ものではあるけれど、自分の器量ではそれで充分なんである。
地機(個人的にはいざり機という言い方が好きだけれど)ものの
重要無形文化財という血統書つきは、私には分不相応だ。

そんなある年、ネット上のリサイクルショップを見ていて、
生成りの地に、海老(臙)色、藍色、黒色といった三色の矩形が
リズミカルに飛んでいる面白い一枚を見つけた。
クセの強い柄ゆきはあまり人気がないのか、
いつまでたっても売れ残っていた。

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説明写真のクローズアップを見ても、真綿の風合いと
三色の矩形の中の亀甲絣の様子がいいので
「証紙はありませんが地機の百亀甲の結城紬です」という売り文句に
あえてだまされるつもりで買ってみた。

そうして送られてきたこの紬、思いのほか袖を通した様子がなく
まだまだゴワッとしていて、一見ダメージがないように見えた。
(胴裏は見るも無惨な有りさまだったけれど)
ところが、ためつすがめつするまでもなく、後ろ身頃に
およそ一尺にわたってタテ糸が一本、ちょこちょこと
ヨコ糸をすっ飛ばしてしまっている致命的な織り傷を発見!
ああ〜あ、どうりで・・・。
リサイクルでも破格なお値段の理由がのみこめた。

織り手さんは、自ら作ってしまったこの傷を見て、
いったいどんなキモチだったろうか?
無念だったろうか?それとも・・・?
たとえ結城であろうとなかろうと、
これでは産地の送り出す側が承知するハズがなく、
どんな証紙も貼ってはもらえないワケだが、
どういういきさつか、ひょんなことから横流しされて
裏街道(?)から世に出されたものだろうか?

ワタクシハ、コノヨウナ傷モノデゴザイマス。
ドウゾ嫁ニ貰ッテクダサイ、トハ、ドウシテ云ヘマショウ・・・。
馬鹿かもしれないけど、ふと、時代劇に出てきそうな一場面で、
傷がついた不憫なムスメを見たかのような妄想をしてしまった。

せっかく人の手によって紡ぎ織り出された絹の布。
傷のひとつやふたつ、どうってことないんである。
自分だって、これまでの人生で、
イヤというほど痛い思いを経験してきたんだもの。
まあ、私のところへ来たのも何かの縁だろう。

無茶は承知で、ちょっとばかし手を入れて傷を目立たなくしてから、
洗い張りに出し、裏地も新しくしてもらったら
見違えるように元気になって私の手元に帰ってきた。
傷モノのムスメはいかにも嬉しそうだ。
・・・なんて、気のせいかもしれないけどネ。
Commented by ke-nosuke at 2011-02-02 17:35
おおっ! この着物、おおいに気になりますね((♥))
着姿を熱望しております。
(ちなみに、お多福さん見てると自分の幼少期思い出します。)
Commented by team-osubachi2 at 2011-02-02 20:00
ke-nosukeさん
いやあ〜、出どころの怪しい?着物です。いいお着物ってプロパーではホントめったなことでは買えないですね。
お多福さんですか。それならきっとke-nosukeさんのスケッチみたいに、プニプにした可愛いらしい子供さんだったのではないですか?フフ。
by team-osubachi2 | 2011-02-01 13:39 | 着物のこと | Comments(2)