厳しさと楽しさと面白さと

先週、風邪っぴきでも、さいわいに“食い気”だけはあったので、
できる範囲でしみじみご飯を作っては食べていた。

そんなおり、NHKで、料理研究の大家でいらっしゃる辰巳芳子さんの
今の社会と食生活について、非常に(ますます)危機感を強めている姿や、
どうすれば、食べるということを真摯に大切にしてくれるかを
考えて行動しておられる姿をルポした番組を見た。

とある広告代理店で、忙しく営業担当をする若い兼業主婦の
一週間の食事を追跡調査したあと、
辰巳先生は、その住まいへ直接「指導」に行かれた。
そして、結婚してほどない新米の兼業主婦の献立に、
先生は率直に思うところをおっしゃった。
その先生の最初の厳しい物言いに、若い彼女の顔色は変わり、
完全に萎縮してしまった・・・ように私には見えた。

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私は、本は持っていても、辰巳芳子さんのスープを
レシピ通りに作ったことはまだない。
けれども、あの、食べものを決しておろそかにせず、
真から食べることを大切にする心や、
それを実践なさる姿勢は素晴らしいことだと思っている。
そこから学ぶことも多いし、尊敬に値する人物でいらっしゃるとも思う。
が、私のようなガサツな人間には、あそこまで実践するのは難しいんである。
(てゆーか、どだい無理!)

たとえば、出汁をひく。
単純に鰹の削り節でちゃちゃっと出汁をとるだけの私のやり方では、
おそらく辰巳先生のお教室では叱られてしまうことだろう。

居職の自分でさえ限界があるのに、
外でフルタイムで働く女性や兼業主婦たちに、
食事の支度に手をかけられる時間がいったいどれだけあるだろう?と、
他人事ながら心配にもなる。
「〜ねばならない」で作る家庭料理は、きっとしんどいだろうなあ〜、と
私なんかはついそう思ってしまう。

でも、そんな私でも、やっぱり美味しいものは好きだ。
マズいものはイヤだから、できる範囲で手をかけるように心がける。
その、ほんのひと手間で、料理はとても美味しくなるというコトを知るのは
実はとっても楽しかったり面白かったりするコトなのだ。

立派で正しい教えもとても大切だけれど、
いきなり「こんなことではいけません!」という厳しい角度からではなく、
これは、本当は楽しくて面白くて、美味しいものなのよ〜、という角度から
(実際、辰巳先生もそんな意味をこめて指導なさっているようだし)
辰巳先生の、あの「いのちを支えるスープ」が
もっとこう、やわらか〜く広がっていかないものかなあ〜、と
余計なことを考えながら、今夜も鰹の削り節でちゃちゃっと出汁をとった。

あ・・・私の場合、出汁は「ひく」のではなく「とる」んだな。
私にはとても辰巳流の本物の出汁はひけないだろう。
でも、まぁいいや〜。大切なのは、
自分らしく楽しく(ちょっとでも)美味しく!・・・だもんね。
Commented by sogno at 2010-10-19 17:19 x
番組は見ておりませんが、私なりに思うことが沢山あり
ます。私もその兼業主婦さんのような時代がありました。夕食作りに時間をかけるより、仕事をしている方が充実していて楽しかった覚えがあります。
料理が、そして食べることが楽しく思えるようになった
のはごく最近のことです。そして歳を重ねるほど、食の大切さが身にしみて感じられるようになりました。
そういう気持ちって教えられる、とかいうより、日々生きていく環境の中で、ゆっくりと変化、成長していくような気がします。

それにしてもきちんと出汁を取るなんて偉いですね。
美味しさの度合いが違うのでしょうね~
私もマネしなくては・・・


Commented by team-osubachi2 at 2010-10-19 19:39 x
sognoさん
辰巳芳子さんが雑誌やテレビに登場すると、いつも考えさせられます。賛同よりは、もっぱら尻込みばかり、といったところですが(笑)。
若いときの私の食事もひどいものでしたが、10年くらい前に体調の変化から食べることを意識し始めました。やっぱりsognoさんのいうように、日々の生活の中で少しづつキモチが変化して、そして成長していくのだろうな〜って思います。
出汁、うわあ〜(汗)、私の乱暴なやり方じゃホントは「出汁をとる」なんて言うのもおこがましいものだと思いますが、実母からは昆布や煮干し、義母からは築地の削り節がたっぷりと届くので、日々せっせと消費しているというのが正直なところです。はい。
あの兼業主婦さんも、今の自分を責めたりせず、とりあえず出来るところからやっていくようになるといいですね〜。
by team-osubachi2 | 2010-10-19 13:09 | 食べる | Comments(2)