「和の國」に集う

「日本のおしゃれ 池田重子コレクション」シリーズなど、
着物関連の書籍や雑誌の取材・編集・文筆でご活躍されている
安達絵里子さんという着物ライターさんが熊本にいる。

ずっと以前、雑誌「美しいキモノ」のタイアップ頁のお仕事で
ご一緒させていただいたのをキッカケに、
その後も幾度となく「美しいキモノ」でお仕事をさせていただいているが、
いつだったか、その安達さんから「一度熊本にいらっしゃいませんか?」と
お誘いをいただきつつも、機会のないまま数年が過ぎていた。
(写真下:左にいる着物の女性が安達さん。
この日は、焦茶色の士乎路[しおじ]紬に、
今回参加の宮崎直美さんのぬくもり色の八寸帯をあわせた装い)

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今年の春ごろだったろうか、SOMEORIの吉田美保子さんとメールをしていて、
彼女がこの年暮れに、郷里の熊本で展示会をすると知り、
「日にちがわかったら報せて。熊本在住の着物ライターさんにも連絡するから」
と伝えたところ、はじかれたように吉田さんから返信がきた。
「ひょっとして、ひょっとしてそのライターさんて、安達絵里子さん?」
え〜っ?そうだよ!なんで知ってるの〜っ?きけば、なんのことはない、
その「熊本ゆかりの染織作家展」の発案者こそ安達さんご本人だったのだ。
うわあ、そっか〜!そうだったのか〜!

とはいえ、まさか熊本というところで
3人の点と線がつながるとは夢にも思わなかったけれど、
うん!これもご縁だ。いざ行こう!熊本へ!・・・と思い、
その時点でわずかばかりの虎の子を旅費にとよけておいた。

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18日の土曜の夕方、熊本城と細川刑部旧邸を散策したあと、
この旅の眼目である「熊本ゆかりの染織作家展」を拝見しに
熊本城の東側にある「染織工芸サロン 和の國」さんへとむかった。
お店に入ってすぐに安達さんと再会のあいさつを交わし、
また、安達さんには「和の國」のご主人をご紹介いただいたり
吉田さんとも熊本での再会を喜びあった。

ところで、ご主人のお仕事の関係で熊本に住むようになった安達さんは、
すぐに熊本が好きになり、いまや完全な熊本贔屓なんである。
彼女の美意識と、熊本の気候風土や人々の感性が響きあったのだろう、
安達さんの企画立案で、「和の國」さんという舞台に
6人の作家さんたちが集まり、各々の染めと織りの作品が展示されていた。
堀 絹子さん、岡村美和さん、溝口あけみさん、宮崎直美さん、
黒木千穂子さん、そして吉田美保子さん。

いずれもそれぞれの感性で生み出されたキレイなきれいな布ばかりで、
面白い織りや大胆な模様の染めなどを見ていると
ときどき自分の懐具合を忘れて、
ハートをグッと鷲掴みされそうな作品があったりして
ちょっとばかり身悶えしたりした。
はあ〜あ、煩悩だなあ〜。ふう・・・。

(写真下:もしも私が今宝くじを当てたなら即買いしたい〜!と思った作品。
黒木千穂子さんの藍色の階調ある格子に花織りの紬と、吉田美保子さんの帯。
写真では色がぜ〜んぜん出てなくて残念だけれど、
この着物と帯の組み合わせは、それぞれの色がリズムを刻んで
互いに響きあっているように見えて素晴らしかった!好みだなあ〜♡)

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さて、吉田美保子さんの新作である。
この作品のテーマは朝焼けなんだとか。
私が寄りで写真を撮らせてもらおうとしていると、
「和の國」のご主人が照明に変化をつけてくださった。
・・・さしずめ、夜明け直前の様子はこんなカンジかしらん。

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そして、夜が明けた・・・。

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タイトルは「Good Morning Koh 」。
この作品の着手になるお人には息子さんが一人いらっしゃる。
その子供さんへの愛情もこめて名付けられたタイトルだ。
毎日を着物で暮らすそのお人の優しさ、芯の強さ、愛情の細やかさに
この着物はきっとよく似合うことだろう。
いいお方のもとにお嫁入りが決まってヨカッタよかった。

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余談だけど、この日の吉田さんのお着物は
吉田さんが個人的に研究している青田五良(ごろう)という染織家の資料から
以前、彼女自身が自分の染織りで研究模した着物で、
帯もまた、かつての彼女の手織りの布で出来ているものなのだが
今の作風もどんどん研ぎすまされ洗練されてきて素敵だけれど、
(あくまで私勝手な言い方をすれば)
こういう土の匂いがするカンジの着物や帯もとっても素敵なのだった。

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「熊本ゆかりの染織作家展」は23日金曜まで開催中。
その会場である「染織工芸サロン 和の國」さんは
ご主人である茨木國夫さんの、地元熊本と着物に対する熱い想いが
しっかりと伝わってくるお店だった。
また今回は嬉しいことに、以前お仕事でお世話になった
田崎染工のご主人にも、やっとお会いすることができたりして、
私なりの「熊本ゆかりの人たち」との交歓がかなった訪問となった。

金沢でも感じたことだけれど、この熊本でも同じように、
人の縁、地の縁をたくさん感じた旅だった。
いろんな出会いに深くふか〜く感謝した。

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染織工芸サロン 和の國
http://wanokuni.com/

(番外)まぼろしの染織家「青田五良」を追って
http://chikyu-no-cocolo.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/post-81a9.html
Commented by 神奈川絵美 at 2010-12-22 01:49 x
こんにちは! 臨場感たっぷりのレポありがとうございます! 安達さん、吉田さんもお元気そうで何より…。
お嫁入りが決まった吉田さんの新作、纏ったお姿を拝見したいなあ。
Commented by あだち at 2010-12-22 05:54 x
初めてコメントさせていただきます。
朋あり遠方より来たる・・・
うれしかったです。年末の忙しい中、なかなかできることではありません。本当にどうもありがとうございました。
また、「夜明け前」と「朝焼け」・・・一枚のきものがこんなに表情豊かだなんて、写真を拝見して初めて気づきました。実物を見ているはずなのに、この写真で教えていただきました。撮影技術、すごいですね~。イラストだけではなく、写真でも行けるお方ではないでしょうか?お疲れはでませんでしたでしょうか、熊本自慢はまだまだありますので、またお越しくださいませ。
Commented by sogno-3080 at 2010-12-22 07:03
朝からコメントさせていただきます。
Tomokoさんの記事、次は何の話題かしら?といつも
期待して拝見させていただいていますが、今日の特に読み応えたっぷりでした。もうそのままライターさんでも
活躍できそう!!
朝焼けがテーマの作品、素敵ですね。ついつい落語の「芝浜」が頭に浮かんできます。「日の出の空色はひと色じゃねえんだ・・・」っていうあの件です。
Commented by すいれん at 2010-12-22 12:34 x
tomokoさま
もう、素敵、素敵、素敵! tomokoさんが好みとおっしゃった、花織りの紬と吉田さんの帯、私も好みです。本当に宝くじ当たったら
すぐ、買っちゃう(笑)。まず、宝くじ買わなきゃ・・・。
ご縁って、不思議ですね。でも素晴らしい。
Commented by team-osunachi2 at 2010-12-22 14:50 x
絵美さん
吉田さんの新作を手になさった方は、さっそく八掛けは何色がいいかしら、帯は何をあわせたらいいのかしら・・・と、いろいろ思案中でした。それもまた喜びの内で、ホント、お召しになったところを拝見したいものですね〜。
Commented by team-osubachi2 at 2010-12-22 15:16 x
あだちさん
朋あり、また遠からずや。このたび熊本行きが実現して本当に嬉しかったです。お忙しいところ、いろいろお心遣いをいただき本当にありがとうございました!相方にもとても楽しい3日間だったようで「また行こう!」と言ってます〜。じゃあ今度は田んぼの石橋をめぐろうかな〜。(笑)
吉田さんのお着物、本当に光の具合によって色の表情が変わりますね。あれが立体になったらまたどんな風になるんでしょうね。あの日以来、また妄想してますです。それから宮崎さんの帯やショールもとても素敵でした。欲が深くてくすぶってます〜。
(写真はすべてデジカメのおかげですよん。今はもっと性能のいいカメラが出てますから、素人はあとは感性で撮るだけですかね〜)

まだまだお忙しいと思いますので、会期が終了しましたら、またあらためてご連絡いたしますね。くれぐれも風邪などひかれませんように。
Commented by team-osubachi2 at 2010-12-22 15:22 x
sognoさん
いつもありがとうございます。根がおしゃべりのせいか、もっと文章、短くなんないものかと、実のところいつもぐしゃぐしゃしてます〜(笑)。
それにしても「芝浜」ですねえ!私も大好きなお話です。そうだ〜、いままさにそんな時期ですねえ。師走にあれを聞くと、ああ今年もおしまいだ、いい年だったな〜って思います。聞きたくなっちゃいましたよん。
Commented by team-osubachi2 at 2010-12-22 15:35 x
すいれんさん
こういう展示会は「虎の穴」ですよね、いやあ〜怖い怖い。宝くじ当てて、清水の舞台から思いっきりダイブしてみたいな〜ってマジで妄想してしまいます(笑)。あ、でもくじ券を買わないとその夢すら見れないワケですね、ジャンボっていつまでだ???
本当にご縁って面白くいものですね。今年はまたブログを通してたくさんの方々とお知り合いになれて、おかげさまで輪が広がりました。感謝です!
by team-osubachi2 | 2010-12-21 18:45 | 着物のこと | Comments(8)