下平清人さんの型絵染め

季節感というのは不思議なもので、ことさら意識しなくても、
人間の五感はその微妙な変化をごく自然に感じとるようだ。
同じような暑さでも、立秋をすぎると、まず日差しが目立って違ってくる。
すると、もう白々したような色の着物よりも
どこかに少し秋の色が欲しくなるんである。

もう十数年前の夏のこと、某デパートの呉服売り場で、
赤札で出ていた小千谷縮の反物に目がいった。
かな文字や野菜といったモチーフが、
シンプルで素朴な型絵で染められている。
カワイイ!好き!お値段も?え?マジ?カワイイ〜!買うっ!
布端には下平清人さんという人の名前の紙が貼られていた。

f0229926_10485548.jpg

一昨年だったか、とある落語会にこれを着て出かけたときのこと。
休憩時間に浜美枝さんをお見かけした。
その浜さんが、ふと気づいて、ちょっとの間この着物をジッと見ていらした。
着ると、だいぶヨレヨレするようになった着物なのだが、
きっと下平さんの型絵にはまだまだチカラがあるんだろうな、と
工芸品や民芸品が好きで知られる人の視線に
そんなことを思ったりした。

毎年、袖を通しては自分で水洗いをするせいだろう、
ましてや麻に後染めしたものだ、袖口や折り山がすっかり色褪せてしまった。
そろそろ着るのは難しいかな?と思いつつも
秋に向かう暑さの中、つい袖を通してしまう着物である。
by team-osubachi2 | 2010-08-13 00:15 | 着物のこと | Comments(0)