与論島の芭蕉布

与論島の3日目は朝から雨だったので
借りた車で、島の南東部をドライブした。
地図を見ていたら、「与論民族村」というものがあったので
寄ってみることにした。

道路から少し奥まったところに入り口があり、400円支払って中に入ると
与論島の伝統的な民家や小屋が肩を寄せるようにして数棟建っていた。
当主の菊 秀史(ひでのり)さんが、一棟一棟移動しながら
古くからの暮らしぶりをお客に説明してくれた。
そのあと、売店の横でお茶をいただきながら
菊さんからさらにいろんなお話を聞いてみたところ、
なんと、この小さな村は、菊さん一家が家族で経営している施設だった。

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菊さんは熱心に、自分という人間が
どういう土地で、どういう祖先で、どういう言葉や文化の中で育ったかを
ひとり一人知っておくべきだと言う。
それでこそ、実社会で、または外の世界でしっかりと生きてくための
基盤ができるのだという。う〜む、まったく同感だ!
(・・・なんて、あんまりエラそうなコトは言えないけど)

いまの与論島の子供たちやその親の世代ですら、
島の伝統的なものを知らないということに
菊さんは強い危機感を抱いているようだった。
継承の難しさを日々感じながらも、自分に出来る最善のことをしようと
奮闘なさっているように見えた。

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菊さんとのおしゃべりのあと、売店をのぞいていたら
壁際のガラス棚に、与論島で一軒だけ織っているという芭蕉布があった。
織り手のおばあさんの紹介記事を見ていたら、
雑誌で紹介されているのを思い出した。
そうか!あの菊 千代さんは、ここのおうちのおばあちゃんだったのか〜!

おばあちゃんから引き継いで芭蕉布を織っている
菊さんのお嫁さんからも芭蕉布のお話をいろいろ聞いた。
「銀座にも出してるんです」と言うので
「どこだか知ってます。『もとじ』さん、ですよね」。
見本として置いてある反物や帯をひろげて見せてもらい
触らせてもらって、しばしウットリと魅入った。

いまや首都圏の暑さは、南の島々よりも凄まじい。
きっと、日々ザブザブと洗った芭蕉布が快適な暑さだ。
与論島にじかにお願いすれば、銀座よりうんとお得に出来るのだろうけど、
とても私なんかが手を出せるような代物ではない。
その手間と時間と労力の値段は、それでも報われることが少なく、
糸から反物にするまでを継承する人がいなくなる現状を思い、
ため息まじりに欲を手放した。

せめてもの土産にと買って帰った
車輪梅で染められた麻のタペストリーを壁にかけて眺めては
与論島の芭蕉布を思い出している。

与論民俗村
http://www.yorontou.com/minzokumura/index.php
Commented by 神奈川絵美 at 2010-08-05 00:45 x
こんにちは! まるで私自身が与論島にいるかのように、楽しく読ませていただきました。
広い日本の中で、人と人とが点で結ばれている…そんな縁の不思議を私も感じましたよ。芭蕉布、気持ち良いでしょうね。与論島の芭蕉布は、都会でつんとすましている姿とはまた違って、たくましく大らかな印象を受けました。
Commented by team-osubachi2 at 2010-08-05 13:55
絵美さん
お暑うございます〜。島の芭蕉布は、そうですよ、たくましくて大らか、まさに。やっぱり島の気候風土の中で着られてこそ本来の姿ですよね。よそ者の私には、島で誰も着ていないのが残念でもあり・・・。
また、どんなに暑くても、都会で着るのって、やっぱりどこか違うものになっちゃいますよね。・・・なんて、私が着ることは一生ないと思いますけど(苦笑)。
by team-osubachi2 | 2010-08-05 00:31 | 旅をする | Comments(2)